東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、今コロナの中で、なかなかメーカーの方もリスナーの方もそうでしょうけど、海外出張に行けないみたいなかたちがある中で、少しグローバルの戦略も変わってきていると思うんですけども。今までは、どちらかと言うと、欧米もそうですけど、1点集中、1カ国集中してやって、できたらそれを水平展開みたいなかたちだったんですけども、当然、分散型でやられていた企業もいるでしょうし、グローバル、全グローバルで同時並行でやられるみたいな企業もいると思うんですけども。今後って、森辺さんなりに、どう変わっていくとか、どういう方向性のほうがいい、みたいな考え方ってありますかね?ちょっと大きな話にはなると思うんですけど。
森辺:もちろん経営資源がそれだけばらける問題なので、一概には言えないとは思うんだけども、考え方としては、やっぱり1点集中というのはリスクが高過ぎますよね。それこそ大手のメーカーさんでも、いろいろな国に展開はしているように端からは見えるんだけど、実は内部を見てみると、もう経営資源の大半は中国にフォーカスされているとか、別にASEANもやっているけども、今会社として予算がつけられるのは中国だ、みたいのって全然あるわけじゃないですか。
東:うんうん。
森辺:そういう意味では、やっぱりコロナが今後どういう状況になるのかは分かりませんけども、中国の、例えば、ある都市でそうなったときに、そこを1点集中だともう終わってしまうので、やっぱり分散をさせていくということはますます重要になってくるし。もう1つあるのは、これ、鎖国していたら、われわれもうじり貧になるだけなんだなということも、今回コロナが教えてくれた1つの重要なことだと思っていて。これはたぶん世界中の国の人たちが考えていて、「自国だけだとわれわれの経済って成り立たないんだ」ということが、これだけ世界中でGDPが下がっているわけなので。いかに人が大陸間を移動して、人・もの・金・情報が移動することによって経済活動がなされていたかということを、われわれは見せられたわけですよね。
東:はい。
森辺:なので、そういう意味でもやっぱり、自国だけというのもやっぱり駄目だし、グローバル化の必要性というものがこれで思いきり証明されたんだなというのは、僕はすごく感じていて。なおかつ、グローバル化も1点集中じゃ駄目で、やっぱりある程度分散させていかないといけないということは非常に感じましたよね。
東:企業さんによっては、グローバル化と言ったときに、海外に出て行くというのも1つの手でしょうけど、ここ、コロナ前はここ数年、インバウンドが結構好調で、「インバウンドがあるから大丈夫」みたいな企業さんも多かったと思うんですが、その辺が今回、結構なダメージを。
森辺:相当なダメージですよね。
東:うん。受けていると思うんですけど。やっぱりその辺を含めても見直さなきゃいけないみたいな。
森辺:そうですよね。例えば、インバウンド事業者のホテルさんとかレストランとか旅行社とか、これに対するアドバイスは僕の専門外なので。
東:そうですね。
森辺:ちょっとあれだけども、例えば、メーカーでもね、インバウンド需要をあてにしていたメーカーというのはやっぱりあって。それこそ菓子もそうだし、医薬品もそうだし。
東:化粧品とかもそうですよね。
森辺:化粧品もそうだし、そこが爆買いしていくわけじゃないですか。
東:うん。
森辺:僕、これ過去の収録を聞いてもらったら分かると思うけど、インバウンド事業だけで、こんなの持続的じゃないよ、持続可能な商売じゃないという話を。
東:はいはい。継続的には売れないという。
森辺:続かないねという、どこかで終わりが来るというのはお話をしてきたので、いわゆる起爆剤の1つにしかならないんですよね。インバウンドで人気が出たものをいかに海外の本国展開できるかということはすごく重要で、それを考えずに、インバウンド売れてるから、もっとインバウンド、もっとインバウンド、もっと銀座、もっと銀座、みたいなね。そうしてきちゃったところはやっぱりガクンと、化粧品でも落ちていますよね。
東:はい。
森辺:ブームのように、インバウンドで買われなくなって、これ、コロナで2年もね、1年も2年もこれ買わなかったら、別になくてもいいものになっちゃうわけですよ。
東:はい。
森辺:再びまたそのブランドに顧客が戻ってくるかと言うと、これちょっと、だいぶ怪しい話なので。
東:そうですね。
森辺:うん。やっぱりそこは難しい。中小企業ならいいですよ、インバウンドだけでもう十分なんだと。それだけでうちの会社の売上の大半を占めるので、「そんなわざわざ海外へ出てリスク背負ってまでやる意味ない」って、それはそれで正解だと思います。ただ、やっぱり、数売っていかないといけない大手の日用品、医薬品、化粧品、こういう会社はインバウンドが売れているから、うわーっという話じゃないと思うんですよね。
東:そうすると、より、やはり海外へ出て分散を、リスク分散の1つとして、今まだそのブランドを覚えているうちにきちっと根付かせないといけないということなんですかね。
森辺:そうですね。マーケティングをしっかりやっていくという。いや、まあ、本当にmade in Japanで日本でしか買えないというね。前に分かりやすいことを言って、ハワイアンクッキー、あるじゃないですか。
東:はい。
森辺:ハワイに行ったら日本人が必ず買うね。自分はハワイアンクッキーなんですと。だから、ハワイアンクッキーが日本のローソンで売っていたら誰も買わないと思うんですよ。ハワイに行ったって、今度買わなくなっちゃうので、ああいうポジショニングを狙うんだったら、それでいいわけなんですけど。大手の化粧品にしろ、日用品にしろ、医薬品にしろ、分かりやすく言うと、オレオにならないといけないわけじゃないですか。世界中で売ってないといけないわけですよね。
東:はい。
森辺:そうすると、やっぱり駄目なので。クッキーを例えに言うと、中小企業で「自分はハワイアンクッキーなんだ」と。しかも、高いでしょう、あれ?
東:うん。そうですね!
森辺:めちゃめちゃ、3,000円ぐらいするでしょう、あれ、ちっちゃいやつ。
東:(笑)
森辺:ああいうものなんだったらいいんだけど、「いや、オレオになるんだ」ということであれば、やっぱりインバウンドじゃ難しいですよね。
東:分かりました。時間が来てしまったので、今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。