東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:森辺さん、前回、チャネルの「型」についてお話いただいたんですけれども、「型」があることのメリットとかもお話いただいたんですが。具体的に分かりやすく言うと、P&Gとか、ユニリーバ、ネスレみたいな、たぶん企業名が挙がってくると思うんですけども、どういう「型」かを大枠で、図解もないので分かりづらいとは思うんですけど、大枠で教えていただければと思うんですが。
森辺:例えば、P&G型と、ネスレ・リーバ型というふうに呼んでいるんだけども、P&Gとネスレ・ユニリーバね、米のP&Gと、それから、スイスのネスレと、英のユニリーバというふうに正式に言っておきますけども。彼らの「型」って違っていて、これって取り扱っている商品、商材によってその「型」の特性というのがあるんだよね。P&Gってどういうものを扱っているかと言ったら、基本的にはシャンプーとか洗剤とか、ああいうものだよね。ノンフード系のものを扱っていますよと。一方で、ネスレとユニリーバって、ネスレなんかはコピコとか、コピコじゃない、スリーワンのコーヒーね。コピコは競合だね。
東:はい。
森辺:ああいうもの、いわゆるものすごくファーストムービングなんだよね。P&Gに比べて、ネスレとかユニリーバの取扱商材というのは、ファーストムービングの度合いが速いんだよね。そうすると、販売チャネルのきめ細かさってすごく細かくしないといけないので、たくさんのお店に置かないといけないというのがネスレ・リーバ型の特徴。
東:はいはい。
森辺:一方で、そんなにたくさんの店に置かなくても、ある程度のところの主要のところに置ければTTもMTもね、近代も伝統もいいのがP&Gモデルとなったときに、P&Gって、だいたいASEANだとどこの国でも8社前後のディストリビューターを使って配荷をしていますと。8社のうちの2社はすごく大手を使うんですよね。残る6社が中堅なんだけども、意外にP&Gの商品しか扱ってないとかね。別にそれは扱っちゃ駄目とかって言っているわけではないのに、基本的に扱ってなくて、P&Gとともに成長してきたみたいな、そういうディストリビューターが結構多くて。
東:はい。
森辺:一方で、ネスレとかユニリーバは、100、200とかね、その辺のレンジのディストリビューターを使っていて、やっぱり細かくディストリビューションをしていかないといけないので、かなりたくさんのディストリビューターを使っていますというのが最大の特徴で。これをP&G型とかネスレ型と言っていて。
東:はいはい。
森辺:一方で、じゃあ、日系の消費財メーカーはどういう型かと言うと、結構分かりやすくて、1カ国1ディストリビューター制みたいな。「なんでですか」「いや、特に理由はありません。強いて言うなら管理しやすいです」みたいな。一応、「じゃあ、独占ですか」と言うと、「いいえ、何かあるかもしれないので、一応、非独占です」みたいなね、そういう感じなんですよ。
東:はいはい。
森辺:だから、パッと比較するだけでも、それだけの違いがあるというのが「型」ですよね。細かいことを言うと、その「型」、そのディストリビューションのチャネルのストラクチャーを使って、もしくはディストリビューション・ネットワークを使って、どういう組織でどういうふうに管理するから、どういうワーク、結果が出るか、アウトプット、アウトカムが出るかみたいなことが彼らなりの勝ちパターンが確立されていて、それをどこの国でも展開しているという、そういうパターンだと思うよね。
東:はい。
森辺:日本企業の場合は、1カ国1ディストリビューターで、基本的にはそこにお任せなので、何にどう問題があるのかがいまいちよく分からないから、うまくいっているときはいいけども、うまくいかなくなると何をどうしていいか分からないということに陥るケースが多いですかね。
東:そうすると、それぞれの「型」があるけれども、当然それを水平展開できているというのが、やっぱり彼たちの特徴で、日本企業は国によって意外とやり方が違ったりするということなんですか?
森辺:そうですね。もうね、見ている目線が違う気がしていて。やっぱり先進グローバル消費財メーカーって、世界人口70億人、それが100億人に向かって伸びていっていますと。その70億から100億人を全部取りますよという、そういう目線でいて、じゃあ、どこから取りやすく順番に取っていきましょうかみたいに考えているんですね。そうすると、一方で日本企業はベトナムでどうだこうだとかね、インドネシアでどうだこうだとか、そういう目線なんですよ。そもそも目線がまったく違うので、つくられるチャネルも違ってくるみたいなね、そんな気がして、戦いの土台にすら乗り切れていないというのがたぶんあるんですね。本来は乗らなきゃいけなくて。
東:分かりました。では、また次回、続きをお聞きしたいと思います。今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。