東:こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺:こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、今日はゲストをお迎えしているのですけれども。森辺さんから一度ご紹介していただいてもよろしいでしょうか。
森辺:今日は、インバウンドビジネスの「やまとごころ」さんの村山社長をお招きしております。村山さん、どうぞよろしくお願いします。
村山:よろしくお願いします。
森辺:いつもはグローバル・マーケティングとか、どちらかというとアウトバウンド寄りの話が非常に多いのですが、実はアウトバウンドとインバウンドは密接につながっていて、オリンピックが2020年に東京開催も決定して、これからますます日本国内のインバウンドビジネスが熱くなるということで、いろいろなお話を聞いていきたいです。まず、ナビゲーターの東の方から、村山社長の経歴・プロフィールを読ませていただきます。
東:村山社長は兵庫県、神戸市出身。神戸高校卒業後、ウィスコンシン大学マディソン校情報システム学科卒業。在学中に国際ビジネス団体のアイセック(AIESEC)を通じ、異文化交流に強い関心を持ち、20カ国以上旅行。大学卒業後、インドに行って半年のインターンシップを経験。その間、現地小中学校で日本文化セミナーを行う。2000年にアクセンチュア、旧アンダーコンサルティングに入社。ITを用いた地域活性化プロジェクトを、通信大手のグローバル・マーケティング戦略、さまざまなプロジェクトに成就。2006年2月に同社を退社し、同年3月ポータルジャパン株式会社を設立し、代表取締役に就任しております。2007年3月に日本最大のインバウンド業界向けBtoBトータルサイト「やまとごころ.jp」を立ち上げ、ホテル、小売、飲食、自治体向けに情報発信、コンサルティング、ウエブマーケティングサービスなどを提供している。日本国内のインバウンド経営の受け入れ体勢整備に強い関心を持ち、インバウンド関連諸団体の理事等を務めている。2007年5月、第1回日中韓若手経済人コンテストにて、日中韓若手経済人新人賞を受賞。メディア掲載実績等は、『ワールドビジネスサテライト』だったり、SMBCコンサルティング経営者ビジネス情報誌『MIT』であったり、北海道新聞、観光新聞、『週刊スパ』、『日経ネットプラス』等々、非常に多くのメディアにも取り上げられています。
森辺:村山さん、遂にインバウンド来ましたね。
村山:そうですね。遂に。
森辺:長いこと村山さんの「やまとごころ」は非常に面白いなということで、私も注目をしていて、もともと中国の観光客の誘致を中心で、膨らんできたなと思ったら、反日のデモがあって、またシュリンクして。また膨らんだと思ったらまたシュリンクしてみたいなことをずっと続けてきたのですけれども、これでオリンピックが決まって、いよいよインバウンドの時代が来たなというところなのですけれども。その辺りを含めて、いかがでしょう。
村山:そうですね、まずうちの会社のご紹介から…。
森辺:そうですね。ご紹介から。インバウンドってそもそも何なのですかという方もいらっしゃるので。
村山:われわれの会社は、株式会社やまとごころといいまして、2007年に「やまとごころ.jp」というサイトを立ち上げました。このサイトは何かというと、基本的にはBtoBです。法人の方が見ているサイトです。基本的には、外国人観光客を日本に呼び込みたい、あるいは受け入れたいと思っている法人の方々が見ているサイトになります。例えば商業施設さんであるとか、飲食であるとか、あと日本国内にある自治体であるとか。日本国内にサービスを持っていて、あるいは箱を持っていて、少子高齢化で今後どうしようかと伸び悩んでいる企業さんが、日本に来る外国人観光客、彼らにもっと消費していただこうと。そういったことで、興味・関心を示し始めているのですけれども、彼らに対して、さまざまな情報を提供している。例えば、業界のニュースであるとか、海外の、例えば中国人観光客のニーズであるとか、あるいは、彼らの最新動向。あとは国内にいる事業者の新しい取り組みであるとか、そういったところを日々配信しているサイトを運営しています。ビジネスとしては、基本的に3つ収益源があります。