東:こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺:こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、今回森辺さんが取材をされた『AERA』を少し紹介します。2013年12月30日号と14年の1月6日のNo.1ということで、合併増大号という、嵐が表紙になっているところで、特集として「アジアで勝つ日本人100人」というところの特集で取り上げられていたのですけど、これはそもそもどういうきっかけで取材がされているのですか?
森辺:電話がありました、記者から。日本で勝つ、アジアで勝つ日本人100人ということで、僕的にはまだ全然勝っていないのですけど、取材をということで取材をしていただいたと。そんな内容です。
東:AERAのこの1号の28ページの4分の1ぐらいの形で取り上げられているのですけど、どんな感じでした?
森辺:結局、アジアの侵食が非常に大きいということで多くの人がいろいろな分野で、文化とか芸術とかビジネスとか、それからボランティアとかいろいろな分野で活躍している日本人を特集したそんなシリーズなのです。結構僕以外の面白い人がいて、芸術とか文化とかあとは慈善事業みたいなことをやっている人たちも結構特集されていて、すごく面白いなと思っていて。ダンスとか、お医者さんの先生なんかもいるのです。スポーツ選手とか。
東:サッカー選手ですね。
森辺:サッカー選手とかね。だからいろいろな人の、アジアで活躍するような人を特集するという、そんな内容なのです。僕のところで言うと、森辺は何をしているのということで、私が今やっていること、過去やってきたことをお話してきて、それが記事になっているという、そんなものです。
東:大タイトルとして、「日本の品質を売れ」と。「肥えた目にさらされた商品は強い」というような内容の一番バッターとして、森辺さんが特集されているのです。この中の記事を読んでいただくと分かると思うのですけど、綿棒を1つとっても白くて当たり前の綿棒が日本だと今黒かったり、綿棒がねじれていたりするみたいなたとえ話が書いてあるのですけど。その辺についてもう少し記事以外でもあると思うので、教えていただければありがたいと思うのですけど。
森辺:僕、日本の日用品と食品にすごく注目をしていて、これらの市場のグローバルマーケットのポテンシャルはものすごく大きいと思っているのです。その中で、例えば綿棒を1つとっても今まで何十年だろう。何十年我々の生活の中での綿棒の常識というのは、卵形をした白い綿がついているという、そういうものが綿棒の常識だったわけです。それが、中国が対等してきて、綿棒の常識が少し変わった。日本とか世界とかで売られている綿棒は、さすがに芯が耳を掃除しているときにプニュっと曲がったりはしないですよね。芯に当たって。ただ、中国に行くと芯がプニュっと曲がって、あやうく耳をついたような、そういう綿棒とか。綿が薄すぎて芯が耳に刺さるみたいな、そういう綿棒が出てきたと。これも僕10年くらい前、大分今中国の綿棒もよくなりましたけど。
東:まだなんか折れ曲がっちゃうとかありますよね。
森辺:そうですよね。綿棒の常識が変わったなと、中国が出てきて。こういう安い綿棒でも良い人というのも世界にはたくさんいるなと。ここ昨今日本の綿棒を見ていると、黒い、黒い上に溝が綿のところに溝の切れ目が3本入っていて。まー、よくとれるのですよね。僕は耳が乾いている系の耳なのですけど、ウエット系かドライ系かというとドライ系なのですけど、その黒綿棒を愛用していて。とったらそのとれたものが見えるわけですよ。綿棒は耳を掃除するという1つの目的なのですけど、苦労してとるわけではないですか。目が届かないところを手探りで。そのときに、とれたかとれていないかというのを見るというのは万国共通の行為なわけなのです。これ本当に万国共通で、いろいろな国でいろいろな人が耳を掃除しているのをずっと見ていて、必ずやはり見るのですよ。とったものを見ない人なんていなくて、絶対見ると。
東:見るのが快感の1つ。
森辺:快感の1つですからね。そうすると黒い綿棒というのはもっともっと占有率を広げられるし、オセロ返しで全部黒にするぐらい世界中の綿棒も黒になると思っているのです。こういう商品は日本にはたくさんあるし、一方で品質が良いだろ、商品が良いだろう、企画力が良いだろう、だけではどうしても売れないし、そこにはチャネルの重要性があって、チャネルをどうやってとっていくのだと。その綿棒を流通させるためにどういうチャネルをどうとるのだということが重要だし、価格帯も重要だし。そんなことを考えていかないといけない。そうすると、今綿棒の話をしましたけど、日本には喉ヌールスプレーという非常に良いスプレーがあるのですけど。喉が痛い。これイソジンも素晴らしいのですけど。喉が痛いときにヴィックスの三角形のあめをなめて喉の痛みが取れるかというと僕はとれたことがないのですよ。ヴィックスの、すみません。けど、喉ヌールスプレー。これ一発やったら終いではないですか。そうしたら喉の痛みもこれも万国共通で、喉が痛いときに喉ヌールスプレーをキュッとやれば治るわけですよ。喉ヌールスプレー売っているのですよ。シンガポールとか香港とか台湾とか行くと、一部のショッピングセンターに入っているのです。一部、すごく富裕層向けの。けど喉ヌールスプレーなんていうのは、世界制覇できるだろうし、以前少しお話したと思うのですけど、同じ炭酸ソーダ水のスプライトと三ツ矢サイダー。味は一緒なのだから別に三ツ矢サイダーでも良いではないかと。コカコーラ1日に18億本売れているわけですよ。三ツ矢サイダーがもっと売れたって良いと、そんなふうに思っているわけで。日用品、食品はまだまだいけると思っているので、そんなことを考えているということを記事で書いていただいたのです。
東:森辺さんよくあめをなめられているのですけど、あめなんかでも全然違う?
