東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、またちょっと『グローバル・マーケティングの基本』の書籍からかいつまんでお伝えしたいと思うんですけども、今日はいろいろお問い合わせとかもある第2章の「先進グローバル消費財メーカーに学ぶアジア新興国のチャネル戦略」というのを少し順を追って、かいつまんでいきたいと思います。まず最初に、2-1 第2章の1なんですけども、「「海外売上比率」ではなく「現地シェア」を見る」と、「海外売上比率が高くても現地シェアが低ければ意味がない」ということで、ここについて解説いただきたいんですけれども。
森辺:これなんですけどね、海外売上高、海外売上比率か、よく、ほら、上場企業なんかは、うちの会社は。
東:IR資料とか。
森辺:IR資料とかね、うん。「うちの会社は海外売上比率が5割を超えていてとてもグローバルな会社なんです」ということをアピールするんですけど、一見すごいなと思うんですね。
東:そう。うんうん。
森辺:なんですけど、それって日本を軸にして世界を見ているから、日本に対して海外売上比率がどうだという話をしているんだけれども。じゃあ、日本が世界のGDPで占める日本のパーセンテージって、確か6~7%ぐらいだったと思うんですよね、8%ぐらいあったかな。そうすると、グローバルのほうが圧倒的に大きいわけだから、そもそも国際マーケティングとグローバル・マーケティングの違いって視点なんですよね。
東:はい。
森辺:国際マーケティングの視点というのは、日本から見た世界なんですよね。でも、グローバル・マーケティングって大気圏外から見た世界みたいな。
東:はいはい。
森辺:言っている意味分かるかな。ちょっと…。俯瞰して見るというんですかね。
東:(笑)ちょっと、怪しくなっちゃいましたけど。
森辺:俯瞰して見るというんですか。
東:はいはい。
森辺:大気圏外ぐらいまでグーッと自分の視点を上げてみて、そこから世界を見ると、日本に対して売上比率がどうこう、ああこうと言わないじゃないですか。
東:はいはい。
森辺:タイではうちはシェア〇%ですと、マレーシアではシェア〇%ですと、フィリピンではシェア〇%ですと、こういう視点になる。本来、継続的に勝ち続けていこうと思うと、海外売上比率が高いなんていうことはどうでもよくて、どちらかと言うと、自分が今、攻めている国のシェアがどれだけ高いのかということが非常に重要になってくるんですよね。そうすると、先進的なグローバル企業ってアジアパシフィックリージョンの管轄とかっていうと、そこはアジアの、アジアパシフィックのそれぞれの国のシェアを見るから、先進グローバル企業というのは海外売上比率、アメリカが1位に対して海外がどうなんて、そういう指標はまったく使わないですよということを言っている項目ですかね、章かな、2-1はね。
東:そうですね、なるほど。そうすると、海外売上比率というのも、重要は重要だけども、グローバルメーカー、先進グローバルメーカーが主要としている着目点というのは現地シェアのほうであると。
森辺:そうです。海外売上比率で見ちゃうと何が危険かって、例えばタイにいる日系企業に商品を輸出していても、販売していても、それは海外売上比率になるんですよね。タイの日系だから。海外売上比率5割ですという会社の中身を分解していくと、実は5割のうちの3割は日系企業じゃんと、海外のね。そしたら、海外売上比率なんて2割ってことじゃない?という話になっちゃうので、非常に危険な指標であるのも事実なので。重要なのは、自分たちがマーケティングをやっている国のシェアがどうなのかという、こういう見方をする。そういう見方をすることこそがグローバル・マーティングなのでね。なぜ国際マーケティングと言わずにグローバル・マーケティングと言っているかといったら、まさにその視点の違い。なぜインターナショナルと言わずにグローバルと言うかというと、まさにその視点の違いなので、そこをしっかりと意識をするということが重要かと思います。
東:分かりました。今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。