1つは、メディアを運営しているので、メディアの広告収入をいただくという部分。2つ目が教育研修事業ということで、われわれが国内のインバウンド、外国人観光客集客に興味のある事業者に対して、今会員が大体1万以上います。海外に対して情報配信をしていくなかで、セミナーもやらせていただいています。例えば中国人観光客マーケティングセミナーみたいな形で、中国人の方をどう呼び込むかというノウハウをお伝えするようなセミナー。そういったセミナーを、最近ですと月数本やらせていただいています。そういったセミナーでの収益。3つ目が、官公庁とか国の事業、自治体の事業、あとは民間がやはり外国人観光客を呼び込みたいということで、さまざまな投資とかプロモーションであるとか、プロジェクトが動いています。そういったプロジェクトを受託させていただいて、コンサルティングサービス、調査のサービスであるとかそういったことをやらせていただいている会社になります。
森辺:この「やまとごころ.jp」は、インバウンド業界では一番大きなサイトなのですよね。
村山:そうですね。正直なところ、ニッチなマーケットなので、あまり類似のサイトがないというのもあるのですけれども、No.1だと自信を持って言えると思います。
森辺:そうですよね。私も「やまとごころ」さんが主催するセミナーか何かに参加させていただいたことがあったのですけど、いろいろな支援者の方とか、これからインバウンド事業に挑戦しようという方々がいろいろ参加されて、情報交換をされたり、いろいろ会合に出るのですけれども、面白い会合だったなと記憶があって。一気に伸びていったイメージがあるのですけれども、この「やまとごころ.jp」というのはいつ始められているのですか?
村山:2007年の3月に立ち上げたのです。
森辺:6年?
村山:そうです。6年経ちますね。ビジットジャパンキャンペーンが始まる、2003年なのですよ。なので、その4年後なのですけれども。とは言っても、まだまだ今ほどメディアに外国人観光客の動きとかが取り上げられる状態ではなかったので、そういう意味ではその頃は何もない中で、ポツンとサイトを立ち上げたというところでしたね。ただ、その当時、周りを見渡したときに、こういった国内向けBtoBのメディアというのがなかったので、ここはしっかりとサイトを立ち上げ、そしてしっかりと継続しておけば、No.1になれると、そういう思いで進めていっています。
森辺:オリンピックが2020年に決まったわけですけど、これから7年後に向けてどうですか?業界的な盛り上がり具合は。
村山:私もそんなに長くないのですけれども、6年過去やらせていただいていて、毎年いろいろな状況があります。リーマンショックであったり、中国の尖閣問題であったり、さまざまな問題があって、この業界はすぐインパクトを受けてしまうのです。国も年間1,000万人の外国人観光客を超えたいという目標をかなり前に設定したものの、いまだに超えれていないと。今年は初めて達成できるかどうかという勝負をかけているのです。オリンピックが今回決まって、やはり明らかにオリンピックが決まる前と後では、全然違いますよね。やはり、周りの方々と話しをしていても、背中をぐっと押された形で、現場だけではなく、経営者の意識が変わったという印象があります。
森辺:オリンピックの前もそうですけど、オリンピックを皮切りに、日本の文化であったり、商品であったり、伝統であったり。いろいろなものを世界に発信する非常に良い機会ですよね。
村山:またとない機会だと思います。オリンピック前に政権が変わって、アベノミクスといわれて、経済が少しずつ上向きになってくるなかで、円安も加速して、そういう意味では外国人観光客が増える傾向にはあったのですけど、やはりオリンピック決定で一気に来ていますね。これから本当に楽しみだなと思います。
森辺:もともとは中国の観光客が非常に多かったですよね。
村山:そうですね。中国が、実際の数で言うと韓国がいまだに一番ですけれども、やはり中国人の10億人超える人口。
森辺:ファインパワーですよね。
村山:そうです。毎年のように海外旅行に来る中国人の方がどんどん増えていますので、今は5,000万人を超えて7,000万人ぐらいが海外旅行に行っていると言われています。その中で日本に来ているのが100万人ちょっと。本当にスーパーサークルです。逆に言うと伸びしろがすごいので、そういう意味では、やはり今後しっかりと腰を据えて取り組んでいくべき市場だと思います。