森辺:最近すぐイライラしちゃって、たばこを吸いすぎて来年のどっかのタイミングで辞めようと思っているのですけど。龍角散の「のど飴」。こんな素晴らしいあめはなくて。ホールズをなめてスーッとするかもしれないですけど、やはり龍角散。ホールズは世界的に売れているのです。メントスとか。けど龍角散ののど飴というのはすごく喉にはいいあめで、ものすごくなめて、なめて僕が思ったのですけど、あれほど甘さと喉の爽快感と喉の痛みを取ってくれる、医薬品ではない医薬部外品のキャンディーは、龍角散ののど飴以外ないのです。だから、ああいうものだってそうだし、加工された食品だってそうだし、餃子のパリパリ感を出す冷凍食品なんて、まさにそうではないですか。コンビニの1つ、弁当をとったってそうだし。
東:カップラーメンもそうですよね。
森辺:カップラーメンもそうだし、日清とかマルちゃんとか当然世界で売れていますけど、やはり世界で売っているマギーのほうがマーケットシェアは大きいわけです。マギーのラーメンなんて食べられたものではないし、そうしたらもっともっと日本の日用品とか食品というのは世界に出られるべきだと。ただ、それで重要なのは品質や、技術みたいなところだけではなくて、チャネルをとるということをやっていかないといけなくて。欧米の企業はもうチャネルを完全にとっていますよという、そんなことがすごく重要だなと思っています。
東:日本にいると、そういう世界での出来事とか、旅行でいったことがあってもなかなか日用品を目にする人というのは、目の当たりにする人というのは少ないと思うのです。日本にいるとこれだけ日本製品が溢れていて、輸入があると言っても大部分がまだ日本製品ではないですか。そうすると日本の食品業界と、世界を見たときのワールドライフの世界シェアは大分違うと思うのですけど、食品業界の世界的な規模ですとか、シェアというのは具体的にどうなっていくのですか。
森辺:例えば1位はネスレ、スイスのネスレなのです。ここが大体7兆3,000億ぐらいの売り上げを誇っていて、圧倒的な1位なのです。
東:あのディスカバリーとか。
森辺:そうです。2位が今度アメリカのクラフトフーズで、これが4兆2,000億ぐらいの会社なのです。3位にハイソンフーズという、これもアメリカの会社なのですけど、2兆5,000、6,000億ぐらいかな。4位が意外なのですけどJBSという、日本だったらほとんど聞いたことがないような、ブラジルの会社なのです。これが2兆4,000億弱ぐらいある会社で、5位が日本でもおなじみのダノングループで、あれはフランスですね、この会社は。これが約2兆円ぐらいです。6位がゼネラルミルズという会社で1兆2,000億弱くらいあったと思うのですけど、これもアメリカの会社です。
東:ハーゲンダッツとか。ハーゲンダッツは有名ですよね。
森辺:7位がケロッグカンパニーです。それもシリアルが日本でもプリングスとかで売っていますけど、これが1兆円ぐらいです。8位がディーンフーズ。これも米国なのですけど、これも1兆円ぐらいです。1兆円強ぐらいです。9位が、これも多分日本では聞いたことないと思いますけど、BRFというブラジルフーズという。
東:ブラジルが2社も入っているのですね。
森辺:これも1兆弱ぐらいです。10位がなんと近年、ここ10年で対等した統一企業。これが1兆円弱ぐらいで、中国、台湾です。
東:台湾ですか。
森辺:はい。カップ麺とか、統一グループという、財閥ですけど。こんな会社が。
東:中国でもよく見ますもんね。
