東:こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺:こんにちは、森辺一樹です。
東:では今日は前回の続きをいきたいと思うのですけど。今年最後のPodcastになるのですけど、1年振り返ってみて、森辺さんどうでしたか?
森辺:僕にとっては2012年、2013年というのは大きな変化のあった年なので。12年にもともとやっていた調査会社を売却して、13年に東くんとこのスパイダーイニシアティブを設立し、合弁会社の設立をしたり、そんなことをずっとやってきたので、休みなしでずっとこの1年一緒にやってきたわけですけど。初年度はもう少し沈むかなと思っていたのですけど、皆さんのご支援のおかげで初年度から黒字で決算を迎えることもできたので、ちょうど年末近くになってホッとしているという、そんな状況ですかね。
東:なるほど。この間の続きで、ワールドワイドで見たときの小売業のシェアだったり、状況がどうなっているのかというところで、ウォルマートが圧倒的な売上高を誇っているというところで終わってしまっているのですけど、引き続きもう少し詳しく教えていただけないでしょうか。
森辺:ウォルマートストアズがやはり米国の、世界展開でも30カ国弱ぐらいで圧倒的ですよと。ここの売り上げも34兆、5兆ありますと。2位はフランスのカルフールで、それでも8兆、9兆ぐらい。9兆はないですね。8兆7,000億ぐらいで。30カ国以上出店しているわけです。3位がイギリスのテスコというところで、これも7兆8,000億ぐらいある、十数カ国に出ているそんな会社で。アジアなんかですごく頑張っている、最近僕が注目しているドイツのメトロという小売なのですけど、これが7兆1、2,000億ぐらいの会社で。
東:日本にもありますよね。
森辺:30カ国以上進出しているのです。アメリカのクローガー(Kroger)、これも7兆ぐらいある会社で。コストコも日本にもあって僕年2回ぐらいコストコにホームパーティーをすると言って嫁に連れて行かれるのです。これが僕は嫌いで、嫌いで。広い店舗をでっかいカートをずっと押させられて、まわらないといけないという。買い物にいくのが本当に嫌で、その辺のスーパーが一番良いのですけど。日清が良いのですけど、一番。
東:女の人はコストコ大好きですよね。
森辺:安いのか何か分からないですけど、たくさん入っているではないですか、全部が。こんなたくさん食べられないでしょというぐらいたくさんアメリカンな感じで、うちのストレッジにいっぱいコストコの商品が入っていますけど。そこが、すみません、全然話がそれましたけど。6兆8,000億ぐらいあるのです。
東:6位がコストコ。
森辺:7位がドイツのシュバルツというところなのですけど。これも7兆。6兆7,000億ぐらいですかね。やはり25、6カ国くらい出ているはずです。ドイツのアルディー。
東:これが8位。
森辺:これが5兆6,000億ぐらい。これも15、6カ国、7カ国ぐらい出ているところだと思います。あとアメリカにいるとみんなご存知だと思うのですけど、アメリカのターゲットです。これが5兆3,000億ぐらいです。フランスのオーシャンという会社が4兆5、6,000億と。これも10カ国以上進出していて。こんな欧米勢ばかりなのです。僕面白いなと思ったのが、さっきの食品もそうなのですけど、米国とドイツとフランスは強いですよね。今回テスコという、英国が3位に入っていますけど。もっと面白いのが、アメリカのマーケットはやはり大きいのですよ。例のクローガーとかターゲット、米国のターゲットなんか、アメリカの1カ国にしか出店していないのです。グローバル展開していないわけですよ。それで、5位とか9位とかで。7兆、5兆という売り上げがあるわけではないですか。いかにアメリカがでかいかという話しで。アメリカ1カ国で5兆とれるのだったら、無駄に海外に出ないみたいな。ウォルマートに出させておけというのが、ターゲットの戦略なのか分かりませんけど。アメリカは人口が伸びていますから。アメリカ企業だったらそれはありだなと。ただ一方で日本はどんどん少子高齢化していって、買い物に行ける人だって少なくなるではないですか。そうなったときに、一番大きいイオンでも世界で見ると13位ぐらいで。4兆6,000億ぐらいなのです。セブン&アイホールディングスは4兆5,000億ぐらいですかね。あと伊勢丹、三越ですよね。ここからガクーンと下がるのですけど、62位で1兆2,000億とか。ダイエーなんていうのはよく行きますよね。小学校のときに近くにダイエーありましたよね。これは91位とかで8,000億ぐらいです。あと、ドン・キホーテなんかも145位で5,000億ぐらいだし、泉なんかも155位で4,657億という、こんな構造なわけですよ。
