森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日はですね、何の話をしましょうかね。今日は、そうですね、またチャネルの話をしようかな。よく、「どうやって強いチャネルをつくればいいんですか」というようなことを聞かれるので、そのことについてお話をしようかなというふうに思いますけども。
強固なチャネル構築って3つのことが必要で、この3つの原則をしっかり守っているというのが欧米の先進的なグローバル企業、最近ではアジアの企業でも先進的な企業、マーケットシェアの高い企業というのは必ずそうなんですけど。
1つがデザイン力がやっぱりすごく長けていて、このデザイン力って何かと言うと、チャネルってストラクチャーなんですよね。販売チャネルストラクチャーというふうに呼んで、構造ですよね。自分たちのターゲットに対してどうやって自分たちの商品を届けるのかという構造、この構造をデザインしていかないといけない。例えばB2Cだったら近代小売と伝統小売。近代は直販して、伝統はエリア別にこのディストリビューター何社使ってという、この構造ですよね、デザイン。B2Bでもそうですよね。このインダストリーのターゲットがこことこことここがやっぱりトップ企業で、ここの大口顧客には直販をして、こっちはディストリビューター経由だからこうでああでという、このデザイン力が非常に長けている。何て言うのかな、ビッグピクチャーと言ってもいいかもしれないですし。一番最初の大きな絵、ここがやっぱり日本企業は描くのが下手で、ついつい目の前のこと、われわれの文化の中にね、まずは目の前のことをコツコツとみたいな、そういう考え方がいいみたいな、かつての昭和の時代の常識がまだまだ根強く残っているので、そこが…。嫌いじゃないですけどね、僕ね。そこがやっぱりすごくシェアの高い企業とシェアの低い日本企業を比べると、1つあるのかなと、デザイン力ですね。
水道管みたいなものなんですよね、販売チャネルって。やっぱり販売チャネル、自分たちのターゲットに蛇口を届けないといけない。自分たちが水を売っていますと。自分たちの商品が水だったとしたら、その水をしっかりと顧客に届けるパイプを張らないといけないという。そのパイプをどういうふうに張るんですかという、このデザイン力というのはやっぱりすごく重要ですよと。
2つ目がね、マネージメント力。このマネージメント力というのは、いわゆる新興国って、Aと言ったらA、Bと言ったらBにならないんですよね。Aと言ったらSとか、Bと言ったらFみたいな、そういうことになるという、これが新興国の特徴で。これを「○○人はだめだ」とか、「新興国はどうだ」と言ったところでどうにもならなくて。結局それは管理をしていく必要があって、マネージメントをしていかないといけない。仕組み化をする、いかにシンプルにプロセスをするかということと、インセンティブをどういうふうに与えていくかということをしっかりやっていく。そして、評価をしっかりするという。評価とインセンティブを明確にして、プロセスをとにかくシンプルにする。複雑にしないということと、評価、それからインセンティブをしっかり整えるということをやっぱりやらないといけない。日本の場合は、どれだけ複雑にしても、耐えてその複雑な業務をやりきると、日本人はですね。評価されなくても忠誠心を持つみたいな、そういう、最近の若い人はそうじゃないのかもしれないですけど、そういう時代でずっと来ているので、そういう勤勉さというのがかつて世界から称賛された勤勉さというのがあったのですけど。これは日本の常識であって世界の常識ではなくて。なので、そこをやっぱりしっかりとマネージメントしていかないといけない。僕が新興国で新興国の人たちをマネージメントしてきた中で言えるのは、やっぱりね、複雑にしちゃだめだし、上司がデータを知りたいからExcel地獄でデータを埋めさせるとかね、報告をめちゃめちゃ上げさせるみたいな、監視したいから報告を上げさせるみたいな。でも、それって、ちゃんと上げたものがしっかりとフィードバックされるんだったらいいんですけど、ただそれを見て「ふーん」って上司が思うとか、上司が安心するだけの話だったら、むしろそれはやらないほうがいいという。とにかくシンプルにするということはすごく重要だし。あと、明確にルールを決めて、評価と対価、インセンティブが、もう感情が入らずに、はい、こうなった場合はこう、こうなった場合はこう、ということが決まっている状態をつくるということが僕の言っているマネージメントなんだけども。管理をするということではなくて、誰がマネージャーをやっても、こうなったらこうで、こうなったらこうだからって仕組みをつくっちゃうということが僕はマネージメント力というふうに言っているんだけども、そういうものをやっぱりいち早くつくっていかないといけない。これがないと、1個1個感情で対応するしかなくなってきてしまうし、感情で対応しようとすると、向こうも感情の対応になってくるので。これってもう非効率だし、精神的にも疲れるし、誰も何も得をしないという、そういう状態になってくるので。とにかくマネージメントはしっかりやっていくということは重要です。仕組みをつくるということが。放っておいて自分の思う通りやるなんていうことは、もうこれは日本人の部下しかあり得ないし、日本でしかあり得ない話なので、最近では日本人でも無理みたいな世界観ですから。それがいいなんていうこともそもそも思っちゃいけないですし、そうなっていくのが当たり前とも思う必要もない、というふうに思います。
話が長くなってしまって恐縮なんですけども、最後はコミュニケーション力と。それだけマネージメントするということはやっぱりコミュニケーションを取らないといけない。人一倍コミュニケーションを取らないといけない。日本人の場合は「言わなくても分かっているだろう」みたいな。妻に対してもそうなんですけども、「結婚しているし、妻だから、言わなくても分かっているだろう」みたいな。一方で外人は、毎日「I love you」と、うるさいよというぐらい言うみたいのに近しいのかもしれないです。ちょっと分からないですけど。(笑)でも、やっぱり「男は黙ってサッポロビール」じゃないですけど、「言わないでも伝わっているでしょ」みたいなね、僕の大好きな高倉健みたいな感じでね、「もう表情で伝わっているでしょ」みたいな。そういうのは世界では通用しないので、言わないと分からないよということで、やっぱりしっかりコミュニケーションを取っていくということはすごく重要なので。
強固なチャネルをつくるということは、まずデザインをしっかりしましょうねと。水道管のパイプをしっかり通しましょうねと。それをしっかりマネージメントすると、パイプを通しても、それは詰まりますよと。しっかり管理育成していかないと詰まりますよと。管理育成というのは仕組みづくりですよと。いちいち感情で対応してちゃだめですよと。誰が管理しても、こうなった場合はこう、ああなった場合はこう、と仕組みでしっかり回していきましょうねというのがマネージメント。最後、ここに初めて感情が乗るんですよね、コミュニケーション。管理をするというのは、する側よりもされる側のほうが嫌なわけですから、そこで初めてコミュニケーション、会話を乗せていきましょうね、感情を乗せていきましょうね、これがやっぱり強いチャネルをつくる3つの3原則だというふうに思っています。
それぐらいでいいですかね。今日は長くなっちゃったのでこれぐらいにしていきたいと思います。それでは皆さんまた次回お会いいたしましょう。