東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
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東:森辺さん、前回に引き続き、『グローバル・マーケティングの基本』からケースを要約してお伝えしているんですけれども、ケース7で「良いディストリビューターを選ぶポイントとは?」。消費財メーカーです。ディストリビューターはどのように選定すべきでしょうか。良いディストリビューターを選ぶポイントを教えてくださいと。
森辺:分かりました。ちょっと本に何て書いたか覚えていませんけど。覚えていないというのは、今、手元にないので見ていないんですけども、基本的に良いディストリビューターを選ぶ方法って、これもよく聞かれるんですけどね、「何をもって良いディストリビューターと定義しているんですか」ということはすごい重要で、良いディストリビューターなんて企業によって全然違うんですよ。A社にとっての良い、B社にとっての良い、C社にとっての良い、D社にとっての良い、全部違うんですよね。そうすると、良いディストリビューターという定義をやっぱり明確に決める必要があって、これって誰と売るかよりも誰に売るかを先に決めろということをよく僕は言うんですけど、それに通じていることがあって。結局、自分たちは誰に売りたいんだと。そこに売れるディストリビューターが良いディストリビューターなんですね、僕の定義はね。そうなってくると、自分たちが売りたいところをまず特定するということがすごく重要で、そこに売れるディストリビューターを探す、彼らと契約交渉するということがすごく重要なわけなんですけど。多くの日本の製造業は、誰に売るかを何となくぼんやり設定したまま、とにかく大きなディストリビューター、気の合うディストリビューター、日本のことを理解してくれるディストリビューターみたいなところに寄っていきがちなんですよね。そんなことはもう全然関係なくて、自分たちが誰に売りたいのかと。だって、そこに売ると自分たちが目標にしている数字が達成できるわけですから。そうすると、そこに一番売れるディストリビューターというものを特定していくということがやっぱり重要なので、良いディストリビューターを探す方法って言いましたっけ?良いディストリビューターを。
東:選ぶポイントは?
森辺:選ぶポイントは、もうそこですよ。自分たちがどこに売りたいのか。そこに売れるディストリビューターということがまず大前提です。
東:はい。
森辺:そうすると、スキルセットというものが決まってくるわけですよね。自分たちが売りたい先に、僕が言っているスキルセットというのは、提案力と配荷力と資金力なので、まず自分たちが売りたい先に提案できる、配荷できる。自分たちの資金力というのは、ディストリビューターというのは1回買って在庫して売る仕事ですから、100億やりたいのに売上50億の会社とビジネスできないじゃないですか。なので、100億やりたいんだったら、やっぱり何百億の会社と付き合わないと難しいですね。こういう最低条件ですよね。これを、スキルセットをクリアさせて、なおかつ、もう1つマインドセットというのは、企業理念と、それから社風、社長の人となり、この3つを僕はマインドセットと呼んでいるんですけど、最終的にはディストリビューターなんていうのは担当者と交渉しても、社長の鶴の一声でクッと方針が変わっちゃうので、オーナー社長といかに話をして、彼らが自分たちがその国でやろうとしていることをどれだけ共感して、どれだけの熱量でそれを一緒にやろうと思ってくれるかというところがすごい重要で。だって、投資ですからね、ディストリビューターにとってもね、新たな商材をやるということは、それなりに経営資源を使って投資をして、次の柱をつくっていくわけじゃないですか。それぐらいの意気込みがある、感じられるようなマインドセットの高いディストリビューターを選ぶということが重要だと思うので、最終的にはそこの話になると。これも、たぶん詳しく『グローバル・マーケティングの基本』で書いているので、詳しくはそこを読んでもらったらと思いますけども。そんな感じですかね。
東:分かりました。今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。