東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回に引き続いて、『グローバル・マーケティングの基本』からやっていきたいと思うんですけど。2-6になりまして、「ストア・カバレッジとシェアの相関関係」とありますけども、「ストア・カバレッジを上げなければ、マーケットシェアは上がらない」というかたちで、ここは短めなんですが、結構重要なところだと思うんですけれども、ここを詳しくご説明いただきたいんですけど。
森辺:消費財メーカーにとってストア・カバレッジを上げることがシェアを上げることですよというようなことを書いていて、非常に当たり前のロジックなんですけど。ストア・カバレッジって間口とかって呼ばれたりしますけども、いわゆる自分たちの商品が配荷されている店舗数のことなんですよね。当然、店舗数が多ければ多いほどシェアは上がっていくわけじゃないですか、物理的にはね。
東:はい。
森辺:もちろん、配荷している店舗が多くてもその店舗で売れないという現象は、物理的には起こり得る。ただ、売れていかない、回転していかない、セルアウトしていかないと、その店舗からは撤去されますので、基本的にはストア・カバレッジが増え続けて維持され続けていくということはあり得ないわけなので、ストア・カバレッジが伸びているということは、=売れているということなんだよね。なので、ストア・カバレッジが高いということは、シェアが高いですよと。こと新興国においては、店舗数で言ったらもう0.1%の近代小売に対して99.9%の伝統小売みたいな数でしょ、数の原理で言えばね。
東:はいはい。
森辺:そうすると、伝統小売を含めたストア・カバレッジを上げていくことがシェアを上げるということにつながりますよという、そういうことを書いているんじゃなかったかな。
東:はい、そうですね。
森辺:ストア・カバレッジが低いのに、シェアが高いなんていうことはなくて、一方で横軸をたぶんストア・カバレッジを取っているでしょ、僕、よくいろんな資料でね。
東:はい。
森辺:縦軸というのが、さっき言ったインストア・マーケットシェアで。これは単純に言うと、1店舗あたりの売上というふうに捉えてもらっても構わないんだけども、基本的には、僕、1店舗あたりの同一カテゴリー内での売上というふうな定義をしていて。だから、インストアシェアじゃなくて、インストア・マーケットシェアと呼んでいるんだけども。これはどういうことかと言うと、お菓子ならお菓子のカテゴリーのシェア。例えば、チョコを自分が売っていて、チョコを買う人というのは、店舗に行って、チョコ買おうと思ったけど飴買おうと思ったというので、飴は競合するので同一カテゴリーとみなしてもいいと思うんですよね。ただ、チョコを買いに行こうとした人がね、いきなりカレーを見てね、カレーのルーを見て、カレーのルーを買って、だから、チョコを買うのをやめましたとはならないじゃない?
東:はいはい。なりにくいですよね。
森辺:なりにくいよね。チョコを買いに行って、洗剤を買ったからチョコを買うのをやめたと。なので、この人たちとは比較する必要はないので、いかに同一カテゴリーの中でのシェアが上がるかということがすごく重要で。でも、そんなに細かいことはややこしければ、1店舗あたりの売上というふうに捉えてもらってもいいと思うんだけども。その2つを上げていくということがもう唯一やるべきことなんですよね。すべての戦略はこの2つをどうやって上げるかということだけに集中すればいいという、非常にシンプルな話ではあるんですよね、理論上では。そんなことを書いているという。
東:なるほど。そうすると、まずはストア・カバレッジというのが重要だということですね。
森辺:重要ですよと。
東:それはなぜなのかというのを少し。
森辺:それは、ストア・カバレッジが多ければ、基本的には売れ続けていかないとストア・カバレッジは増え続けていかないので、ストア・カバレッジが増え続けていくということは市場に好まれているということになる。結果、シェアが高いということになるので、いかにストア・カバレッジを維持し続けるか、上げ続けていくかということが重要ですよという話ですよね。
東:分かりました。今日はここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。