東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:ベトナムの引き続きというか、ディストリビューターに関して言うと、結構、「どこがいいんですか?」というのをよく聞かれると思うんですけども、それって結構われわれからすると答えるのが難しかったりすると思うんですが。森辺さんはどういう感じで。ディストリビューターの選定をよくセミナーでも重要性を話されていると思うんですけども、その辺について共有していただくというか、セミナーを聞いたことがないリスナーさんもまだ多いと思うので、共有していただければと思うんですけども。
森辺:これはベトナムに限らずということですよね。
東:はい。ちょっと幅を広げて。
森辺:アジア新興国でディストリビューターを考えたときにね。
東:はい。
森辺:確かに業界別のディストリビューターのリストなんかをつくってお客さんにお出しをするということをやったときに、「どこがいいですか?」というふうに言われますよね。点数付けして順位を付けていくんですけど、それは1つの調査の観点で、順位を付けてお出しをするというのはいいと思うんですよね、1つの目安として。ただ、一方で、本当にどこがいいのかって、交渉の段階で決まっていくし、誰がどう交渉するかによってもう全然結果が違うんですよね。例えば、Aさんが交渉すると、この会社がよかったりするし、Bさんだったらこっちだし、Cさんだったらこっちだし。だから、誰がどのように交渉するかによって全然変わってくるので、結構、どこがいいですか?と唐突に聞かれると、「僕が管理するんだったら、僕が交渉するんだったらここだけど、今のお客さんの、例えば、経営資源を考えるとここだよね」ということは、全然起こり得るんですよね。でも、重要なのは、スキルセットとマインドセットで見るということがすごい重要で、スキルセットというのは、僕は3つ重要なことを置いていて。1つが提案力なんですよね。これはB2Cだったら小売への提案力だし、B2Bだったらユーザーへの提案力。2つ目が配荷力。小売だったら、小売店への配荷をする能力、これが1つだし、B2Bだったら、配荷力じゃなくて、アフターサービスの、対応力と僕は呼んでいるんだけども、いわゆるB2Bってだいたいアフターサービスが付いてくるわけじゃないですか。なので、対応力がどうかということと。3つ目が資金力なんですよ。ディストリビューターなので、当然キャッシュを回さないといけないので、キャッシュが少ない会社ってなかなか難しいですよね。100億円やりたいのに10億円しか売上がないところは絶対100億円できないですから、そういうことで資金力という。この3つをまず、やっぱりフラットに見ていったときにどういう順番になりますかということの順位を並べるというのが1個と。あと自分たちの事業、今の時点でどこまでのスキルセットが必要と。今、スキルセット、レベル10ぐらいでいいのに、これレベル30とか40の会社を選んだら20持て余すわけじゃないですか。そうすると、やっぱり少し先の未来を一緒にやっていけるぐらいのスキルセットで選ぶっていうのがやっぱりいいんじゃないかなと。例えば、完璧な会社のスキルセットを100としたときに、自分たちは今10ですと。これから新規で行きますといったときに、100の会社を選んだら、やっぱりほかにいろんな重要なプリンシパル、メーカーと付き合っているのに、これからやる会社の商品、そんなにマンパワー増えないでしょう。そうすると、「いや、スキルセットが一番高かったからここにしたんだ」と言って決めても、なかなか向こうの力が入らないと言うケースも往々にしてあるわけなので、自分たちのちょっと先の未来、3年先、5年先の未来ぐらいを想定してやるのが1ついいのかなと思うんですよね。それで僕は選ぶと、スキルセットは。もう1個、マインドセット。これは企業理念とか、あと社長の人柄、そういうマインドに関わるようなもので、ここはやっぱり最終的には決める一番の決め手になるんですけど、スキルセットがいいところが3社、4社ぐらいあったとして、最後はどこに決めますかと言ったら、やっぱりマインドセットですよね。同じぐらいのスキルなんだったら、一番あなたたちの、自分たちの商品を理解しようとしてくれていて、それの将来のポテンシャリティに自分たちは投資しようという意欲がすごく強くて、というところとやっぱりやりたいじゃないですか。この2つで見ていくんですけど。これってもう言ったらAIではじくとかっていう話じゃないんですよ。スキルセットはAIではじけても、基本的にマインドセットって自分で感じ取らないといけないので。だから、誰が表に立ってどう感じ取れるかということにもものすごい関係してくるんですよね。だから、難しいですよね、なかなか、「どこがいいの?」と言われても。
東:(笑)
森辺:その後、どういう対応をするのかにもよるじゃないですか。
東:はい。
森辺:例えば、契約した後、ここまでメーカーとしてできるんだったらここと付き合うけど、できないんだったらこの辺にしておいたほうがいいですよと。向こうも、あまり御社には力入りませんから、でも、力入らなくてもこれぐらい売れますから、これぐらいに留めておきましょうと。でも、こっち選ぶと、めちゃめちゃ力入りますと。めちゃめちゃ一生懸命やってくれるんだけど、御社は基本的に何もサポートできないでしょうと。そしたら、結局どこかで向こうがフラストレーション溜まってうまくいかなくなるだけなので、もうこういうところは…、本当はこっちを選んだほうがいいけど、御社がたぶん、メーカー側が対応できないからやめておいたほうがいいですよ、みたいな話にもなるよね。
東:はい。
森辺:だから、一概に言えないっちゃ言えないんでね。あと、僕、今まで見てきたディストリビューターとメーカーのうまくいかない要因の大半は、メーカー側にやっぱり、僕は要因があると思いますよ。理由がね。これはどういうことを言っているかと言うと、確かに悪いんですよ。ディストリビューターが悪いことをするとか、何か違反をしたとかあるんだけども、そうさせちゃったメーカー側がやっぱり悪いと思うんですよね、僕。だって、そんなのメーカーでいくらでもコントロールしようがあるもので、最初から悪意を持ってね、それじゃ反社じゃないですか、もう。そんなディストリビューターはいないわけなので。そこはメーカー側の原因なんじゃないかなというふうに思いますけどね。そうやって見ていくと。
東:分かりました。今日は時間が来たので、ここまでにしたいと思います。ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。