東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回はリコーさんのセミナーでの質問事項に答えてもらったんですけども、引き続き、質問が結構来ているのでお答えいただきたいと思うんですが。どれにしましょうかね、じゃあ…、これにします。じゃあ、これをちょっと読み上げたいと思います。
森辺:はい。
東:「ディストリビューションが大事だと思いますが、進出時は会社の規模やブランド認知が低く、優良ディストリビューターが相手にしてくれない。してもらっても優先順位が低いということも多いと思います。例えば、日本では有名でも世界ではブランドがない場合はそうなるかと思います。事業規模に応じて、ディストリビューターのレベルアップ、変更を図ることも必要なのかと思いますが、新規エリアでの販売を考えた場合、ECからスタートしたほうがいいのか、それともECと小売を同時で進めたほうがいいのか、ECと小売のバランスをどうしたらいいんですか?」みたいな感じの質問が来ているんですけど。
森辺:これね、ASEANセミナーだったので、エリアはASEANなんですよ。ものにもよると思うんですけど、たぶんこれはB2Cですよね。
東:そうですね。
森辺:消費財ですよね。
東:はい。
森辺:だから、ECということだと思うんだけども。やっぱり、もちろんものにもよるので、アパレルなのか、化粧品なのか、洗剤なのか、食品なのか、菓子なのかにもよるんだけども、ASEANでECだけで先行して始めても、なかなかちょっと厳しいのは厳しいと思います。なぜならば、ECを通じて販売されているFMCGの比率がまだまだやっぱり小さいから。
東:そうですよね。
森辺:これが中国だったら、ひと昔前は、見ないと中国人はネットで買わないから、「オンラインとオフライン同時に」みたいなことを言われていたけど、今はオンラインだけでもうまくやれば何とかなったりもすると思うんだけども、ASEANに関して言うと、オンラインの牌が小さいからちょっとあまり向いていないと思います。そうなってくると、やっぱり、リアルでディストリビューターをつくっていくということが必要になってくると思うんだけども。当然、その質問者さんがおっしゃる通り、最初は相手にされないと。この相手にされないというところが1つあって、日本で実績があっても世界で実績がないから相手にされないのか、本当にね。でも、ASEANの華僑のディストリビューターはもう分かっていて、いや、日本では実績があるけど、結局、あなたたちASEANの市場本気にならないでしょうと。商品だけ引き下げてきて、プレミアムだ、プレミアムだけずっと言い続けて、日本で売っている値段をベースにした値段で、また製品の改良とかも臨機応変に応じなくて、結局それを押し付けてくるだけでしょうと。自分たちがいいと信じているものをね。だから、相手にしない、ということも往々にしてあって、その真実を見極めないといけなくて。売れてないから相手にしないなんていうことは、僕はないと思っていて。日本でこれだけの実績があって、ASEANでもそれを売っていきたいと。そこに対して自分たちのビジョンこうあって、戦略はこうだというものをしっかり提言して相手にされないんだったら、そんなところは付き合わなくていいと思うと。また、誰に対してそれを提言しているのか。ディストリビューターなんて高々数百億円ぐらいの規模なので、やっぱりオーナー社長にそれを提言して、オーナー社長と話さないと、その辺の部課長さんに話をして相手にされなくても、彼は分かってないから、われわれがやろうとしているビジョンであったり、戦略のことをね。本当に一個人が相手にしないのか、オーナーが相手にしないのか、ということもちゃんと区別して、オーナーに当たってということもすごく重要だから。もう1つ、ステージによってディストリビューターを変えていくというのももちろん戦略としてはありだと思うんだけども、結局、業界内にうわさが立つわけですよ。「あそこ、ステージが変わったら変えられちゃうよ」と。「投資したって意味ないよ」というふうになると、変えられるのは2回までですよ。3回目はないというね。そうすると、どちらかと言うと、今一緒にやっているディストリビューターを育てていくというマインドにならないと、たぶん難しいのかなと思うんですよ。だから、できる限りいいディストリビューターを選ぶということはいいディストリビューターのオーナー社長に自分たちのビジョンと戦略をしっかり語っていくということと、それから、ある程度妥協して決めたんだとすると、それを成長させるということをしていかないといけないんじゃないかなというふうに思いますけども。
東:分かりました。ディストリビューターを変えることは1つの選択肢ではあるけれども、やっぱり成長をどうやってさせていくのかということに重きを置いて考えたほうが。
森辺:いいと思いますね。
東:いい。うんうん。
森辺:そのときに、どう考えたって、これ、自分たちが目標にしている数値までは成長できないだろうというところと最初組んじゃ、やっぱり駄目ですよね。だって、100億やりたいのに1億円の会社と一緒に100倍に成長させるなんて無理じゃないですか。
東:うんうん。
森辺:そうすると、言っても数十億ぐらいのところを3倍に成長させようとか、そういうレベルだと思うんですよね。だから、そこは見極めたほうがいいと思いますけどね。
東:分かりました。そうすると回答として、最終的な質問としては「ECと小売を同時に進めたほうがいいのか、ECと小売のバランスをどうしたらいいのか」ということに対しての回答としては?
森辺:としては、「小売が先。EDは後回しでも全然ASEANの場合は大丈夫です」というのが回答ですね。
東:分かりました。森辺さん、今日はここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。