森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。 今日は2回目、2個目か、2個目ですね、海外展開に失敗する日本企業のパターンの2個目、「パートナー頼り」についてお話をします。
これも非常に深刻な問題で、売ることをパートナーにすべてお任せというか、そもそもの考え方として、自分たちはつくる人で売るのはパートナーだと。だから、現地のことはよく分からないので、とにかく強いパートナーと組もうというマインドが非常に強く働いてしまうという傾向が日本企業はすごく強くて。「誰に売るのか」ということと、「誰と売るのか」というのは、まったくこれは次元の違う話なんですよね。「誰に売るのか」というのはターゲットだし、「誰と売るのか」というのは、そのターゲットに到達させるための方法論である話なんですよね。本来決めるべきは、「誰に売るのか」ということを先に明確にする必要があって、「誰と売るのか」なんてその次なのでどうでもいいんですよね。でも、日本企業の場合は、「誰と売るのか」が先にあって、そして「誰と売るのか」みたいな。もっと言うと、「誰に売るのか」というのはぼんやり持っているんですよ。ぼんやりしたまま「誰と売るのか」を先に決めてしまって、そして、「さあ、売ってみてください」となったときに、なかなか売れずに、「あれれ?こんなはずじゃないかった…」という傾向が強くて。「誰に売るのか」という目的を達成することが非常に重要で。「誰と売るのか」というのは方法論なので、パートナーというのは方法論の1つなわけですよね。方法よりも目的のほうが上位概念であって、常に上位概念から逆算で考えていくということをやっていかないといけなくて。「誰に売るのか」ということが決まると、その「誰に」売れる人が「誰と」売るのかなわけですよね。つまりは、中間層に売りたいんです。そしたら、中間層に売れるディストリビューターを選定していかないといけないわけなので、必ず目的が最初なんですよね。その目的が達成できる、実現できるパートナーと組むということが本来最も重要で。強いパートナーと組むということは重要じゃないんですよね。目的が達成できるパートナーと組むので、必ずしも一番強くある必要はないし、必ずしも大手である必要はまったくなくて、重要なのは、その目的が達成できるか否かということを考えると、やはり目的が最初にあって、方法論が次にあると。つまりは、誰に売るかということが最初にあって、誰と売るかということを考えていかなきゃいけないという、こういう順番になるわけなんですね。この順番が多くの日本企業は逆ですよということと。
あと、もう1つは、じゃあ、仮にこの方法論のところも、「誰と売るのか」というその「誰」を特定をしていく、選定をしていくというところのプロセスが非常にあいまいで、基本的には「誰に売るのか」というところがぼんやりしているので、そこに本当に確実に売れるのかということを基準に絞り込まないわけですよね。特定していかないわけですよね。とにかく大手であるということはすごく重要で、売れるだろうという想定のもと交渉を進めていくので、あらゆることがやんわりしてしまっている。細部まで詰め切れないでいるということと、基本的にはスタンスとして、自分たちはつくる人で売ることは相手がやることなので丸投げ状態。つまりは、管理育成みたいなことはほぼやらないわけですよね。言わずともディストリビューターが分かっているでしょうという前提で物事が進んでいくわけなので、管理や育成をしないという傾向が非常に強い。
これだとやっぱりなかなかうまくは売れていかないので、このパートナーにすべてを任せる、「パートナー頼り」になるというところの問題、1つは「誰に売るか」、目的のほうが方法よりも重要ですよということなので、目的を明確に決めて、その目的を達成できる相手と売るということが非常に重要。その目的を達成できる相手を絞り込んでいくというプロセスにしっかりと投資をしていかないと駄目ですよ、選定基準もそこにしっかりと持ちましょうねというのが2つ目でございます。
今日もこれぐらいにしないと時間オーバーで怒られちゃうので、これぐらいにします。次回、3つ目の失敗する日本企業の共通の法則の3つ目についてお話をしていきたいと思います。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。