森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は東さんがいませんので、ひとりPodcastです。今日は何の話をしようかなということでちょっと考えていたんですけど、先日ね、とある方とお話をしてて、そのことについてちょっとお話をしようと思うんですけど…。
「近代小売(MT)との有利な交渉の進め方」についてお話をしたいなと。ASEAN市場の話をしてたんですけど、ASEAN市場のいわゆる近代小売が年々進化をする中、非常に強い交渉力を持っていると。日本と違って日本ブランド、日本のメーカーの大手、例えば10社とか、そういういわゆる誰でも知っているような食品・菓子・飲料メーカーさんとかって言うと、まあまあ、どこの小売と商談をしてもある程度対等というか、小売の交渉力の強さで困るという、頭を抱えるということはそんなにないのかなというふうに思います。
一方でASEAN市場だと、基本的にいわゆる棚代、導入費というものが掛かるわけですよね、リスティングフィーや棚代、半強制的なプロモーションへの参加、「チラシに必ず掲載を年に何回してください」とか、売れ行きが悪いと「Buy one get one freeをやりましょう」とか。基本的に値引き対応でしか売上を伸ばすということはしないので、小売が集客力を高める努力をしたりとか、小売が何かを売るというよりかはメーカー、「あなたたちが値引きをしなさい」と。そもそもその値引きが前提になっているので、いわゆるBuy one get one freeということは、1つ買えば1つ無料ということなので、基本的には半額にしますよと、そういうキャンペーンを年に2回とか何回とか打たされるわけですよね。それを加味した小売マージンになっているので、仮に半額にしてでも小売はマージンが取れるというような設定をされているわけですよね。基本的に日本だと返品率が1%以下とかっていう中で、ほぼ返品がなかったりとかっていう中で商売をしていると思うんですけど、ASEANの場合、ひどいところだと3%とか5%とか返品されたりということもあるわけなので。そういう非常に小売のヒエラルキーのほうが、ヒエラルキーの中で小売が上にいるような状態で。これがね、例えばグローバルブランドのネスレだ、ユニリーバだ、P&Gだ、コカ・コーラだというのであれば、小売との交渉力は非常に優位に進められるし、リスティングフィーだって、棚代だって、日本の大手のメーカーとは全然違うレンジが用意されているわけで、日本の消費財メーカーにとっては非常に大変だよねと。
どういうふうにやっていけばいいんだと、ディストリビューターにお任せしておいたらいいのかという、自分たちでやるべきなのかみたいな話なんだけど。取りあえず勉強代を支払っていくということは、もうこれは仕方がなくて。結局、例えばこれからお付き合いをしていく小売とは、関係をつくるまでにやっぱり何年もかかっていくわけなので、非常にしんどい時期というのは当然あるわけですよね。それをずっとディストリビューター任せにしておくと、永遠にディストリビューターに球を握られている状態が続いていくので。輸出だったら仕方がないですよ、輸出であれば。ただ、現法があって、小売と直接交渉をしないというか、というのはかなりレアケースですよね、先進的な企業の中で言ったら。先進的なグローバル企業でいったら直接MTは小売交渉をメーカーがしますから。なので、そこはいずれしないといけないよねと。
ディストリビューターも、日本企業が来ると、小売が好き勝手日本のメーカーに言うので「来るな」ということを言う。「われわれに任せておけ、小売との商談は」というケースも当然あるので、一概にね、ケースバイケースなので何がいいかということはなかなかケースによってまちまちなんですが。恒久的にはやっぱり現法があるのであれば、小売との交渉は自分たちでやれるだけの力をいずれは付けていかないと、結局、中間流通マージンが高くなってしまうし、その先の小売マージンがどういうふうになっているのかというのはさっぱり分からないわけですよね。プラスになる面もあれば、マイナスになる面もあると。いわゆるディストリビューターが小売とすごく良い関係で、ほかのブランドもたくさん取り扱っているので、言ったらボリュームで棚代であったりリスティングフィーがギュッと圧縮されているので得をするというケースもあるし、その反対も逆に然りなので、ここはやっぱり透明度を上げるという、その中身を見える化していくということが恒久的には非常に重要になるので、自分たちでやるということが非常に重要ですよというのが、まず1つかな。
輸出の場合は、これはもう自分たちで交渉すると言っても限界がありますから、ある程度ディストリビューターに任せるという方向でいいと思うので、輸出と現販、現地に法人がある場合の現地販売に関しては直接交渉というのが1つの方法であるということがまず原則としてあるのかなと。
本題に入る前の前置きが長くてね、もうこんな6分24秒もしゃべっちゃって、「はい、終わり!」と言われているので、ちょっと今日はここで切りますけども。次回ちょっとこの続きをやりたいと思いますので。すみません。また次回お会いいたしましょう。