東:こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは。森辺一樹です。
東:では、前回、「型」のお話を、P&G型、あと、ネスレ・ユニリーバ型というかたちでお話いただいたんですが、最後のほうに目線の違いという話があったんですけども、その辺をもう少し突っ込んで、森辺さんなりの見解をお聞かせいただければと思うんですけど。
森辺:これもグローバル競争がここまで来るとね、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品等のFMCGのメーカーさんって、世界の、彼らは中間層が絶対にターゲットじゃないですか。一番ボリュームゾーンね。
東:はい。
森辺:それをどうやって獲得していくかみたいな戦いをもう見据えていて、ベトナムの消費者を獲るとか、インドネシアの消費者を獲るとか、そういう小さい次元でもう見てなくて、世界の70億人、伸び行く100億人に伸び行くときに、自分たちがどれだけのシェアを獲れるかみたいなね。そうすると、いかに、プロダクトもプライスもプレイスもプロモーションも全部を効率化していく必要があって、世界標準化していく必要があって。それで、世界標準化をすると、効率はどんどん上がっていくわけじゃないですか。だから、チャネルもちゃんと「型」にはめて、それを水平展開していくということが具体的にできていると。
東:はいはい。
森辺:なぜそれが具体的にできているかと言ったら、そもそも目線が全然高いところにあって。世界の食品メーカーとか飲料メーカー同士で今後グローバルで戦っていくことに絶対になるんですよね。
東:はいはい。
森辺:日本人の消費は減っていっているわけで、少子高齢化でそんなにたくさん人口が今後爆発的に伸びるという施策も今打たれてないわけじゃない?
東:はい。
森辺:そうすると、老人の胃袋にはそんなにたくさんのものは入らないし、そんなにたくさん消費しないとなってくると、当然、日本の消費財メーカーも世界に打って出ないといけないと。そうなったときに、やっぱりメイドインジャパンでとか、日本でとかということでは、たぶんもう勝てなくて。
東:はいはい。
森辺:だから、そこが目線の違いというか。なんかね、当時の家電がまだ生き残れていたときのことをすごく思い出すんですよね、僕。
東:はいはい。
森辺:あのとき、まだ、やっぱりまさかこんなに大敗するとは思ってなかった、完全に負けるとは思ってない時代、2000年代前半ぐらい。今ちょうどその状態じゃないかなという気がするんですよね。
東:じゃあ、このままいくと、やっぱり消費財メーカーもどこかで全部ひっくり返されちゃうということの可能性が。家電みたいになる可能性はなかなか少ないでしょうけど、結構そういう可能性が大きいということですかね。
森辺:うん。基本的に日本だけやっていたら、もう食えない、今までのように食えないということは、それは人口と人口に占める年齢の割合。
東:そうですね。
森辺:これが占めているわけなので、基本的にはシュリンクである。ということは、外需の獲得をしていく必要があるというところまでは分かっていますと。その外需の獲得の中で、欧米の市場というのは、当然、これ、言ったら本家がいるわけでしょう、向こうで待ち構えているわけだから、そこに日本のメーカーが割って入っていくというのは、かなり難しいと思うのね。
東:うんうん。
森辺:何だろう、家電とかみたいに、あと自動車みたいに、今まで、これからは分からないよ、でも、今までは少なからずテクノロジーというものを、より小さくしたり、より安くしたり、よりよくすることで入れていった。これからは、分からないですよ、車も家電もね。けど、食品とかって味でしょう?
東:うん。
森辺:日用品とかって、ラベルを剥がしたら何なのかよく分からないじゃない?
東:はい。
森辺:シャンプーとかもね、ボトルは一緒でラベルを剥がしたシャンプーを使って、どれがいい?とかって、僕も分からないんだよね。女性とかだったら、いや、これはいいわと、香りがいいわとか、しっとりするわとかって、いくら宣伝でしっとり洗い上がりとかなんか言われてもね、体感がしにくいというか。そうなってくると、やっぱりアジアの市場、ASEANの市場で戦うにしてもね、中国の今の消費財のメーカー、日本にいると知らないだけで、中国の花王みたいな会社があるからね。中国のライオンとかね。
東:はい。
森辺:そんな会社がASEANでも生まれてきているとなると、あと、欧米の先進的なグローバル企業とも戦わなきゃいけないと、結構しんどいと思うんですよね。
東:なるほど。分かりました。では、今日は森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。