東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
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東:森辺さん、『グローバル・マーケティングの基本』からケースをご紹介しているんですが、最後のケースになるんですけれども、「新興国で成功するために最も重要なこととは?」と。日本の消費財メーカーが新興国で成功するために最も重要なことは何でしょうかと。
森辺:中間層です。中間層のことだけを考えるということはすごく重要で。そもそも新興国になぜ出るんでしたっけということに立ち返ってもらいたいんですけど、新興国の最大の魅力って中間層なんですよね。これは消費財メーカーにとって、100円200円のものを売っているわけじゃないですか。
東:はい。
森辺:中間層は数の原理がもう絶対で、1本1万円の化粧水を売っているんだったら富裕層に行ったらいいし、1箱1万円のチョコレートを売っているんだったら、これも富裕層に行ったらいいと思うんですけど、というか、そもそも新興国に行かなくていいですよという話になってしまう。そうではなくて、この爆発的に拡大する中間層、アジアだけでも30億人と言われているわけですよね。ここを獲りにいくということは、やっぱり中間層にターゲットがもうFixなんですよね。
東:うんうん。
森辺:ここから絶対ブレない。まず富裕層からとか、上位中間層とか、わけ分からないことを言わずに中間層、ど真ん中をもう設定してしまって、その人たちに売るにはどうしたらいいんだということだけを考え続けてやり続けるということがすごく重要で、成功していない日本の企業って、、そうなっていないんですよ。何かいろんな事情があって、いやいや、原材料がどうだとか、生産コストがどうだとか、何とかがって、もうそんなことは中間層には全く関係なくて、立ち返る。だって、あなたの会社の商品は70円ですよと。何十万個売ったらあなたが求めている利益に到達するんですかと考えると、もう中間層をやらないと絶対に合わないんですよ。そしたら、中間層が求める商品に変えないといけない。中間層が賄える価格を設定しないといけない。僕は安くしろと言っているんじゃなくてね、高くて結構なんですよ。高くて結構なんだけども、消費財ってね、1回2回買えたって意味なくて、繰り返し買えるという、賄えるということがすごく重要で、賄える価格に設定をすると。伝統小売、買いやすい場所に置くということがすごく重要だから、伝統小売から逃げていたらもう駄目で、最初から伝統小売をしっかりやるということと。あと、全く、日本では巨人かもしれないけど、現地に行ったら小人なわけですよ。そうすると、新興国の人たちが棚に知らない商品が置いてあって手に取るかって、取らないですよ。日本だったら、日本人だったら知っているから取るわけじゃないですか。普通に、何の疑いもなく。
東:うん。
森辺:でも、知らない中国製のお菓子が置いてあったら取りますかって、取らないですよね。でも、その中国製のお菓子が何なのかということを宣伝してくれたら、プロモーションをしてくれたら、「ああ、なるほど、1回食べてみようかな」となるわけなので、やっぱり知らせる、プロモーションするということは絶対重要ですよと。この4Pをしっかり設定する。もっと言うと、4Cで設定するみたいなことをやっぱりやらないと、なかなかうまくいかない。なので、新興国で最も重要なのはそこになるのかなというふうに思います、消費財メーカーにとってはね。
東:なるほど。では、最後にちょっと、新興国で成功するために最も重要なこととは?
森辺:中間層。
東:もう1回振り返っていただいて。
森辺:中間層です。ターゲットをもう1回、消費財メーカーはね。B2Bは違いますよ。B2Bは中間層は関係ないので、消費財メーカーであるのであれば中間層です。この中間層のための4Cをつくるということがすごく重要で。なぜうまくいかないかと言うと、もうターゲティングとその4Pしかないんですよ。企業がうまくいかない要因というのは。そうすると、ターゲットが間違っているか、もしくは、ターゲットは合っているんだけど、そのターゲットに対する4Cとか4Pが間違っているという、ここをもう1回突き詰めていくと、何をどう改善したらいいのかということが明確になるので、ぜひ皆さん1回整理をしてみてはいかがでしょうか。
東:分かりました。今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。