森辺:これからが非常に楽しみな「やまとごころ.jp」。今サイトを見ていただくのがリスナーの方々にも一番分かりやすいと思うのですけど、どのような情報を発信しているが一番中心になっているのですかね。
村山:まずは業界のニュース。要は国内外の訪日旅行、インバウンドに関するニュースというのもまずはコアのコンテンツで出しつつ、あとは各市場の情報ですね。タイであるとか、最近特に東南アジアの動きが活発化しているので、そういう市場、現地での旅行泊であるとか、現地の旅行会社の動きであるとか、そういった海外の情報。それからあとは、国内にいるプレーヤーねです。例えばホテル、飲食店、百貨店。いろいろな企業が今、外国人観光客の取り組みに必死になって知恵を絞って取り組みをしているので、その成功事例みたいなのをわれわれの方で取材させていただいて、そうすると競争意識が働くじゃないですか。あのホテルは昔、何かあまりやっていなかった思うけど、今は外国人観光客でもうけている。だったらうちも負けていられないということで、どんどん業種ごとに成功事例をわれわれの方で取材して、それを多く発信することによって、競争意識を煽りながら、マーケット全体を広げていきたいと思っています。
東:具体的に成功事例で印象に残っているところとか、ここはすごいと思ったところを聞いたことは?
村山:例えば、最近セミナーをやりました。ニセコのセミナーです。
東:北海道ですね。
村山:そうです。北海道のニセコ。パウダースノーという、雪質ですごく世界的に有名なエリアなのですけど、そこでセミナーを開いて非常に面白かったのですけど、ニセコは2003年からインバウンドが増え始めているのですよね。2003年には実は300人ぐらいしかいなかったのです、外国人観光客が、年間で。今は実は30万人なのです。10年で1,000倍の数字が出ていると。その秘訣は何なのかと言うと、今結構具体的な戦略があるわけなのです。1つはパウダースノー、雪質。雪質は富良野とか他のエリアと比べて圧倒的なのかというと、そうじゃないと。ただ、運や人の縁とかそういういろいろなものもあるのですけど。ただ1つポイントとしては本当に雪。パウダースノーだけに特化して、その地域をプロモーションしていくと決めて、それを愚直にやっているのです。なので、戦略が明確なのです。しかもターゲットは海外の富裕層。富裕層に英語だけでアプローチすると。中国も韓国もほかの言葉は要らないと。英語でしっかりとパウダースノーの良さを海外に発信していく。それを決めて、かつ地域でニセコプロモーションボードというのを作ったのですね。今の例は、プロモーションに特化した観光協会みたいなのですけど、そこだけですよ。ニセコだけです。そういうインバウンドに特化したプロモーション、地域でお金を出し合って作ったと。なので、それだけ本気で取り組んでいる、地域全体で。一民間企業というよりも、地域を巻き込んで戦略を練って、明確に、愚直に1つのことをやり続けるというところが大きな要因だったのではと思っています。
森辺:アジアの人とか雪を見たことない人たくさんいましたし、富裕層は大体英語をしゃべるのでね。戦略の大筋が非常に明確で分かりやすい。
村山:そのピラミッドがあればやはり上の、富裕層の方々はもちろんお金を持っていますし、ネットワークも広いし、情報発進力がある。なので、そのシャワー効果というか、上を狙えば下はついてるみたいなところをちゃんと考えた上で取り組んでいる事例です。
森辺:そんな事例を、この「やまとごころ.jp」を通じて発信したり、セミナーを通じて提供したりというのは、「やまとごころ.jp」なのですね。全4回でゲストに来ていただくわけですが、あと3回残っておりますが、実はインバウンド事業は、冒頭にもお話ししましたけど、アウトバウンドのビジネスにも非常に密接につながっていて、いかにしてインバウンドをやっていくかが、アウトバウンドの戦略づくりを参考にも私はなると思っているので、次回以降、より具体的なインバウンドビジネスのお話と、アウトバウンドにいかにしてつなげていくかみたいなところのお話をお聞かせ願えればなと思います。じゃ、また次回、よろしくお願いします。
村山:よろしくお願いします。