東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回の引き続きなんですけども、B2Bのお客さんからのお問合せが急に増えているような感じなので、一般的な悩みとか、こういうとこに悩んでいますよ、というのが、ちょっとリスナーさんにも共有したいなと思って、前回に引き続きやるんですけども。前回言っていた、チャネルづくりが弱いというところは、自国は当然、直販でやったり、目が届くので日本人が管理してディストリビューターを使ったりっていうのは、多少強弱はあれども、ある程度売上が立っていて、収益化の目途が立っていたり、黒字だったりするみたいなところが結構多いと思うんですけど。
森辺:拠点のあるところね。
東:そうですね。
森辺:タイとか中国とかね。
東:現地法人があるところ。それ以外のところって、本来ってどういうかたちで進める、工場があります、たぶん拠点を出します、その拠点があるところに関してはうまくいくけど、なかなかそれ以外がうまくいかない、みたいなところのご相談が多いのかなと思うんですけど。
森辺:そうですね、そうですね…。そうですよね。だから、製販拠点があるところは現地でつくって現地で売るから、言ったらうまくいっていますよと。かと言って、全部の国に生産拠点をつくるわけにもいかないし、需要の大きい国・小さい国ってあるわけだから、タイに工場を持っていたらベトナムに工場は要らないし、ミャンマーにも工場は要らないよね、という話になってくると。但し、タイの工場の人件費が高いからミャンマーに移そうとか、ミャンマーでつくったものをミャンマーの中で消費するんじゃなくて、それを第三カ国にどんどん輸出していこうという戦略上のことであれば、全然それは工場をつくっていったらいいとは思うんだけども。まあまあ、言ったらばらつきがあって。B2Bって、比較的、海外売上比率という意味では高いじゃない?
東:はい。
森辺:日本に比べて海外売上比率高いって、50%超えていますとか、もう7割8割海外売上ですという企業はいっぱいB2Bはありますと。でも、蓋を開けてみると、実はすごい売上が偏っていますと。拠点があるところに売上が集中していて、拠点がないところは全然というね。そこには、言ったらディストリビューション・チャネルづくりの下手さと言ったら失礼だけども、うまくディストリビューション・チャネルづくりがいってないというところが大きく要因として、原因としてありますよ、という話を前回したんじゃないかなと思うんだよね。本来ならば、拠点がない国は、よりディストリビューション・ネットワークの構築に力を入れるべきなんだけども、そこをやってきていないからやり方が分からないというのがたぶん1つで。結局、B2Bって、用途市場というのか、産業別に分かれるじゃない?売り先がね。例えば、この部品をつくっていても、この部品は、例えば、自動車産業で使われるし、はたまた通信インフラインダストリーでも使われるし、船舶でも使われるとかね、たぶんいろいろあると思うんだけども。そうすると、そのインダストリーが各国のいろんな集積地にあって、そこがターゲットになるわけだよね。そうすると、そのターゲットにリーチしているディストリビューターをその地域で探していく、ということになるわけなんだけど、それがなかなかやっぱり、やったことがないからどうやったらいいのか分からないという相談が非常に多いですよね。あと、競合をあまり意識してこなかったというのが日本のB2Bの製造業はあって。意識してこなかったと言うと語弊があるかもしれないんだけど、意識はしているんだけども、可視化はしてきていないと思うんだよね。自分たちはこれだけいいものをつくっているんだからこうであるということで来ていて、中国製は安いのは分かっているよと。最近、どんどん、どんどん、技術の差がなくなってきて追い上げてこられて、そこに困っているわけじゃない?一方で、ドイツ製とかアメリカ製とかって言うと、やっぱりちょっと欧米で少しマーケティングを駆使してダイナミックにやっているし、ちょっと彼らとわれわれは違うみたいなね、独自の路線を突っ走るみたいな。けど、なかなか今までのmade in Japanとか、made by Japanese企業の独自路線が通用しなくなってきて困っていると。プラス販売チャネルが弱いから、ダブルパンチで困っていますというのが、たぶんまとめると、多くのB2B企業の現状なのかなという気はするんですよね。
東:なるほど。そうすると、本来であれば、どういうかたちでどういう手順を踏んだらいいのかみたいな、そういうところは、森辺さんなりにありますかね?
森辺:重要なのは、やっぱり拠点のない国で自分たちのディストリビューション・チャネルをちゃんとつくるということだと思うんですよね。ただ、ちゃんとつくるためには、その市場がどれぐらいの市場性があるのかということをすごく見ないといけないし。例えば、ベトナムと言っても、ベトナム全土に市場性があるのではなくて、たぶんベトナムの中での産業が集積しているところがこことか、あそことかって分かれているわけで。それがどこなのかという特定と、それを仮に100%取ったときにいくらになるのかという、市場規模の算出。こういう、いわゆる市場環境的な話をやるということと。あと、必ずそこには競合が存在しているわけなので、日系のやることは、だいたい自分たちも日系だし想像はつくので置いておいたとしても、欧米系とローカル系、ローカル系というか中国系だよね。この人たちのやっぱり動きとか戦略とかっていうものをしっかり見るということをやりながら、ディストリビューション・チャネルをつくっていく。なんでそれをやれと言っているかと言うと、ディストリビューション・チャネルをつくっても、儲からない市場だったらせっかくの苦労が報われない、なので、市場を見ましょうねというのは1つだし。あと、ディストリビューション・チャネルをつくっても、競合のチャネルよりも弱かったら、これずっとシェアの差は開くわけなので、やっぱり競合のディストリビューション・チャネルが100だとしたときに、自分たちはどれぐらいのディストリビューション・チャネルをつくれるのかという基準値がないとつくれないので、そこをやっぱり見ていかないといけないという。でも、そういうことをやっているんですね、今、B2Bの製造業のクライアントさんとはね。ただ、やっぱりそれをやるまでは、「想像もしたことなかった」と言われるのね、そういう考え方。だから、「いや、これ考えてみたら、当たり前にやらなきゃいけないよね」とは皆さんおっしゃってくれるので、必要なことなんだとは思うんですけどね。
東:分かりました。ちょっと簡単にまとめていただくと。
森辺:話が長いからね、ごめんね。(笑)
東:いえいえ。(笑)
森辺:B2Bは、販売拠点、生産拠点がないところにはしっかりディストリビューション・チャネルをつくらなきゃいけないですよということが1つですと。ディストリビューション・チャネルをつくるんだけど、つくる前に競争環境と市場環境だけはしっかり調べましょう。それを調べないと、どういうチャネルをつくればいいかというのが大きく変わってくるので、その2つは調べましょうと。それを調べたらどういうチャネルをつくればいいかが分かるので、あとはチャネルをつくるということになると思います。
東:分かりました。森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。