東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
<『グローバル・マーケティングの基本』の紹介>
森辺一樹の新刊『この1冊ですべてが分かる グローバル・マーケティングの基本』が出版されました。ぜひ、お近くの書店、Amazonでお求めください。
東:森辺さん、今日は久し振りに『グローバル・マーケティングの基本』から抜粋して、解説というか、おさらいをしていただきたいんですけども。今まで本章の中からピックアップしてきたんですけど、ケーススタディ、ケーススタディまでいかないんですが、Q&A、よくある質問をたぶん並べていただいて、それに本の中で回答いただいているんですけども、ちょっとそのケースを。
森辺:5章か何かですかね。
東:そうです。6章かな。
森辺:6章か。
東:簡単にご紹介できたらなと。まず1つ目、ケース1とあるのが、「新たな国へ展開する際に何から始めたらよいのか分からない」と。現状、消費財メーカーですと。現状、数カ国への海外展開を行っているが、今後新たな国へ自社の商品を販売していくことを検討していますと。今までは戦略構築ということを意識しないまま海外展開をしてきており、新たな国へ参入する際の戦略と言われても、正直何をどうしていいのか分かりません。参入戦略を立てるために具体的に何から始めたらいいでしょうかという。
森辺:なるほど。そうですね、ちょっと本に何て書いたか、いちいち見ませんけども、そういう質問は多いですよね。たぶん比較的大手の企業でも、今まで、じゃあ、戦略的に新興国展開してきたかと言うと、そんなことなくて、先進国とか、アメリカとかね、北米とかヨーロッパは比較的戦略的にやってきたんだけど、特に国内とかね。新興国に関しては、何かそういう話が向こうからあったら、じゃあ、やってみたら?というかたちで何となく進んできたというケースが非常に多くて、何かを戦略的に組み立てていったということはそんなにないのかなというふうに思うんですよね。戦略って選択と組み立てだと、僕は思っているんですよ。限られた経営資源の中で、自分たちが何をどう選択するのかということと、それを実行するために何をどう組み立てるのかみたいな、たぶん2つの要素なのかなと思っていて。そうなってきたときに、新たな国に展開をするとなったときに、まず重要なのって、一体自分たちはどんな時間軸で、いくらやりたいのということをまず大きな絵を描くということがすごく重要で、それによって戦略の中身って変わってくるじゃないですか。
東:はい。
森辺:いや、100億やりたいんですと、100億やらなきゃうちは意味ないんですと、最低100億ですと、5年以内にとかっていうことが明確にあるのであれば、もう輸出でちょろちょろやっていたって意味ないですねと。そうすると、100億やるための投資プランをつくっていきましょうと。お金いくら使えるんですかみたいな、買収するんですか、それとも、もう現地にローカルでも売れるような商品をつくるための工場を設立するとかね、そういう話になると思うんですよ。一方で、いやまあ、5年で取りあえず5億10億ぐらいのところをまずは目指していきたいということであれば、絶対に輸出でやるというのが選択肢としてはもうマストなので、基本的には輸出でやって、ある一定の売上規模までいったときに初めて、じゃあ、どうしますかということを切り替えていくわけじゃないですか。
東:はい。
森辺:輸出だとやっぱり天井があるのでね。なぜ天井があるかと言うと、日本で100円で売っているものを輸出するということは、そこに関税とかいろんなものが乗ってきて、最低でも1.5倍ぐらいにはなるわけですよね。そうすると、1.5倍で新興国に売るということは、やっぱり買える層が限られるので、市場規模が限られますと。本当の意味で中間層は狙えませんということになるので。一方で、新興国の最大の魅力は中間層ということを考えると、やっぱり基本的には現産現販になってくる。もしくはアジア圏内とかASEAN圏内でのサプライチェーンをつくって、供給網を再構築するみたいなものが必要なので、そういう選択肢になってくるのかなというふうに思います。というのが大枠の話。
東:はい。
森辺:もっと細かな話をすると、基本的には「R」-「STP」-「MM」からしっかり進めていけば、失敗する確率を減らすということがやっぱり重要なんですよね。なぜマーケティングのフレームワークを使って戦略をつくるかと言うと、失敗をしてしまう確率をとにかく減らしていくということが必要で、馬鹿みたいな失敗をしないということがやっぱりすごく重要なことだと思うんですよね。学びのない失敗。これは全く「R」-「STP」-「MM」をやらないと、学びのない失敗をいっぱいしちゃうので、それをなくすためにやるということと。あと、そのあと失敗しても仮説検証ができる失敗と、ただ無意味に失敗するのとじゃ、大きな違いなので、それをするために「R」-「STP」-「MM」をやっていきましょうねという話、回答になるのかな。
東:分かりました。では、まとめていただくと、どうなりますか。
森辺:「どういう時間軸でいくらやりたいのか」ということをまず決めるということが重要ですよと。戦略は選択と組み立てなので、それが決まれば、じゃあ、それをどういう経営資源の選択肢と、どういう戦術の組み立てでやっていくのかということがつくっていけると思うので、まずはそこを決めましょうと。決まったら、「R」-「STP」-「MM」のフレームワークに乗せて、やるべきことを粛々とやって、失敗するリスクをなくしていくと、消していくと、少なくしていくということになると思います。
東:分かりました。今日は森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。