東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、引き続き、『グローバルの基本』というかたちで出版をしたので各章でトピックスをご説明いただいているんですけども、今回は第3回ということで第3章。第3章は「アジア新興国への参入戦略立案の具体的方法」というかたちで、参入戦略立案の方法を書いていただいていると思うんですけども、この章に関して少しコメントをいただければと思うんですが。
森辺:参入戦略と書いてあるんですけど、うちのクライアントももう99%参入しているじゃないですか。
東:はい。
森辺:参入していてうまくいかないのでもう1回再参入戦略をつくりますということが基本だと思うので、これから新しい新興国に出るというケースも、もう数ある新興国には出ていてさらなる新興国に出るという企業もいれば、これから今出ているところの再参入をつくるという、この2つの視点があると思うんだけど、両方の人向けに書いています。その中で、戦略をつくる上での、まず、どういうフレームワークを使いますかということを1つベースに、フレームワークを使いながら、こういうふうに戦略って、参入戦略ってつくっていくんですよということを書いているんですよね。どういう、何だろう…、まず最初にどういう順序であるべきか。例えば、「目指すべき目標で戦略は大きく変わる」と3-1で書いていますけど、3年で10億円目指すのと、3年で100億円目指すのって、戦略が全然、描くべき戦略が変わってくるわけじゃないですか。
東:はい。
森辺:だから、まず最初に数字ありきなんですよね。目標ありきなんですよね。じゃあ、その目標を達成するためにどういうことができるかということを書いていって、それが駄目なんだとしたら目標を下げるしかないので、もしくは、それで目標を上げるのか。なので、考え方じゃないですか、こういうことってね。あと、長期的な視点が重要だというところも考え方だし、こういう、少し考え方の部分の整理をまずさせてもらった後に、じゃあ、具体的にこのフレームワークを使いましょうと。僕らが会社で使っているフレームワークがいくつかあるわけじゃないですか。もう、その3つ4つぐらいしか使わないわけですよね、フレームワークって。なので、この3つのフレームワークをしっかりと埋めていけば、そんなに大きく失敗することってないですよと。多くの日本企業のアジア新興国における失敗って、「こんな失敗出る前から分かっていたじゃないか」と。要は、フレームワークをつくっているんだけども、そのフレームワークの中に入っていることというのは、「こうだったらいいな」ということを全部入れているわけですよ。例えば、「4Pもこうだったらいいな」と自分たちの視点でしか4Pを見ていないし、自分たちの視点でしか3Cをつくっていないわけですよね。そうじゃなくて、あくまで4Pというのはターゲット視点じゃないといけないし、3Cというのはもうファクトでないといけない。自分たちの主観が入っちゃいけないわけですよね。なので、いかに客観的に見れるかということは必要だし、あと、いかに競合と比較するかということもすごい重要なわけですよ。こういうフレームワークの使い方、考え方、われわれがお勧めするフレームワークはこれですよ。こういうふうに埋めていけば、参入戦略がカチッとできます。その参入戦略はそうそう外れることはないですよという、そんな説明をさせてもらっているというのがこの3章です。
東:なるほど。そうすると、まず数字ありきで参入戦略を立てていかないと、そもそも組み立て方が違いますよということなんですよね。
森辺:そうですね。
東:そこって意外とぼんやりしているというか。
森辺:していますね。
東:というところはあると思うんですけど。この数字の重要性というところで言うと、参入戦略を立てるにあたって、どういうところが重要というか、なぜ重要なのかというのを、もう1度、森辺さんなりに解説いただきたいんですけど。
森辺:マラソンするのか、短距離走を走るのかにもよると思うんですよね。例えば、400メートル走るときの速度調整と、42.195キロ走るときに最初からダッシュしたら途中で息切れするじゃないですか。けど、400メートルとか100メートルだったら最初からダッシュ。400メートルは最初からダッシュしないけど、100メートル、50メートルは最初からダッシュでしょう?
東:そうですね。
森辺:だから、それと一緒で、3億円やりたいのか、30億円やりたいのか、100億円やりたいのかによって、どういう経営資源を、どういうタイミングで、どう使うというのは絶対変わってくるわけですよね。そこがやっぱりトップの仕事だと思うんだけども、これって。トップが明確に示さないと、何年でいくらやるというのを。あと、もしくは、トップに何年でいくらだったらできますよということをボトムアップで示していくのか、両方あると思うんですけど、そういうことだと思うんですよ。ただ、海外で売り上げたいとか、そういう話じゃないし。これも「自分たちの国内の売上が100だから、海外でこれぐらいはやりたいな」とか、そういう訳の分からない話じゃなくて。「今、インダストリーはこういう市場規模があって、主要な競合がこれぐらいの数字をやっています。彼らがこの数字にいくまでに何十年掛かっていますと。そう考えると、私たちは向こう5年間こういう数字がおそらく妥当でしょう」みたいな、そうやって立てていくわけなんですけど。ここの最初の目標数値が結構ふにゃふにゃしている会社が多くて。取りあえずやってみるみたいな、やってみてどうなるかみたいな。いやいや、やってみてどうなるかは、ある程度仮説を立てておくことであって、その仮説があって、はじめてやってみてどうなるかだから、何の仮説もないまま、とにかくやってみるじゃ、なかなかちょっと問題あると思うので、そういうのは駄目よということが書いてあると。
東:分かりました。今日はそろそろ時間が来ましたので、ここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。