森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、僕がこの最近、最近と言っても数年間単位の最近なんですけど、中でですね、特に気を付けていることについてお話をしたいなというふうに思います。なぜそのことを気を付けているかと言うと、海外で仕事をしたり、海外の企業、新興国で事業をする仕事をする上で、そのことが非常に役に立つというか、いろんな判断を速めてくれるし、いろんなプロセスのスピードを速めてくれるということに気付いたので。実は10年以上前からそんなことは感じ始めていて、何となく日々の自分の判断であったり活動の中で取り入れてきたんですけども、特にここ数年、もう思いきり切り替えたという、そんなことなので、皆さんにシェアをしていきたいなというふうに思って、今日はその話をしていこうかなというふうに思っています。
何を気を付けているかという話なんですが、自分の日々の判断、いろんな判断を日々するわけですよね、われわれはですね。単純に右に行ったり左に行ったり、これを掴んだり食べたり、誰かに何かを言ったり言わなかったりと、いろんな判断を日々しているわけなんですけど。その中で…。ビジネスじゃないところはまったく別ですよ。ただ、こと新興国市場に対するビジネス、別に新興国じゃなくてもたぶん同じなんだと思うんですけど、僕の場合はビジネスのフィールドが新興国なので、新興国になっちゃいますけど、ビジネスの領域において、とにかく自分の判断から非合理なものを徹底的に排除するということを気を付けていて。
どういうことかと言うと、例えば、すごい細かなことなんですけど、よく返信用封筒が何か郵送物に入っていたときに、「○○行」って書いてあるのに、そこに敢えて二重線して「様」って書き換えるとか。それとか、誰かと何かを「どうぞどうぞ」「どうぞどうぞ」「どうぞどうぞ」…で永遠に譲り合ったりすることとか。それとか、こういう場面ではこういうことをしちゃいけない。例えば、会議の場面で先方がお茶どうぞと言うまでお茶に手を付けないとか、喉が渇いているのになぜそんな我慢をするの?みたいな、非合理ですよね。喉が渇いていてお茶を出されているんだから飲めば?という話なので。例えばそういうこととか。そういうことをもう徹底的に自分の日々の行動、それから判断から排除していると。
なぜそういうことをしているかと言うと…。もちろんそれをすることによって相手が嫌な思いをしてしまうことはいけないんですよ。日本のこういう商習慣って、とにかく相手の気持ちを考えるっていうことがベースになっていて、僕はすごく良い文化だなというふうに思っています。ただ、ことグローバルビジネスのフィールドにおいては、相手のことを考え過ぎるがあまり、いろんなスピードが落ちる。そして、いろんな判断を誤る、もしくは判断ができないというような状態に陥っているという気が本当にしてならなくて、こういうどうでもいいことを、どうでもいい非合理なことを排除していく。基本的には合理的な選択だけを選んでいくということにもう極限まで気を付けていて、特に日々のわれわれのビジネスシーンの中には、当たり前にやっているんだけど、とてつもない非合理なことってたくさんあって。例えば、うちの会社は承認制度を見直したりとか、どうせめくら承認なのに、なぜこの書類を回してはんこ押してるんだろうみたいな、そんなのがたくさんあったわけですよね。もちろんそんなことだけじゃなくて、社内のデジタルファイルを管理しているような、管理の仕方にもいろんな無駄がありますし、海外で調査をするときの調査設計の組み方、こういったところにもいろんな非合理があって。とにかく自分の日々の、本当にビジネスの領域での生活における非合理を徹底的に排除するということをやっていると。
それをやっていくと何が変わってくるかと言うと、結局、海外に出て、返信用封筒に「○○行」って書いてあるのに、それをわざわざ二重線で消して「様」って書くようなマインドセットを持っているままで海外に行くと、新興国に行くと、やっぱりその感覚でのビジネスになってしまって、向こうから「NATO」と言われてしまうんですよね。「No Action Talk Only」という略なんですけど、そんなふうな揶揄を、ASEAN、アジアでは言われていて、もうだいぶ長く、昔から言われているんですけど、行ってきていろいろ聞いてくるんだけども、いろいろしゃべるんだけども、結局日本企業は何も進まないよねと。それでいて今、アジア新興国では日本企業のプレゼンスが著しく低下をしている。遅いと。この遅さって何から来るのかなというところから、そもそも僕のこの普段の生活から非合理を徹底的に排除するということが始まったんだけども。いざ排除してみても、別に何の問題もないんですよね。本当に自分が合理的な選択をできるので迷わない。「まあまあまあ、そうは言ってもまあまあまあ…」みたいなことが日本は本当に多過ぎて…。
また話の長い私がずっとだらだらしゃべっているので時間が来ちゃったので。すみません。尻切れトンボですけど、今日はこれぐらいにしますけども。次回、もう1回この題材でお話をさせてください。
また次回お会いいたしましょう。