東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、昨日、リコーさんとオンラインでセミナーをやったということなので、ちょっとその様子、どんなセミナーだったか、お聞かせいただければと思うんですけど。
森辺:ウェビナーってやつですかね、今流行のWebセミナー、リコーさん主催の。リコーさんって年がら年中いろんなセミナーをやっていて、SDGsのセミナーをやったりとか、テレワークの何とかをやったり、業務効率のセミナーをやったりとかしていて。その中で、グローバル系のセミナーをやるということで講師に呼んでいただいたというのが事の経緯でございます。ASEAN市場の販売チャネルの重要性ということで、今このコロナ禍になって、改めてASEAN市場の販売チャネルの重要性というのが見直されていて、結局、人とものの移動が制限されたら、みんな経済で大きいダメージを受けていて、やっぱりグローバルで繋がっているんだねということで販売チャネル重要だねみたいなのがもう1回見直されていて。そういうニーズがあったので「やりましょう!」みたいな話になって、呼んでいただいたんですよ。1時間、セミナーをやらせてもらって、「ASEAN市場における販売チャネルの重要性」というタイトルで、目次を簡単に紹介すると、3つのことをお話したんですよね。1つは、成功している会社がなぜ成功するのかということを、3つぐらいやっぱり法則があって、そのお話をさせてもらって。じゃあ、一方で失敗する会社が間違えているマーケティングがあるんですよ。たくさん、いろんなマーケティングのフレームワークを間違えちゃうんだけども、その中でも僕が非常に気になった2つ、この2つをご紹介して、この2つさえ改善すれば、すぐに皆さんの海外の売上は改善できますよという話をさせてもらって。3つ目が強固な販売チャネル、持続可能な強固な販売チャネルをつくるための3つのポイントということで、3つのもの、3個のお話をさせてもらったというのが、セミナーですかね。
東:なるほど。
森辺:100人近く参加されていて、非常に評価も高かったんですよ。それで、定期的にやりましょうということなったので、また定期的にやることになるんじゃないかなと思っていて。今日は、そのセミナーでやった、そのセミナーってやっぱり面白いんだよね、あれ、なんか僕もWebセミナー初めてやったんだけど、インスタのインスタライブみたいな感じで質問がバーッとくるわけ、やりながら。僕から向こうの顔は見えないのね。
東:そうなんですね。
森辺:それで、向こうもそれぞれが分からないから質問しやすいんですよ。「あの人がこんな質問した」とか、そういうことは一切見えないので。なので、インスタライブみたいに質問がバーッとこう来るんだけども、非常に面白かった。たくさん質問が出たの。リアルでやると1時間のセミナーで100人近く集まって、そんな20件近くも質問出ないじゃない、普通。
東:そうですね。
森辺:なんだけど、それぐらい出ているから、「ウェビナーっていいな」と思ってね。
東:やっているほうとしてはどうなんですか?やられたって。
森辺:いや、最初、だって一人劇みたいな話じゃない?
東:そうですね。(笑)
森辺:向こうの顔見えないで、ひたすらカメラに向かって話すわけだから。なので、やりにくいかなと思ったけど、意外に楽しめましたよ。反応があるのでね、そういう、コメントとかで、インスタライブみたいにね。
東:はいはいはい。
森辺:だから、まさにインスタライブのビジネス版じゃないかな。
東:うーん!
森辺:さすがに、われわれやらないでしょう?
東:そうですね。
森辺:そんな、インスタライブで、うわーなんてね。だから、そんな感じでした。
東:なるほど。分かりました。そこで質問を結構受けているみたいなので、その中から面白そうなのをピックアップして、リスナーさんに共有していきたいと思うんですけども。まず最初の質問なんですが、「海外販社を置く場合、よく、エクスクルーシブでないと相手は働かない等々言われることが多いのですが、いかがでしょうか?」という、たぶん海外販社、海外にたぶんディストリビューターを設置する場合という話だと思うんですけど、独占で、よく、くれということを言われるけども、その辺はどうなんでしょうか?というのが、たぶんいろいろリスナーさんも交渉しているとこういうことを言われたりすると思うんですが。
森辺:そうですね。
東:一般的にどうなんですかね、こういう?