東:日本というと、イオンとセブン&アイと、あとコンビニみたいな感覚がありますけど、そこですらベスト10には入って来られないというわけなのですね。
森辺:そうですね。アジアもそうなのですけど、各小売業は規制業種になっていて、規制が徐徐に開放されていくわけですよ。とにかく欧米勢は早いのですよ。規制があるならまずは欧米で入っていき、広げていって。規制を見極めるタイミングとか、小売活動という、全てが早い。だから日本のメーカーにとっても、日本の小売店を相手にしていてもアジアのマーケットはとれないし、小売店自身も日本の中でNo.1でも、アジアで見たらイオンですら13位と。世界で見たら。世界で見たらイオンですら13位というのが今の現状ですよね。
東:こういう世界的に、小売業が先に出ているというのがやはり欧米。特にアメリカ、フランス、ドイツみたいなところがあるので、日用品もそれにヒモづいて欧米が強いと。そうすると日本企業は小売も進出が遅れているし、日本は日用品に関しても遅れてしまっているというような現状がすごく浮き彫りになってくると思うのですけど、この辺はどうお考えですかね?
森辺:結局チャネルづくりが遅かったし、出遅れたというのが一般的だというかそもそもベースにあるわけです。そこからチャネルづくりがすごく遅れてしまっているし、結局今からグローバル人材を育成してやっていくのかといっても結構時間もないのですよ。だから、やはりそうはいっても、それを言ったら話は終わっちゃうので、チャネルづくりにやはりもっともっと投資をしていかないといけないと僕は思うのです。うちに来ている大学のアルバイト、インターンの子たちにもよく話しをするのですけど。お前らグローバルでランキングを見ろと。日本の銀行行きたい、日本の小売行きたい、日本のメーカー行きたいというのだけど、グローバルで見たときにこれは本当に25位のこの会社に行くのと。小売だったら13位のイオンに行くのと。ウォルマートに行けばと思ったりするのです。だから、グローバルで物事を見るということがものすごく重要なので、僕はランキングが大好きなのでよく見ているのですけど。
東:そうするとチャネル構築、販路構築というところに1つキーポイントが。
森辺:そうです。チャネルを一番上に持ってきてほしいと、持ってくる必要があると僕は思います。
東:この間、フジサンケイビジネスアイのイノベーションズアイというところの対談で、大石先生が4Pの話をされたと思うのですけど、あれは結構分かりやすいと思うので、ぜひ。
森辺:明治大学の大石先生の説明は本当に分かりやすいし、はっきり言うではないですか。すごく面白くて。ちょうどこれはフジサンケイビジネスアイがやっているイノベーションズアイというサイトで、グローバルのコーナーが出来たのですよね。そこの対談の記事を明治大の大石先生と、対談させていただいて。その記事が載っているのでよかったら皆さんに見ていただきたいのですが。そこでもお話があったように、うちの会社が今表にものすごく出しているメッセージを「ものづくりからチャネルづくり」というメッセージを出しているのですけど。グローバルでどうやってチャネルを構築するのという、そんな内容で大石先生と対談をさせてもらったのです。その中で、大石先生がものを売るのに重要なのは4Pだと。マーケティングの4Pがすごく重要ですと。その中でプロダクト、プライス、プレイス、プロモーションというのが出てくるわけですけど。結局そのプロダクトは、日本はいつも先に来ると。プロダクトなんてもう出来るのだから、分かっているじゃん、もうあるじゃんいいものがと。プライスは原価計算の話しでしょと。コスト削減するのも上手いじゃないと。そうすると、プレイスをまず先に持ってきなさいと。プレイスはチャネルのことなのです。チャネルをまず先に持ってくる。プロダクトよりもプレイスが重要だと、こうおっしゃったのです。その説明があまりにも分かりやすかったので。それはそうです、僕が言いたいのはそれですみたいな。そんな話だったのですけど。
東:国内マーケティングだと4Pの最初が、プロダクトがきて、プライスが来て、プレイスが来て、プロモーションというのが一般的に教えられることだと思うのですけど、大石先生が言われているグローバルマーケティングだとプロダクトではなくて、最初にプレイスが来ると。