森辺:結局、これ見て見ると10社中9社が米国とブラジルとフランスとスイスの会社で、圧倒的なのがネスレです。1位が7兆で2位が4兆ですから。圧倒的に2位で。10位の統一というのがすごくて。結局台湾なのですけど、中国のメーンランドを含めてマーケットを持っているわけではないですか。そうすると日本の食品は、今1億2,000万人の人口がいますけど、向こう40年、50年と人口が1億人切ってしまったときに、少子高齢化ですよね。3人に1人が老人になると。胃袋が小さいわけです。でも完全に掛け算なわけです。胃袋の体積かける数という話しなので、国内市場は完全に停滞していくということがもう見えているので、食品企業こそ海外に行かないといけない。当然彼らも日本の食品メーカーさんも認識はしているのですよ。大分出遅れてしまっていて、トップ10に入ってこないわけです。
東:トップ10に1社も入ってこないというのは。
森辺:厳しいところです。
東:衝撃的ですよね。
森辺:日本の大手でも5,000億とか、それくらいのレベルになってくるので。7兆ですから、14倍ですよね、1位が。せっかくものすごく良い技術を持っている良い加工食品、冷凍食品だったり、ドライフーズを持っていたりするのに、チャネルづくりが弱いせいでなかなかグローバル展開ができないと、そういう世界です。
東:一方でこの食品とかを最終的に扱っているインドの小売業は、これを日本市場にいると、日本に住んでいると今カルフールとか昔ありましたし、コストコとかああいうところはIKEAとかは出てきてはいますけど、まだまだ部分的でどうしても大手のスーパーとか、地方のスーパーとか、そういうのが目立つと思うのですけど、世界で見ると日本の小売店はベスト10の中に入っているのですか?
森辺:小売も全く入っていないですよ。
東:全く入っていない。
森辺:全く入っていないし、結局日本のメーカーさんの海外展開というのはイオンが出たからそれで行くぞと、レッツゴーみたいなので行くわけではないですか。けど日本の小売は、イオンはすごいですけど、グローバルで見たときはやはりランク外ですし。今日はあまり時間がないのであれですけど、次回また話そうと思いますけど、ウォルマートあるじゃないですか。アメリカの。あれが確か35兆とかなのですよ、売り上げ。28か9か、そえぐらいの国で出店をしているわけですよ。フォーグスの億万長者ランキングのリストとかみると、ウォルマートグループの一族が上位10のうちの中、4人か5人がウォルマートグループで占められているというぐらい圧倒的な王者。34兆ですからね。10位が、ごめんなさい。2位のカルフールが9兆弱。8兆7、8,000億ぐらいなのですよ。
東:全然違いますね。
森辺:全然違うのですよ。だから、それぐらいの規模の話をしているので、小売もすごく厳しいと。日本国内だけで見たら良いのですけど、グローバルで見たらやはりものすごく構図が出来上がっていて、ものを売るメーカー、それから作るメーカー、それを売る小売というところなのですけど、そこはやはり欧米勢に大分とられているというのが実態ですかね。
東:欧米勢が小売も強いと。ちなみに3位というのはどこになる。
森辺:テスコという英国の、イギリスの会社だったと思うのですけど。これも8兆ぐらいあったと思います。
東:カルフールとほぼ同じみたいな。
森辺:そうですね。カルフールが8兆7、8,000億ぐらいだったと思ったので、テスコが7兆。
東:1兆ぐらい違うのですね。
森辺:1兆ぐらい違う。ウォルマートが34兆、5兆ぐらいありますから。
東:2位、3位を足しても全然ウォルマートには全然届かないですね。
森辺:難しい。だから逆に言うと2位から10位を全部足してやっとウォルマートぐらいの、そんなイメージですよね。それは言い過ぎかな。2位から7位ぐらいまでを全部足して、やっとウォルマートみたいな感じですかね。
東:今日はもうお時間が来ているので、ぜひこのAERAの特集の件についてもう少し最後一言だけいただいて終わりにしたいと思うのですけど。
森辺:みなさん、読んでいただければ幸いです。ありがとうございます。
東:今日はありがとうございました。
森辺:どうもです。