森辺:よくありがちですよね。よくありがちというか、必ず言ってくると思います。向こうとしてみたら独占契約が欲しいと。今の大半の日本企業の契約書はどうなっているかと言うと、非独占になっているんですよ、契約書上はね。ただ、事実上、独占契約をしているという感じなんですよね。なんでそうなるかと言うと、一応、何があるか分からないから、独占なんていう契約書を結んじゃったら、契約にはんこを押した当人が責任を取らされるじゃないですか。だから、一応、非独占みたいになって「守りは完璧」みたいな契約書になっているんだけど、事実上、その人たち以外にディストリビューターを使うかと言うと使っていなくて、1カ国、理由なき1カ国1ディストリビューター制とかになっているので、実際は独占なんだよね。僕、それに対して、その通りなんだけど、「独占を与えたらいい」というのを結論からしたらお話をしていて。ただ、独占とコミットメントってやっぱり一対でないといけないんですよ。だから、独占を与える、「欲しい」と言っているというのは僕はいいことだと思っているの、ラッキーだと思っていて。向こうの立場からしてみたら、大して投資もしないわけじゃない?日本企業って、マーケティング投資もしないで「売れるんなら売ってみて」と。戦略もなく、取りあえずいいディストリビューターを探して「売れるなら売ってみて」というスタンスで。向こうとしては、そんなこともよく分かっていて、日本企業は、ものはいいけどマーケティングの支援はほとんどない。というか、もう戦略ないと。結局、その戦略もこっちで考えて、こっちで投資をしてやらないといけないというふうに思っているわけですよ。そしたら、ディストリビューターにしてみたら、人を雇って、マーケティング投資して、1年とか2年の契約で、だいたい1年更新じゃないですか。「やっぱりやめた」とか、「やっぱり撤退します」とか言われた日には、「今まで投資してきた分、何なんだよ」という話になっちゃうし、「別のところを使います」と言われたら「何なんだよ」というふうになっちゃうわけですよね。だから、本当に自分たちの狙っているターゲットにその1社で到達できるのであれば、ここは非常に、絶対条件ですけど、到達できるのであればその1社に独占を与えて、その代わり、「初年度いくらやる、次年度いくらやる、3年度いくらやる」ということをコミットさせる。そのコミットが守られなかったら、契約を独占的に継続するしないの可否はこちらで決められるような条項にしておけば、達成はできなかったけど付き合いたい場合だって全然あるわけじゃないですか。そしたら付き合えばいいわけですよ。常にこちらで切れる状態にキープしておく。そのほうが、向こうもより投資をするマインドになるので投資しやすいわけですよね。だから、僕は、そんな理由なき…、独占嫌がる理由というのはあまりないような気がしていて。明確な理由があるんだったら嫌がったらいいけども、結局、安牌だから一応非独占にしておく、なんていうのは全然意味ないと思うんですよ。なので、そんな回答をしたんですかね、確かね。
東:そうすると、今現状だと、エクスクルーシブになっているという、守備が完璧とおっしゃっていたんですけど、それはどこに問題があるという?
森辺:守備は完璧というのは、まずノンエクスクルーシブにしておけば、もしもと、いい相手からアプローチがあったときにそっちとも契約できるよね、という可能性を残しているわけじゃないですか。これができないと困るので。あと、僕、何百か、千か…、千いくつか数百ぐらいの、たぶん、契約書を今まで見てきていますけど、ほとんどが自分たちのrightsを守る契約書になっていて、売上とか数値に対する目標とかコミットメントみたいなものがほとんど記載されていないんですよ。自分たちの商品と類似したものを取り扱わないとか、つくらないとか、自分たちのブランドはこういう扱いをするとか、勝手にロゴを使わないとか、いわゆる本当にrightsを守るという内容ないいんだけども、当たり障りない契約書なんですよね。それよりも独占を与えてしまって、今年いくらやるとか、来年いくらやるとか、それ、コミットまでいかなくても目標として置いといたっていいわけじゃないですか。
東:そうですね。
森辺:だから、そこの攻めの部分が弱いのは一般的に言われますよね。
東:その攻めの部分が弱いと、ちょっとディストリビューター側を悪く言うわけではないですけども、ディストリビューターに何となく利用されてしまうみたいな、日本のブランドを扱っていることが。
森辺:メリットだからね。
東:メリットになったりするじゃないですか、ブランドによっては、という考えもあるという?
森辺:もちろんそうですよね。だって、日本と取りあえず契約をしておく、代理店契約をしておくというのは、向こうにとっては一切のマイナスはないわけだから、あと1つ、契約書に書いてないことも加味するというのは日本人だけで。あと、契約書に仮にこう書いてあったとしても、ここはやっぱり駄目だよねみたいな、いわゆる二重管理みたいな、わけ分からないのって日本だけで。契約書に書いてないものは書いてないんですよ。口で「いくらいくらやる」とか、「いくら頑張ります」とかって言っても、それは契約書に書いてないから、向こうにしてみたらその場のリップサービスみたいなもので。でも、一方で日本人だったら、契約書には書かないけど、そう言って議事録が残っていたら、それはもう契約書に書いてあるのと同義じゃないですか。あと、契約書に「責任はない」とかって書いてあっても、やっぱりこれはちょっと、そうは書いてあるけども、お客さんに迷惑かけられないから、これはちょっとうちで負担しよう、とかというのはあるわけじゃないですか。でも、そういうのはないわけですよ、一旦世界に出ちゃったら、特にアジア新興国に行けば。だから、やっぱり契約書に書いてあることはすべてなので、そこはだいぶ違いますよね。
東:分かりました。今日は時間が来てしまったので、ここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。