森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、「ディストリビューターのマネジメント」についてお話をしていきたいと思います。ディストリビューターの管理育成ですね。
「ディストリビューターをマネジメントする上でのポイントって何ですか」というふうに聞かれたときに、僕はいつもこういうふうに答えるんですけど、「管理指標をできる限りシンプルにするということと、あと、達成したときのインセンティブをしっかり設けるという、この2点が大変重要ですよ」というふうに答えています。実際に自分たちもディストリビューターの管理育成が仕事なので、われわれの会社で言うとアウトソーシング事業というのがあって、クライアントさんのある一部の地域の販売をわれわれがアウトソーシングで受けて、担って売上を上げてくるという仕事があるんですね。グローバル競争のスピードが格段に上がっていますから、お客さまもすべての国を自前の人員でやるというようなやり方ではなくて、ASEAN、特にVIPみたいなちょっとややこしい国は、部分的に地域をわれわれに任せることによってグローバル系のスピードを上げるみたいなお話なわけですけども、そんな中でわれわれもディストリビューターの管理をしていると。
そのときに、われわれも過去はいっぱい管理で失敗をしてきていて、うまくいかないと、思い通りにいかないということは散々経験してきていて、その中で結局最終的に導き出したのが、「売上を上げるために最も重要な指標って何なんだ」ということをまず出すんですよね。その指標だけを管理するという、もうこれ以外のことはしない。
特に日本のマネジメントって、上が安心したいから、知りたいから、とにかく細かいExcelにいっぱいいろんなことを埋めさせるみたいな。そういうことをやって、じゃあ、管理する側は、それを見て何か具体的な、効果的な指導ができるのかと言うとそんなこともなく、ただ、「うん、よしよし。ちゃんとやっているな。サボってないな。ふーん」という感じの無駄な管理が結構日本の中では、僕は多々あるなと思っていて。日報なんかまさにそうですよね。日報を書かせる会社もさすがにもうないと思うんですけどね。新入社員が1年目、最初の半年か1年ぐらい書くぐらいだったらまだいいですけど、日報なんかまさにそうで。僕も昔、日報を書けというのでよく書いていましたけど、その書いた日報に対して上司から何かアドバイスをもらったことなんて1度もなかったので、何のためにこれをやるんだろうと、遅く帰ってきて、そこから日報を書かなきゃいけないとか、あと、先輩で1カ月分の溜まった日報を自分のスケジュール帳を見ながら一生懸命書いている人がいて、それに週末、土日つぶれているんですけど、それを見ながら、何のための日報なんだろう、これってずっと思っていたんですけどね。そういうことを言うと嫌われるのでね、あまり言わないようにはしていたんだけど。言っちゃうんだよな、僕って、性格的にね。言わなきゃいいのに言っちゃうというね。もう25年も前のことかな、20年ぐらい前のことかな、20数年か、僕が会社勤めしていたときの話ですけど。でも、やっぱりそういう傾向が多くて、うちの会社もね、やっぱりそういう管理をしようとしていたマネジャーというのがいて。
その中でみんなで考えて、いや、そうじゃないよねと、アジアの人って特にそんなにたくさんのことを管理しようとしたって抵抗がやっぱり強いと、日本企業の日本人みたいにね、取りあえずそういうものだから我慢してやる、みたいな話じゃないので。とにかく売上を上げるために重要な指標は何なんだと、われわれのクライアント、主たるクライアント、消費財メーカーさんにおいては、伝統小売の攻略をしなければ、売上もシェアも上がらないということなので、伝統小売の間口を獲るんだということは非常に重要で。置いたものが売れないというのは、これはメーカー側の責任の領域が非常に大きい話なので、商品が悪い、商品の価格が悪い、商品の認知度が悪いという話なので。でも、とにかく置くんだと、そこがクリアになっているのであれば、とにかく間口を獲得するんだという。ここの進捗だけをKPIの指標として置いて、それだけウイークリー、デイリーで確認をしますと。それがもし計画通りに進んでいなかった場合に、何が原因でそうなっているのかということを分析をして、その要因に対して指導をする、2回ぐらい指導を繰り返す、それでだめだったら人材を代えるということを合理的にやっていく。
特に間口を獲るという業務に関しては、あまり連続的にできないという人材が出たときに、そこをずっと教育し続けるということよりも、そこの人材をスイッチするということを考えたほうがシンプルで。結局辞めていくんですよ、ここのレイヤーの人材というのは。ずっとそこでその業務を一生やり続けるというか、長い期間やり続けるという目的の人というのはいないので、やっぱりある程度辞めていく率というのはある程度の率であるので、そこに対して流れに逆らわないということはすごく重要で。去る者は追わずじゃないですけども、リプレースをしっかりして、誰が来てもシンプルな指標で管理していますから、それが誰であっても同じように繰り返しできるという状態をつくることのほうが重要で。そんなことを散々経験しながら、シンプルな指標に仕上げていったという、そんな経緯があるので、シンプルにやるということが、まず絶対に重要です。Excel地獄とか、あと、訪問して帰ってきてから何かを書かせるとか、そういうことをしない。スマートフォンを持っているんだったら、全部がスマートフォンで、これはテクノロジーで解決する問題と、いわゆるやり方の問題と2つあるんですけど。テクノロジーで簡素化できるものは全部テクノロジーを使って簡素化しちゃうという。例えば、伝統小売を回ったときに3つのことをオーナーと話してきてください。もう5つも10個もいっぱいつくらない、多くても3つ、何なら1つ2つぐらいで収めるということが重要で。オーナーとこのことについて話してください。陳列している写真をこのスマホで撮ってきてください。それが自動で吸い上がって、こっちで自動集計されているような状態。分析は全部こっち側でやるので、余計なことを現場にやらせないということはすごく重要で。そんなことをやって。その間口獲得を楽しいと思える子たちはずっと残るんですよ、長くね、やっぱりね。2割ぐらいは残ってくる。2~3割は残りますよ、ずっと。残るというのは5年以上続いてくるので、そうなってきたら非常に良い回転していると。
一方で、インセンティブの話なんですけど、やっぱり間口獲得を達成した人に対してインセンティブをしっかり出すということをやる。これもやり過ぎないということがすごく重要で。金銭的なインセンティブと感情が満たされるようなインセンティブを両方やるということが、僕はすごく重要だなと思っていて。感情が満たされるというのは、ちょっとコロナでずっとできていなかったんですけど、少しチームで小旅行をプレゼントしたりとか、これって連帯的なものが生まれて非常に感情に残る、心に残るインセンティブで。金銭的というのは彼らの生活そのものを良くすることなので、この2つのコンビネーションでしっかりやっていくという、金銭的だけだとね、結局最後はインセンティブ競争みたいになっていくので、そこは非常に重要なところだったなというのを振り返って思うわけですけども。
あとは本当にシンプルにやるということが重要で、あまり悩まないということがすごく重要ですよね。マネジメントされる側を悩ませない、する側も悩まないということがすごく重要で。そこが悩みのツボにハマってくると、悪い空気が流れていって、どんどん、どんどん、崩壊に向かって走り始めるので、とにかくシンプルに、できた人にはインセンティブということが重要だと思います。
すみません。今日もめちゃめちゃ長くなっちゃって…。以上にしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。