東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
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東:森辺さん、前回に引き続き、『グローバル・マーケティングの基本』からケースをご紹介して、要約してお伝えしているんですけれども。ケース9で、「近代小売への効率的な導入方法は?」。消費財メーカーです。新規に参入する場合、たぶん新規に参入する国があって、たぶんその近代小売への効率的な導入方法を教えてくださいと。一気にやるべきなのか、それとも少しずつやるべきなのかで悩んでいますと。
森辺:なるほど。結論から言うと、少しずつやったほうがいいと思います。一気にやれたらそれはいいんですけど、とてつもない経営資源が掛かります。なかなか日本企業って、その経営資源をしっかり投資してというような会社ってそんなにないと思うんですよ。いきなりそれって成功体験とか実績とか型が会社にないのにね、いきなり網羅的にドーンみたいなのって、まずないと思うので。そこはちょっと一歩一歩やっていくということのほうがロスが少なくていいんじゃないかなというふうに思います。どういうふうに効率的にやっていくかと言うと、ASEANでしたっけ?新興国ですよね?
東:うーん。ちょっと、国は書いてないのであれですけど。
森辺:まあまあ、どこかの国で。基本的に首都を狙うということはすごく重要で、近代小売を狙うと言っている時点でかなりプレミアム系というか、ハイスペック商品なわけじゃないですか。
東:はい。
森辺:いわゆる良いモノなわけですよね。そうすると、伝統小売に置きにくいようなものだと思うので、まずは首都を攻めるということはすごく重要で。首都を選んだら、今度は小売を選ぶということをやる必要があって、小売もスーパー、コンビニ、ドラッグとかっていう系統があるじゃないですか。
東:うんうん。
森辺:自分たちの商品が最も適している系統は、ドラッグストア系なのか、コンビニ系なのか、スーパー系なのか、何なのかということを特定をまずして、それが仮にコンビニだとしたら、やっぱりコンビニから攻略するということがすごく重要だと思うんですよね。それがスーパーだと思うんだったらスーパーから攻略したらいいと思うんですけど。じゃあ、仮にコンビニだとなったときに、コンビニもA社、B社、C社ってあるわけじゃないですか。
東:うん。
森辺:そうすると、どこと自分たちは一番最初にね、半年、1年独占でやるというと、A社とやりますとやったらA社が喜ぶわけですよ。まあまあ、実名で言ったらいいかな。セブンイレブンとかね、ローソンとか、ファミマじゃないですか、だいたい海外、ASEANにあるコンビニってね。
東:うん。
森辺:そうすると、じゃあ、セブンとやります。じゃあ、セブンとやるんだったら、もうセブンとまずは半年、1年の独占でね、先行でやっていくと。そのセブンの中でも、例えば、店舗がね、仮に1,000店舗あったとしたら、1,000店舗を一気にやるのではなくて、まず100店舗からやるとかね。その100店舗で実績を積むと、ほかの店舗でもやりたいとなってくるわけですよ。そうしたときに、やっぱり導入費の交渉とかがすごい楽になりますよね。最初の100店舗はそれなりに払わないといけないけど、1,000に伸ばすときに、この商品は置けば売れるから、そんなに導入費を取らなくてもいいみたいなね。そこでセブンイレブンが成功すると、今度はファミマとローソンも、うちでも売らせてよって絶対なってくるんですよね。
東:うん、うん。
森辺:でも、導入費掛かるんだったらちょっとな…って交渉ができるわけだから、そうすると、またそこで得するわけじゃないですか。
東:はい。
森辺:コンビニで売れたら、今度は絶対スーパーがスーパー用のパックをつくってくれと、大量入りの入り袋をつくってくれという話になるので、そうすると、今度はスーパーとの交渉も楽になるので、スーパーに行って、ドラッグに行ってみたいな、そういうかたちで段階的に増やしていくというほうが絶対にいいんじゃないかなと。もし、修正が起きたときに、戻ってまた修正してまた再チャレンジみたいな、仮説検証の繰り返しプロセスが非常に小さな範囲で行われているので楽に進むじゃないですか。圧倒的な勝ちパターンがもう完全に自分たちはこれだというのが分かったら、一気にドーンと広げていったらいいので、そこまではやっぱりね、限定的にやっていくということが得策だと思いますけどもね。
東:分かりました。では、限定的に進めて成功体験を積み重ねていくみたいなかたちが一番効率的だということですかね。
森辺:はい。
東:分かりました。森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。