森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、ディストリビューターのお話をしようかなというふうに思っています。
弊社は、ご存じのように消費財メーカーさんの顧客が今7割ぐらいですかね、3割がB2Bのメーカーになるんですけど。7割ぐらいが消費財メーカー、食品・飲料・菓子・日用品というような消費財メーカーのクライアントなんですけど。そのチャネル周りの仕事、マーケティング周りの仕事が非常に多いわけなんですけど、中でもチャネルの再構築みたいな仕事が多くて。ディストリビューション・チャネルをどうしようみたいな、そんな仕事が多い中、ここ数年やっぱりずっとASEAN市場の販売チャネルの再構築をしていきたいみたいな、そういう依頼がやっぱり圧倒的に多くて。
その中で、この手の商売なかなか1カ国1ディストリビューターというような方法ではマーケットシェアって上がらなくて、複数のディストリビューターを活用していくという必要性が出てきて。今まで結構ね、消費財メーカーでも1カ国1ディストリビューター制みたいなのを敷いていたケースがあったんだけど、やっぱり複数活用しないとだめだよねと。特に日本の消費財メーカーの課題って「伝統小売どうしよう」みたいなところが非常に大きな課題になってくるわけなんですけど、その伝統小売を攻略するためのディストリビューション・ネットワークを組まないといけないと。
そうしたときに、ディストリビューターと契約を締結してからいろいろ施策を展開しようとするんだけども、どうもうまくいかないんですという状況が非常に多くて。良いと思って組んだんだけど、そのあと実際にやらせてみるとなかなかうまくいかないみたいな。それに対してどうしたらいいんですかという、そういうお話なんですけどもね。
結構いろんな企業にお話を聞いていくと、ターゲットがあって、消費財メーカーの場合はもう絶対的に中間層なので、どの企業でも中間層がターゲットというのはもう絶対にブレてはいけないと、ブレないところであると。そのターゲットに対して、誰が、何を、どう売るの?というところを契約締結前に決めるということがすごく重要で。めちゃめちゃ具体的に決めるということがすごく重要で。でも一方で、そこがぼやっとしたまま「ここは良いから」と。良いというのも、どちらかと言うと定量的に良いではなくて、定性的に良いということのほうが多くて、何となく相性が合うというか、馬が合うというか、そういう見えないものの範疇(はんちゅう)での合うという傾向が多くて。もちろんその領域も非常に重要なんですけどもね。なんですけど、数字で合うかどうかというところの検証をしてないまま合うという判断をして進んできているという傾向があって。
やっぱり契約書を締結する、契約書がすべてであって、契約書以上のことも以下のこともないので、契約を締結する前に自分たちがやりたい数字というのが決まっていて、中間層というターゲットはもう完全に決まっているわけですから、そのターゲットに対して、例えば10億なんですと、10億やりたいと、その10億をやるためにはこれだけの間口を獲って、その1間口あたりこれだけ売らなきゃいけないという計算が、もうすでに出るわけですよね。10億円売るためには、何間口を獲らないといけない、ストアカバレッジを獲る必要があるのか、どれだけたくさんの店に置く必要があるのかということと、その店で1店舗あたり平均、日販でも週販でも何個売れなきゃいけないのかということが事前に出るわけですよね、明確にね。それに対してディストリビューターさんには何をお願いするのか。つまりはどういう組織体制で、これが「誰が」ということなんですけど、「何を」というのは商品をですよね、だいたいこの商品というのは決まっているんですね、これを売りたいとか、あれを売りたいとかっていうのは。そして「どうやるんですか」というところのhowのところ、ここを具体的に決めていかないといけない。10億やりたいんだったら、間口数が例えば10万店必要です、週販平均2個売れる必要がありますというのが、これはもう事前に決まっているので、これがないと絶対に10億はいかないということは決まっているので、じゃあ、この10万店の間口を何人の組織で獲ってくれるんですかということを明確に決めるということと。あと、週販2個売るためには今の商品ではだめだとか、この商品をもっとこういうふうに改良しなきゃいけないとか、今の商品認知度じゃこれは絶対いかない、消費者の手がその商品に伸びないと、だからこれぐらい広告投資をしないとだめだとか、BTL、ATLをこれぐらいしないとだめだということが分かるので、メーカーとしてやるべきプロモーション投資をしっかりやるということと。あと、ディストリビューター側がやるべき間口獲得、ここに対してこれだけの人数をウイークリーで、デイリーで、こういう活動をさせますよというのがあってはじめて10間口、ひいては10億円というのが達成するわけなんですよね。そこがあるから契約をするのであって、そこまで詰め切れないまま、何となくいけるだろうと言って契約をしてみたんだけど、結局、そんな人数しかいないの?と、1カ月でそれだけの間口しか獲得できないの?と、10万間口なんか到底無理じゃないの?と、計算したら何十年ってかかるみたいなね、10万間口獲るまでには。そうすると、それに対して広告投資を打ったって、砂漠に水をまくようなものなので意味がないみたいな話になるので。契約したあとにそういうことを決めるのはなくて、契約をする前にある程度現地のディストリビューターの社長とそれを握るということがすごく重要で、そこがやっぱりなかなか緩いというか、やり切れていないのが日本企業の特徴だなということで多々見受けられています。
なので、そこをね、もし同じような課題を感じている企業がいたらぜひ、契約書の前に決めるんだと、それも具体的に決めるんだと、決めることは目標数値があって、その目標数値のためには何間口獲らないといけないのか、週販でも日販でも、どれぐらい1店舗あたり売らなきゃいけないのかということは決まってきますから、ここが決まったら、それをディストリビューターとの共通認識として持って、じゃあ、それを達成するためにメーカーはどれだけの広告投資をするんですかと、ディストリビューターは、じゃあ、どれだけの間口獲得にどれだけの人員を割いてくれるんですか、その人員がデイリーで何をやってくれるんですか、ということを具体的に決めれば目標に対する進捗というのは進んでいくので、ぜひそこに注意をしてみてください。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。