東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、最近、われわれ結構、大企業が8割9割でクライアントとして多いんですけれども、中小企業さんからも結構ちょくちょくお問合せをいただくと思うんですけど、悩んでいるステージも違ったり、さまざまなお問合せがあったりするんですが、中小企業一般的なグローバルにおけるチャネル戦略なのか、グローバル戦略と呼んだらいいのか、ちょっとそこはいろいろな悩みを抱えている方もリスナーさんもいらっしゃると思うので、少し大枠の話で構わないんですけれども、またちょっと経営資源も違うでしょうし、商品も当然違うし、商品点数なんかも違うので、戦い方も違うような気がするんですが、その辺は、ちょっと森辺さん、どう思うか、そういうところで実際に悩んでいるリスナーさんもいらっしゃると思うので。
森辺:そうですよね。このPodcastの測定をわれわれなりに分析もしているんですけど、大企業のいわゆる海外関連担当の人が多いんですけど、中小企業のオーナーさんとか社長さんとかっていうのもやっぱりいっぱいいるので、中小企業の話って、あんまりここの番組でしてないもんね、今までね。
東:そうですね。
森辺:なので、いい機会だと思うので、じゃあ、ぜひやっていきましょうというところで。ちょっとまずね、最初に中小企業の定義を明確にしたいんだけども。僕の中での中小企業っていうのは、10億円とか20億円とか、数十億円以上ある会社を中小企業というふうに定義をしていて、それ以下は零細企業ね、10億円以下は零細で、10億円以上が中小企業ですと。中堅企業って、じゃあ、どういう企業かと言うと、100億円から1,000億円ぐらいの企業さん。大企業というのは数千億円企業を大企業と定義していて、超大企業というのが5,000億円を超えてくるような会社を超大企業というふうに定義をしていますと。
東:はい。
森辺:今回、お題になっているのが、この中小企業なので、下は数十億円から数百億円ぐらいまであると思うんだけどね、中堅と中小の境目のところは非常に微妙なところだと思うので、そういう会社さんがどう戦っていけばいいのかということだと思うんだけど、やっぱり思うのは、中小企業には中小企業の戦い方があるので、大企業と同じ戦い方は絶対にしちゃ駄目ですよというのが1つあって。なんでだ?と言うと、求めている売上が違うからなんですよね。時間軸も違うんですよね。国内で売上が数十億とか、100億200億とかって言うと、海外で、じゃあ、いきなり数百億やるかと言うと、そうじゃないじゃないですか。
東:うん。
森辺:一方で、大企業って、やっぱり数百億円とかいかない事業って別にやる意味がないので、言ったら、100億やるための戦略と10億やるための戦略って全く組み立て方が違うんですよね。それを5年でやるのか3年でやるのかによっても全然組み立てが違ってくるわけなので。中小企業だから適当に戦略持たずにエイヤーでガーンと社長の勢いで出ていってやりゃあいいかと言うと、そうでもないですよと。中小企業だろうが、大企業だろうが、戦略は持たないといけないよねと。じゃあ、ただ、戦略の中身というのは、大企業がやるような、緻密なことはしなくていいですよと。だって、100億やろうと思ってないでしょう?取りあえず10億やるんだったら、10億をやるための戦略の描き方というのがあるので、簡単に言うと、ざっくりやりましょうという話なんですよね。大企業とかだとさ、ほんとに細かい調査をやるでしょう?
東:うん。
森辺:ものすごい予算をつくってね、調査調査調査で、検証検証検証して、ようやく戦略つくって、はい、やっと実行みたいな。そうしないと、100億狙えないからという話なんだけども。大企業の場合は、じゃあ、将来的に10億と、まず5,000万、まず1億みたいな話なんだとするとね、やっぱりそんなに深い調査をする必要もないし、まどろっこしいことをする必要もないというのが1つあるのかなというのは思います。
東:そうすると、中小企業の場合、大企業とまず中小企業の戦略の、グローバル戦略の組み立て方での違いというのは大きなところで言うと、どういうところにまずあると?
森辺:その組み立て方は、一番分かりやすいのは、戦略をつくるって、戦略ってアウトプットじゃないですか。
東:はい。
森辺:そのアウトプットをつくるためには、絶対に情報というインプットをしないといけなくて、このインプットというのは調査のことを指しているわけなんですよね。その調査をたくさんの労力をかけてやる必要がないという話なんですよね。なんでかと言ったら、緻密な戦略をつくるためにはたくさんの情報が必要だけども、取りあえず1億やるには、取りあえず2億やるには、将来的に10億ぐらいなんだったら、非常に軸となるところの情報だけをざっくり取ってくればいいので、細かく調査をしなくていいというのが一番大きな違いですよね。ただ、戦略はつくらないといけないというね。もう1つは、勢いでエイヤーで出てしまっても駄目ですよというのが一番大きな違いだと思うんですよね。そこが1つと。あと、1個1個ちょっと詳しくまた説明しますけど、出ない戦略というのをやっぱり徹底しなきゃいけなくて、売上数十億の中小企業がね、海外事業をするのに、いきなり現地に法人つくるって、もうこれ一番駄目なパターンで、いかに出ないで儲けるかということを考えないといけない。これはB2BもB2Cもね。つまりは輸出でやれということなんですよ。輸出でやるということは、次に考えなきゃいけないのは、攻めやすい国とかね、もっと言ったら都市なんですよね。中小企業は、出る国を決めるんじゃなくて、出る都市を決めるというのがすごい重要で。なぜなら、そんな地方都市なんか狙えないから。基本的には首都戦略になるんですよ。なので、どの国のどの首都を攻めるかという話になるので、ここの選び方を間違えたら失敗する。例えるならば、初めての海外進出でいきなりベトナムをやるとかね、たまにいらっしゃるでしょう?
東:そうですね。
森辺:いきなりフィリピンやるとかね。
東:はい。
森辺:いやいや、何言ってるんですかという話でね、もっと簡単に稼げる国というのがあるわけだから、やっぱり国選び、都市選びというのはしっかり考えないといけないということと。あと、高々数億、高々10億やるだけなので、もうターゲットさえ、もうガチガチに明確にしてしまえば、そこの実現可能性って一気に上がるんですよね。だから、ターゲットをすごく明確にしないといけないというのが3つ目に非常に重要で。もう1つあるのが、結局、中小企業なので、現地に法人を出さない、出ない戦略だと言っているということはどういうことかと言うと、現地の販売を担ってくれるパートナーさん、つまりはディストリビューターがすごい重要なわけですよ。なんか出会いで決めてできそうだなと言ってできなかったら、売れないわけだから。自分たちの営業を担ってくれる、このディストリビューターの選定には労力をしっかりかけましょうねと。恋人じゃないんだから、出会いで決めちゃ駄目ですよというのが、もう1つなんですよね。これぐらいのことが、たぶん重要になるポイントだと思うんですけど、3つ…、いや5つ言ったのかな、今ね。
東:はいはい。
森辺:5つぐらいのことをきっちりやっていくと、非常にイニシャルコスト、いわゆる投資コストを低く、海外の事業のリスクを抑えながらやっていけるというのが、僕の経験の中で感じるとこですかね。
東:分かりました。じゃあ、今日は時間がきましたので、ここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。