森辺:そうですね。どこのチャネルでどう売るかというのが最初ありきで、そこからですよ。物はいいわけではないですか。だから、チャネルがないとプロモーションもそうなわけです。チャネルないといくらプロモーションがあったって響かないわけで、チャネルに。だから売れないですよね。だから欧米のさっき話していたような小売で売られている欧米の食品とか、ああいうものというのはめちゃめちゃプロモーションしているわけではないですか。プロモーションコストを膨大にかけるわけですよ。何でかけられるかというと、チャネルがあるからかけられるわけですよ。だからやはり何を置いてもグローバル展開というのはチャネルがすごく重要という対談をしたという、そんな話です。
東:チャネルづくりがうまいと言われるジョンソン・エンド・ジョンソンとかP&Gとかというところは、成功してやっているということですよね。
森辺:結局日本の製造業というか、メーカーさんというのは誰かにお任せして、売るのはお任せしますと。任せるわけですよ、現地のディストリビューターに。だけど、現地のディストリビューターが日本のディストリビューターのように優秀かというと全然優秀ではないのです。チャネルづくりというのは、チャネルを教育して、育成して、管理してという業務なのです。だから単純に売れる人を見つけて「はい、お願いします。」と期末に在庫を押し込んで「はい、頑張ってください。」とそういう話ではなくて。やはりアジアではチャネルを自ら育てていかないといけない。それを欧米のメジャーはずっとやり続けてきているわけで。そのチャネルの会社さん。ディストリビューターの中にイスと席まで置いて、人を常駐させたりするわけです。何がいくら、どこでどう売れているかというアクセンチュアの清水新さん的にいうと、最前線、最細粒度の情報の吸い上げというのです。それが出来ているわけで、そこまで徹底しなかったら、海外ではものは売れませんよという。まさにその通りなのです。そんな話しを大石先生ともさせていただいたという内容ですかね。ようは気付いている企業は気付いていますからね。チャネルへの投資をすごくやってきているので、これからの日本の企業の将来は明るいと思うのです。だって、物が作れない会社は世界中に五万といるし。物とものだけで比べたときに、勝っているわけだから、あとはチャネルにさえ投資をすれば。
東:巻き返しが。
森辺:巻き返しが全然あるので。結局これは10年、20年のスパンで変わってくるわけではないですか。だから僕は全然日本企業にはまだまだ可能性が十分にあるというふうに思っていますと。ただ、大丈夫、大丈夫というとなかなかチャネルへの投資をしないので、結構連載とかメディアへの発信はすごく否定的なことを書きますけど、基本的には僕は日本企業に可能性はものすごくあると思っていますけどね。
東:なるほど。今日もそろそろなのですけど、今年最後のPodcastということで、森辺さんから今年を振り返っていただきましたけれども、来年へ向けて具体的にスパイダーとしてでも、森辺さんとしてでも、どんなことをやっていきたいとか、何かありましたら。
森辺:僕はスパイダーに命をかけていますので、僕個人としては何もないですけど。来年はまた東と夏、メンバーと一緒にギアを少し上に入れて日本企業の海外販路構築というところをぶれずに支援をしっかりやっていきたいなというふうに思っています。なので、ギアを上げて成長をしていけたらなと思っています。
東:では、最後に1年間。6月から始まったのですけど、結構多くのリスナーの方にこの番組を聞いていただいて、いろいろお声がけとかもいただくのですけど。最後に1年間リスナーの方に、聞いていただいたリスナーの方に一言いただいて終わりたいと思うのですけど。
森辺:皆さん、森辺一樹のグローバルマーケティングを聞いていただきありがとうございます。また来年も月に8本を配信していきます。質問事項もなかなか番組内で答えられていなくて、大変恐縮なのですが、来年以降はまたそんな機会をつくってこの番組をもっともっと面白いものにしていきたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。また良いお年をお過ごしになっていただければと思います。本当に半年間ありがとうございました。
東:森辺さん、ありがとうございました。今日はここまでにしたいと思います。
森辺:ありがとうございます。