東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
<『グローバル・マーケティングの基本』の紹介>
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東:では、森辺さん、引き続き『グローバル・マーケティングの基本』からケース2、2つ目は「伸び悩む海外売り上げを改善させたい」と。お菓子メーカーですと。早い国だと30年ほど前から、国内の商社や問屋を活用して、また一部の国では現地のディストリビューターと直接取引をし、海外販売を行っていますと。ただ、ここ10年の傾向で見ると、一応伸びてはいますが成長が伸び悩んでいるように感じますと。この伸び悩みを改善し海外売上を拡大したいのですが、どうすればよいのでしょうかと。
森辺:輸出でやっているということですよね。
東:はい。
森辺:まず、僕だったら、輸出でやっているので売れる場所って限られてくるわけじゃないですか。
東:うんうん。
森辺:FMCG、小売、消費財ですよね?
東:はい。
森辺:菓子メーカーでしたっけ?
東:はい。
森辺:そうすると、もう小売で売るという話だと思うんですよ。もしくは、Eコマースもあると思いますけど。基本的に自分たちの菓子が売れる場所って、もうある程度特定できていて、例えば輸出だと、伝統小売で売るなんていうことはほぼ不可能なので、金額的にもね。そうすると、ほぼほぼ主要の小売店ということになると思うんですよ。そこのストアカバレッジのいわゆる配荷率がどれぐらいあるんですかと、100置ける場所があるのに、まだ30しか置けていないんだったら、70置くということをまずやるということにもうフォーカスできるじゃないですか。
東:うんうん。
森辺:なので、それをやるということだと思うんですね。ただ、100置けるのに、おそらくほとんどの場合は8割9割置けているんですという状態なんだと思うんですよね。
東:はい。
森辺:そういう企業がさらに売上を改善させるためには、その8割9割置けているんだけども、置き方がまずいという話で、置き方がどうなんだというところの改善を探るということは、1つできることですよね。
東:はい。
森辺:あと、もう1つが縦軸のインストアマーケットシェア。置いてはいるんだけども、回転率が鈍いよと。だから、伸び悩んでいるんだよ。じゃあ、今度、その回転率を上げるため、セルスルーの率をより高速に回転させるための施策をどう打てるかというところにやっぱり投資のポイントがあると思うんですよね。なので常に売り場から見ていって、ストアカバレッジを見て、満たしているのであればそのストアカバレッジの質を見て、質も満たされているのであれば、じゃあ、どうやってインストアマーケットシェアの回転スピードを上げるかというところに投資の矛先を向けるということが重要ですよというのが1つポイントです。ただ、これってディストリビューターと一緒になってやることじゃないですか。むしろ、輸出でやっているということは、ディストリビューターが中心になってやっているということなので、ディストリビューターがなぜそこにアクションは行き届いていないのかというところを見る必要があって。多くの場合はディストリビューターのスイートスポットに今ちょうどはまっているという状態があると。
東:はい。
森辺:どういうことかと言うと、そのディストリビューターにとっては今の現状が最も利益率が高い状態。要は、これ以上売上を伸ばそうとすると営業マンが必要だ、小売の新たなリスティングフィーが必要だ、プロモーションコストが掛かるとか、いろんなコストが掛かるのね。
東:はい。
森辺:そのコストを投資をかけて、そのあと伸びるということ、やったら伸びるんだけども、別に今の状態だったらコストは掛からないわけで、利益があるので、その状態が心地良いんですよね、今のぬるま湯状態が。なので、なんだかんだ理由をつけて動かないという、こういうケースは非常によくあるという。なので、そういうところを見ていくという話ですよね。なので、その2方向から見ていくと、何をどう改善していけばいいのかということが見えてくると思います。
東:分かりました。そうすると、まずはディストリビューターと一緒にそういったチャネルをウォッチしていくということを重点的にやらなきゃいけない。
森辺:そうですね。なんかね、ディストリビューターもポイントがあるんだけど、「分かっている」と言うんですよね。分かっていて、確信犯でそのスイートスポットにいるケースと、いや、実は分かっているようで分かっていないというケースもあって、だから、そういう場合って、やっぱりディストリビューターにいくら言っても、「いや、こうだから」と。「日本で分かっていないメーカーが何言ってんだ」という話になっちゃうのでね。なので、こちらでファクトを掴むということはすごく重要で、例えば、さっき言った、ストアカバレッジ100入るはずなのに、3しか入っていないよね、4しか入っていないよねとかね、残り5入るよねとか、6入るよねみたいな話をするのか、もしくは8割9割入っているんだけど、入り方が悪いよねと、他社の製品は5SKUでめちゃめちゃこのエンドコーナー獲っているのに、うちは全然獲れていないとか。マーチャンダイジングがうまくいっていないとか、そこに問題があるとかっていう、問題をこっちで究明して、それをディストリビューターに提示するということをまずやる。セルアウトが悪いというのは、やっぱり顧客体験が生かされていないという、売り場での選択に負けているという話じゃないですか。お客さん、消費者が菓子を見たときに、菓子ってね、結構、5社メーカーいたら、似たようなものを5社が出しているわけじゃないですか。
東:はい。
森辺:そうしたときの選択競争に負けているので、やっぱり売り場での選択をどう有利にさせるかというプロモーションを打つということも重要だし。あと、実はモノ自体がね、食べても、まずいからこれリピートしていないんじゃないの?ということも考えていかないといけないと思うので。そんなところの原因を追究するということがたぶん先決だと思うんですよね。
東:分かりました。今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。