東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回に引き続きで、「どう戦うかより、どこで戦うか」という話もあったと思うんですけども、ちょっとその辺も含めて、もう少しかみ砕いたかたちでお伝えできればと思うんですが。
森辺:前回ね、「どう戦うかより、どこで戦うか」ということに少し議論をねしっかりしたほうがいいですよと、日本企業はもうどこで戦うかというのは当然のように決まってしまっているというね、そういうケースが多くて。タイで戦っていない、マレーシアで戦っていないのに、なぜいきなりベトナムなんですかという、なぜいきなりフィリピンなんですか、なぜいきなりインドネシアなんですかという。先進ASEANと後進ASEAN、ASEAN6の中でも難易度が全然違うし、タイでの戦い方とベトナムでの戦い方って全く違うわけです。そうすると、必要となるスキルセットだったり、ケイパビリティ、経営資源なんていうのも全部変わってくるので、やっぱり「どう戦うか」ということよりも、「どこで戦うか」ということを重要視しましょうと。特に日本人はそこの頭が抜けている企業が非常に多いと。いっときのミャンマーブームみたいなところでグワーッと流れたでしょう?
東:はいはい。
森辺:世論がミャンマーと言うと、ダーッと流れていくから、そういう意味では、やっぱりどこで戦うかということを、もっとちゃんとしましょうねという話を前回したんだよね。
東:はいはい。
森辺:それで、何だっけ?
東:じゃあ、「どこで戦うか」というところが重要だというのは、たぶんリスナーさんも、前回と今の話で分かったと思うんですけど、じゃあ、その「どこで戦うか」というのをどう議論すればいいのか、というのが何となく分からないのかなというのもあると思うんですが、できる範囲で言うと、どういったことから始めれば、しないよりしたほうがいいんだと思うんですよね。ただ、それをするにしても、当然、深さとか、どこまでやるかという話があると思うんですけど、最初の一歩として、どういうことがいいのかなというのは?
森辺:これを聞いてくださっているリスナーの皆さんの会社は、おそらくすでに海外展開はされているし、われわれの会社も支援って99%再参入支援という話なので、新規の支援というのは、それこそアフリカとかインドとか、さらに新興国に行かないとなかなかないわけなんだけども、基本的には再参入支援をしていると。そうすると、やっぱり難易度というのがグローバル展開には当然あるので、ASEANをやったことない企業がいきなりアフリカって、ちょっと無茶だと思うんですよね。そうすると、やっぱりやりやすい国、出やすい国から出ていくということが非常に重要で。それはやっぱりGDPとか、1人あたりのGDPがどれぐらい高いかという。これが高いとやりやすいんだよね。なぜならば、お金を持っている人を相手に、もしくはお金を持っている企業相手に商売ができるので、日本の土壌とそんなに大差がない。そのお金を持っているという大前提がある中で、じゃあ、文化がどうだとか、マレーシアとかインドネシアみたいにハラルがどうだとか、規制が、外資規制がどうだ、みたいなその他の条件を重ねて市場って見ていくので、そもそもお金がなかったら、なかなか難しくて。例えば、タンザニアとかね、タンザニアのGDPってインドネシアの20分の1とかなんですよ。そうすると、やっぱりインドネシアでまだやれていないのに、タンザニアでじゃあ事業できるかと言ったら難しいじゃないですか。そうすると、GDPと1人あたりGDPを見れば、だいたいその国の難易度というのがある程度想定ができるというので、そこにその他の条件を重ねていけばいいという話なので、やりやすい国からやるというのがすごく重要になってくると。
東:そうすると、GDPが高い国から優先してやっていかないと、ということですかね?
森辺:うん。B2Cで言ったら、GDPが低いということはね、1人あたりGDPも低いということは、どういうことかと言うと、伝統小売が大きいという話なんだよね。
東:うんうん。
森辺:そうすると、伝統小売を攻略する商品がないといけない。価格設定が必要になります。チャネルも重要です。そこで選ばれるための知名度も重要だ、必要だみたいな話になってくると、これは相当なノウハウが必要になってくるんですよ。しんどいじゃないですか。けど、例えば、GDPが高いとかね、1人あたりGDPが高い台湾とか香港とかね、韓国とかね。昨今の日韓関係のあれは、ちょっと除外して考えるとね、シンガポールとかね、こういうところは比較的やりやすいわけですよ。一方で、ベトナムとかフィリピンとかインドネシアというのは、大企業が今踏ん張っているのに、なかなか、じゃあ初めての会社がやれるかというとそうじゃないので。そこは非常に1つあるのかなというふうに思います。
東:分かりました。じゃあ、今日は時間が来ましたのでここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。