森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。話の長い森辺一樹です。今日も引き続き、4回目かな、真面目な話をしたいと思います。
強固な販売チャネルをつくるにはどうすればいいのかということで、3つありますよという話をずっとしてきていて、1つが発掘選定、ディストリビューターの発掘選定、そして、もう1つが契約交渉、今日お話するのが管理育成ということなわけですけど。この管理の育成なんですけど、多くの企業は、ディストリビューターとは契約が締結されたらそれでおしまいですと、自分たちはつくる人、売るのはディストリビューターなので、「さあ、お願いします」ということで契約締結がゴールというふうに考えている企業は決して少なくないと、僕もたくさん見てきました。そんな中で、実は、契約締結までで7.5ぐらいなんですよね。残りの2.5やるのは、この管理育成で、75点だと、まだまだやっぱりちょっと合格点まで行かないですよね。ABC評価だとCみたいなね。それを、あと残りの25%上げていくのが管理育成で。
管理育成って何?と言うと、定期的にディストリビューターを訪問して、「あー、ウェルカム、ウェルカム」で、「乾杯、乾杯、問題ないよ、頑張っているよ」と、見たい顧客、見たい小売、見たい現場、メーカーが見たいところにだけディストリビューターがメーカーを連れていくと。そして、見せたくないところには連れていかれないみたいなね、そういう状況に陥るわけなんですけど。そういうことを僕は管理育成というふうに言っているのではなくて。
管理というのは、お互いが契約交渉のときに決めた戦略、その戦略を実行する方法、言ったら、この数字をやりましょう、10億円やりましょうと、10億円やるためにはこういう組織が必要ですねと、この組織の、この人数で、こういう活動をやりましょうと。そうすると、KPIとしてシンプルにストアカバレッジ、間口数と店頭シェアみたいな2軸を追っていきましょうねと。われわれは間口数と店頭シェアをずっとモニタリングしていきますよと。そこに問題が生じたら、すぐに改善していきましょう、みたいなことを決めるわけですよね。それがしっかり決めた通りに運用されているかということを管理しないといけない。KPIがしっかりウイークリーで、問題が生じたらもうウイークリーで対策する。マンスリーで対策していたら絶対遅いし、四半期ごとの対策なんてもう終わっちゃっていますよね、期がね、1年が、決算期が終わっちゃっているので。デイリーで見抜くというのはなかなか難しいので、僕の経験上はやっぱりウイークリーですよね。1週間目で、「あれ?おかしいな」と、「これ、予定通りKPI進んでないな」と思ったら、2週目で改善するということをやっていかないと。2週目で改善できる例というのはほとんどなくて、2週目、3週目、4週目ぐらいでようやく改善できたみたいな、そういう状況に陥るわけなので、1週目でウイークリーでやっぱり判断していくということをしなきゃいけなくて。シンプルにKPIをつくって、もうね、特にB2Cなんていうのはストアカバレッジと1店舗あたり売上、セールス・パー・ストアみたいなところの2軸でいいですよ。これをどれぐらい実現しましょうということを、契約交渉の中で決めているわけだから、それをやる組織も決めていて、何をやるかも決めているわけなので、それがずれてきたときに、なぜずれているんだろうと、できる組織、できる方法を選択したのになぜずれているんですか。そこの原因をフィックスしていくという、改善していくということにフォーカス、集中すればいいので、そういうことをやるというのが管理なんですよね。
一方で、育成というのは何かと言うと、もちろん製品であったり、自分たちの知識を、メーカーが持っている知識をしっかりとディストリビューターに教えていくということもそうなんだけども、製品知識と同様に、メーカーの考え方みたいなところ、フィロソフィー的なところの浸透みたいなところにね、先進的な企業というのはね、やっぱりそこをすごく大切にしていて、「自分たちの価値観ってこうだから」というね、その価値観をディストリビューターに押し付けるのではなくて、その価値観を理解してもらうという布教活動というのかな。なんかね、キリスト教の布教活動みたいな、かつてずっと歴史上行われてきたね、それになんか僕、近いのかなという気がするんだけども。決して押し付けじゃないんですよ。なので、そういうことをやって、ディストリビューターの社内にそのメーカーのファンを増やしていくという、そういう活動なんですよね。「僕、あのメーカーの商品を取り扱うチームに行きたい」と、「いや、僕あそこに行きたい」みたいな、そう思わせるようなマインド的な側面からそう思わせる活動、これを僕は育成と呼んでいて。それをやりながら、したたかに金銭的なインセンティブをしっかりと会社とセールス本人、個人に設定しているんですよね。会社に設定するということは、一番重要なオーナー社長が喜ぶ話、そして、それ以外に社員にね、インセンティブをしっかり個人に出るようなことをしたりするので、価値観を共有するということと同時に金銭的なメリットもしっかりと与えていくというね。日本みたいにね、とにかく金銭的なメリットみたいなことは求めることも美徳ではないし、求めないことが美徳みたいな、ひたすらもう精神論でロイヤリティー示しますみたいな、そういう気持ち悪い話じゃないですよね、価値観の押し付けみたいなね。だから、なんかね、うまいんですよ、ほんとに。これ、素でやっているのかなって、戦略だよねっていうぐらいにうまくて。やっぱりそこをしっかりやっていくという。日本でそれをやろうとすると、ちょっと宗教チックになるわけですよ、企業でもね、そういう宗教チックな企業ありますよね。自分たちの価値観を宗教チックに分からせるみたいな。いやいや、そういうことじゃなくてというね、非常に欧米的なというか、「あくまであなたのあれは尊重しつつ、われわれはこう思っているんです」と。そこに向こうから、「いいな、素敵だな、その考え方、すごいな」みたいな。なのでね、その日本の宗教チックな押し付けみたいのとはまたまったく別物なんだけど。うまく伝わっているかな…。すみません、表現が下手で。
ということが育成なので、そこをしっかりやっていくと。それができると初めて100%になっていくので、ぜひね、ちょっと心掛けてというか、トライしてみてください。
それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。