東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回700回目ということで、701回目を迎えているわけですが、前回、森辺さんが言っていたB2BとかFMCGの印象というか、色が強いという。
森辺:そうそうそう。
東:リスナーさんの声もあるので、どんな、B2Bとか、ちょっと多少、振り先が違ったり、チャネルも違ったりすると思うんですけれども。ちょっとB2Bがどんなふうな感じでやっているかとか、森辺さんのB2B企業に対する印象とか、リスナーさんでもB2Bに勤められているリスナーさんもいらっしゃると思うので、ちょっとその辺をお聞かせいただければと思うんですけども。
森辺:そうなんですよ。FMCGって、ちょっとリスナーさん分からない方もいるかもしれないですけど、First Moving Consumer Goodsで。
東:例えば、どんなものがFMCGに?
森辺:食品とか、飲料とか、お菓子とか、日用品とか、そういうものなんですよね。あと、FMCG周辺とかっていうと、それに付随するような日用品とか。First Moving Consumer Goodsというのは、ほら、ものすごい速いスピードで消費されていく消費財、Consumer Goodsですよという略称なんだけども。
東:イメージで言うと、スーパーとか、コンビニとか、ドラッグストアで売られているものが。
森辺:そうそうそうそう。そうですね。
東:基本的にはFMCGと捉えていいんですかね?
森辺:うん、そうですね。例えば、牛乳とか、ヨーグルトとか、チーズとか、パンとか、まさにFMCGでしょう。そういう毎日買っていきますよみたいな、超FMCGみたいな。
東:うんうんうん。
森辺:そうじゃなくて、例えば、分からないですけど、そうだな…、分からない、アース製薬のアリの巣コロリとか、ああいうのは別に毎日買わないじゃないですか。ただ、言ったら消費財としてFMCG周辺、あと、分からないですけど、シャチハタのはんことかスタンプ台とか、こういうものも毎日は買わないけども、言ったら周辺のものだし。ペンとかもそうですね、文房具とか、そういうものがFMCGで。「森辺さんって、FMCGが専門ですよね」みたいなことを言われるんですよ。「いやいや、違いますよ」と。確かにクライアントの6割ぐらいはB2Cで、その6割のうちの7~8割はFMCGかもしれないですけど、でも4割はB2Bだし、ということを言うんですけど。あと、B2CでもB2Bをやっていたりするんですよね、ある一定のグループ。だから、「いやいや、そんなことないですよ。100%製造業だけど、B2BもB2Cもありますよ」なんて言って、B2Bも実際今あるんですけど。実は、日本のB2Bって海外売上比率が非常に高いんですよ。全然5割超えていたりとか。
東:そうですね。
森辺:8割9割いっちゃっている会社とかも全然あって。海外売上比率という意味では、圧倒的にB2Cが遅れていて、さらにFMCGが遅れているので、僕はこの会社を創業したときに、まずそこからテコ入れしていこうということで徹底的に始めましたよというのが、経緯だったんですね。
東:うんうん。
森辺:結局、ノウハウとかチャネルとかは共通しているので、FMCGを先にやっちゃえば、言ったら、食品、飲料、菓子、日用品、いずれの遅れている日本の消費財メーカーを一気にそこのチャネルにズドーンと落とせるわけです。ノウハウも一気にズドーンと落とせるので、先にそこに特化しましたよという話で。僕の前職なんかはB2Bのほうが多かったわけなので、実はB2B、意外に多いんですよということをよくお話をしますと。B2B進んでいて、ただ、海外売上比率という意味では高いんですけど、じゃあ、シェアで見たときにはどうなっているかと言うと、やっぱり欧米の先進的なグローバル企業の脅威があって、最近だと、やっぱり中国企業の追い上げがとてつもないと。今までのB2Bって唯一無二だったわけですよね。日本の企業しかつくれなかったから、しいて言ったら競合って日本企業でしょうみたいな。中国製は安かろう悪かろうだから、で済んでいたのが、もう品質はあまり変わらないですと。けど、値段はとっても変わりますみたいな。それでかなり追いつかれているし、追い抜かれているみたいなところで、ものすごく今、課題がやっぱりB2Bはあるんですよね。
東:森辺さんは、中国に住まれた2000年前半台と今では、中国企業の印象ってどんな感じですかね。たぶん、今は皆さん知っていると思うんですけども、昔の中国企業をどう見られていたのかというのは、若い人なんかはあまり、もう20歳、25歳とか、第二新卒の方とかって、もう5歳とかじゃないですか、そのときって。なんか、イメージがないと思うんですよね。
森辺:そうか、5歳か。そうですね。そうですよね。いやー、今のバスとか、バイドゥとか、アリババとか、テンセントとか、そんなのないわけじゃないですか。
東:そうですね。
森辺:GAFAの中国版みたいなのは存在していなくて。当時、深センなんていうのはIT拠点じゃなかったし、中国のシリコンバレーとか言われちゃっていますけど、アリババが孫さんから資金調達しました、ゴールドマンサックスも支援していますぐらいの、そんな状態だったんですよ。
東:駆け出しの。
森辺:駆け出しのときだったし。テンセントなんて聞きもしないし、タウバオだってそのときにはないし。
東:そうですね。
森辺:WeChat、そんなの汚い人民元でお金払うみたいなね。
東:(笑)
森辺:偽札かと言って、いつも100元札を出すと確認されちゃうみたいな、そういう感じだったわけですよ。それで、自分が偽札を掴まされたときの悔しさといったら、まあ、あれで、これ、どうしようかみたいな。ですけども、使ったら犯罪だしみたいな。
東:確かに。(笑)
森辺:感じだったので、そんな、なんか、バーコードを読んでピッなんてなかったわけですよね。だから、当時は本当に日本企業にとって中国企業なんて競合じゃなかったんです。また、販売先でもなかったんですよ。だって、中国企業なんかに売って、債券回収の問題どうするんだと言われていましたからね。
東:そうですね。はいはい。
森辺:「いや、そうじゃないでしょう。欧米の先進的な企業、中国企業にバンバン売っていますよ」というのが、当時のぼくのあれだったので。けど、怒られましたからね、「森辺君、なんて提案するんだと。そんなの債券回収ができなかったら、あなた責任取れるのか」みたいなことを言われたこともあったし、だから、そんな時代だけど、今、中国企業が一番金払いがいいでしょう?
