東::こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺:一樹(以下、森辺:):こんにちは。森辺一樹です。
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東:森辺さん、今日も『グローバル・マーケティングの基本』から第6章のケースを少しご紹介したいと思うんですけども。
森辺:お願いします。
東:ケース4の「現在のディストリビューターでこれ以上シェアを上げられるかどうか悩んでいます」と。20年以上お付き合いしているディストリビューターですが、最近本当にそのディストリビューターでこれからさらにシェアを上げていけるのかが不安ですと。こういった課題に直面している場合、どうすることが適切なのでしょうかと。
森辺:なるほどね。ほとんどのたぶん企業さんは、この課題を持っているんじゃないですかね。「自分たちのディストリビューターにもう十分満足しています」と胸を張って言えるメーカーさんって、たぶんほとんどいなくて。もっと言うと、自分たちのディストリビューターの競争優位を数値で把握できているというメーカーさんも日本の企業もほとんどいなくて。本当にいいのかどうなのか分からないという状態が一番嫌じゃないですか。
東:うーん。
森辺:これはだって経営として選択ができないですから、選択をしないということは、戦略がないということなので、やっぱりその状態が非常に危険ですと。だから、ディストリビューターを変える変えないを問わず、まず今のディストリビューターが本当にイケてるのかイケてないのかということを数値で理解をする、可視化するということはまずやらないといけないですよね。
東:はいはい。
森辺:もう、すぐにでも。
東:うん。
森辺:それって、例えば、すべては競争じゃないですか。競合との競争なわけで、市場に競合がいなければ、別に何の戦略も、何の戦いもする必要はなくて、いいものを市場にただ供給していればそれは売れていくという話なんですけど。基本的には競合との競争ですと。
東:はい。
森辺:そうなったときに、競合のディストリビューターの競争優位をまず見て、数値で見て10としたときに、自分たちのディストリビューターっていくつなんだろうということをやっぱり調査して可視化をしていかないといけないですよね。
東:うんうん。
森辺:じゃあ、これはどうやるんだという話なんですけど、これを自前でやるというのは無理で、そんなことは競合は教えてくれないので、やっぱりそれは餅は餅屋で、調査会社に依頼をする。これも消費者系の調査とかインターネットの調査をやっているようなところがやるような調査じゃないので、やっぱり産業系の調査に強い、…別にスパイダーの宣伝をしているわけじゃないですよ。うちじゃなくても全然結構だと思うので、シンクタンクさんとかね、何とか総研とか、あるでしょ。ああいうところに依頼をするとそういうことをやってくれますから。そういうことをしていくと、「ここで十分なんだ」ということが分かってくるので。あまりにもね、日本の企業はね、自分たちのディストリビューターの戦闘能力を把握してなさ過ぎで、何だろうな、戦争に例えるのもよくないですけど、旧式の戦闘機に乗って戦争に出ちゃったら、勝てるわけないじゃないですか。
東:うんうん。
森辺:向こうはレーダーとジェットエンジンついて、ミサイルも何発も搭載しているのに。すぐ撃沈ですよね。スピードが違っていたりとかって。そういうことが分かっていないのに、よく戦いに行くなと思って。怖くないのかなと思うんですけど。そこはね、やっぱり日本企業の弱点というか、いや、そんなことよりもしっかり鍛錬すれば大丈夫みたいなね、なんかそういう幻想がやっぱり大きく広がっちゃっているので、事実を可視化するということがすごく重要じゃないかなと思いますけどね。
東:じゃあ、まず事実を可視化して、どうする、変えるのか、そのままでいくのかという選択をするということが重要だということですね。
森辺:そうですね。例えば、事実を可視化するときに、どういうポイントを可視化するかといったときに、例えば、組織体制はどうなっているんですかといったときに、もうこれはキーアカウントマネージャーのレイヤーで、もう圧倒的に数が足りていないじゃんとかですね、セールスの数が本当に全然足りていないよねとか、あと、競合のディストリビューターの組織体制も素晴らしいながら、組織の管理の方法、育成の方法もすごく素晴らしいねみたいなのに、自分たちのディストリビューターはどうなっていたんだっけみたいなのを見ていくと、やっぱりそこが全然だったりするんですよね。よく掘っていくと、うわ、競合っていろんなディストリビューターのいいキーアカウントマネージャー、全部そっちに移動しちゃっているじゃんみたいな。何なら自分のディストリビューターにもいたかつてのいわゆる英雄的なキーアカウントマネージャーももう向こうへ行っていたんだねとか。そういうことも往々にしてあるので、組織体制とその組織がどう管理育成されているのかというのはしっかり見ますし。その結果が配荷率とか小売との強固な関係性とかにつながっているので、そういうところを追っていくと、数値ではじき出すことは可能になるんですよね。なので、そんなことをよく見たりします。
東:分かりました。今日は森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。