森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は何話そうかな…。「魂のものづくり」について話そうかな。(笑)何の話だ?ということですけども…。
僕、結構ずっと思ってることがあって、日本企業はもう、魂を感じないようなものづくりってするべきじゃないなっていうふうに思っていて、この「魂」って何かと言うと、一生懸命やるとかそういうことではなくて、品質を極限まで磨くとかそういうことではなくて、「自分たちはこうなんです」という、1つの主張が、曲がらない1つの主張があって、そこのためだけにすべてのものをこだわっていく。例えば品質をこだわる、何とかをこだわるという。僕がそうなんだけども、どうでもいいものはどうでもいいんだけど、自分の着る服とか、自分の乗る車とか、自分の何とかとかっていう、食べるものとかって言うと、もうなんか、魂がこもってない会社のとか、ブランドのものは嫌なんですね。お金を出して買うことはしたくないので、そこをすごく気になるというか、どうでも僕の中ではよくなくて。決してハイブランドがいいとかって言っていることではなくて、この、例えばバッグ1使うにしても、このバッグにこのメーカーはどれだけの思いを込めているんだろうということが、すごく僕は気になるわけなんですよね。なるほどと。これだけこだわってつくっているんだと。また、それをただ自分の中だけのこだわりではなくて、それをしっかりうまく発信できてないと、それがこっちに伝わってこないので、本当はすごく思っているのに、なかなか伝わってこないから手が伸びないというケースというのも結構あると思うんですよ、日本企業の場合。
一番僕が嫌なのが、八方美人な顔をしているメーカーの商品を買うのが本当に嫌で。「私はみんなのための存在です」みたいな、もちろんマスを狙った商材というのはある意味そうあるべきなんだけども。でも、みんなのためのものなんだけども、その中でも1本軸がビシッと通っているようなものじゃないと、なかなか手が伸びないという。なんか、そんなふうなことが、もうずっと20年以上かな、30年、学生、大学生ぐらいのときからだんだんそうなっていったので、それすごく気になるんですよね。
別に安いものでもいいんですよね。僕、H&MのTシャツとかしか着ないし、なんですけども、H&MのTシャツの魂を僕は僕なりに感じていて、仕事柄中国の工場もいろいろ見ることができたので、そういうところも影響しているのかもしれないんですけど。でも、決して高いものの魂とかっていうことを言っているのではなくて、つくり手がそこにどれだけ本当に思いを込めているのか。
日本企業って、どの企業も品質が高くて、その品質の高さをものすごく価値に変えられていない。それだけ言っているんだから、もっともっと魂の声を発信すればいいのにと。むしろ、魂のこもったものづくりをしないのであれば、別に中国製でいいじゃんという話になってしまうので、そこはやっぱりね、すごく思うんですよね。
例えば、僕はAmazonすごい好きなので、Amazonでいろいろ買うんですけど、でも、Amazonで買って失敗するものもたくさんあるんですよね。ルーペとかね、最近買った、小さいものを見るLEDのついたルーペとか、あと、子ども用の耳かきとか買うんですけど、「安いね」と、「すごいな、これ」と。中国製でいろいろ耳の中、スマホで見れるみたいので買うんだけども、買ってみるとだいたいそういうものって、「なんだこれ?」と。Amazonは説明も不親切なので、買うと失敗すると。1,980円の耳かき、安かったんだけども、スマホで見れるからね。子どもの耳を掃除してあげたいからと思って買ったんだけど、なんたる粗悪品と、こんな画像じゃ怖くて子どもの耳なんて掃除できないと思って、それ結局捨てましたと。で、日本製の耳かきをもう1回買い直すとかね。
あと、鼻毛カッターとかもそうですよね。中国製のやつを買って、なんかもう粗悪品。結局、パナソニックのやつを買い直すとか。でも、そのパナソニックの鼻毛カッターとか、眉毛カッターみたいなやつのサイトを見て、そこに魂がもっともっとこもってたら、もっともっといいのになとかって思ったりするんですよね。そんなのを探していると、ヨーロッパのブランドで鼻毛カッターとか眉毛カッターとか、いわゆる男の顔周りのムダ毛を処理するようなこだわったメーカーが出てきたり。「うわー、魂の入れ方が違うな、品質悪いけど」みたいな、そんなことも思ったりするので。
日本企業、日本の製造業に今必要なのは、今一度自分たちの魂を入れ直して、ものづくりをして、もしかしたら入っているのかもしれない。入っているんだとすれば、それがなかなか世界には伝わっていないというところが今の日本のプレゼンスにつながっていることだと思うので、そこをもう1回考え直していくと、さらなる進化が見えてくるんじゃないかなというふうに感じる次第でございます。
すみません。生意気なことをたくさん今日はお話しまして、ごめんなさい。これぐらいにしましょうかね。それでは、また次回お会いいたしましょう。