東:そうですね。
森辺:なので、そんな時代だったし、あと、品質がここ20年で劇的に伸びていて。当時、笑っちゃうぐらい、これアニメですかというぐらい、アニメというか、その…。
東:(笑)
森辺:漫才ですか、コントですかというぐらい、面白いものが展示してあるわけです、展示会なんかへ行くと。それが、ときが経って2010年ぐらいになると、展示会に出ているものは良品なんだけども、量産に入ると不良品みたいな、そういう時代もあったんだけど、2000年とかって言ったら本当にコントでしたよね。
東:うーん。
森辺:だから、それこそ企業としての、そもそも企業としてコントでしたからね。
東:はいはい。
森辺:だって、今、リチウムイオン電池ナンバーワンの自動車メーカーのBYD。
東:はい。
森辺:もともとBMWのパクリのロゴみたいなのを車にくっつけて、広東省を走らせていましたし、あと、なんかパナソニックのパクリとか、ソニーのパクリみたいなメーカー、いっぱいありましたからね。
東:中国メーカーが自動車をつくっているのって、そのときって、正直…。(笑)
森辺:いや、怖い以外の何物でもないですよね。
東:(笑)そうですよね!
森辺:自転車に、何か側はめてるぐらいの勢いだったし、中国メーカーの自動車に乗るなんて、もうもうもう、怖すぎだったからね。
東:はいはい。
森辺:だから、恐怖だよね。
東:うーん。
森辺:本当に何を取っても恐怖だったという中国のその。そのイメージが、この20年でこんな劇的に変わるとは!という話でね。でも、これね、僕たちも知らないんだけど、戦後の復興、松下電器が「真似下(まねした)」と呼ばれて、要は日本企業もアメリカのものまねしていた時代があって。
東:そうですね。
森辺:欧米から揶揄されていたわけじゃない?
東:うんうん。
森辺:「このイエローモンキー、ものまねモンキー」とかって言われちゃってね。それと同じことを中国がやって、僕らもそれを揶揄したわけなんですけども、結局、逆転したもんね。そのときに、アメリカは新しい産業をイノベーションで生んで、言ったらGAFAみたいなものを生んでいったわけですよね。日本は中国に追い上げられたんだけど、何か変わるところを見つけられずに、いまだに品質・技術だとかって言っている隙に、中国がバスを生み出したわけだよね。
東:うーん。
森辺:バイドゥ、アリババ、テンセント、何だ…、あと何だっけ…、バスね。
東:はいはい。
森辺:を生み出したという、そういうあれだから。まあ、ちょっとね…、やられちゃったよね。
東:(笑)そうですね。
森辺:というのに尽きるよね。
東:うーんうーん…。
森辺:そうだね、まあ、そんな感じじゃないですかね。
東:結構、実感値として、その一言でいいですか。
森辺:ファーウェイだ、ファーウェイ。ごめん。バス、ファーウェイ。ごめんなさい。実感値として…、そう、そういう実感が強いですと。
東:分かりました。
森辺:だから、何なんだろうな、間違いなく言えることは、B2Bもそういった面で中国をもう安価品とか、自分たちのほうが品質が長けているからやれるとかっていうふうなところに戦略を持っていかないほうが絶対いいんですよね。
東:はいはい。
森辺:そうなってくると、やっぱりマーケティングで、B2Bってマーケティングすごく弱くて。B2Cはまだまだ結構マーケティングをやっているんですよ。だから、これからB2Bが海外売上比率が上がったのは分かったと。なんだけど、これからの勝負って、海外売上比率じゃなくて、世界シェアですよ。この世界シェアで中国に負ける、韓国に負けるとかということを、韓国には負けないかな、中国に負ける、欧米に負けるということをするのであれば、をどう改善していけばいいのかということを考えると、やっぱりマーケティングに力を入れていかないといけないから、これからは、うちもB2Bの支援をしっかりやっていきたいなと思っているんですよね。
東:うんうんうん。分かりました。ちょっと今日は長くなってしまいましたけども、一旦ここまでで、引き続きお願いします。
森辺:はい。
東:森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。