森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、「伝統小売(GT・TT)で売るために重要なこと」についてお話をしていきたいと思います。
ASEAN、特にVIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)などの伝統小売が非常に重要になる地域では、どのように伝統小売を攻略していけばいいのかという質問をいろんなところで受けるわけなんですけど。日本の多くの消費財メーカーがこの伝統小売の攻略に今、苦労しているという中で、どういうふうにしていくことが重要なのかということで。伝統小売に合致した販売チャネルをつくるということはもちろん重要なんですけども、それ以前の前提条件としてとても重要なことがあって、それがやっぱりクリアできないと、どんなに素晴らしい伝統小売に合致した販売チャネルをつくっても、商品は1度置かれても2度と置かれなくなると、言ったらセルアウトしていかないということになってしまうので。これは実際にわれわれが過去にやっぱり経験をしていて、その中でも同じ結果が出ているので、ほぼ間違いないというか、まず間違いないと思うんですけども、そのことについてお話をしていきたいなと。
2つほどあるんですけども、1つがやはり伝統小売で売るためには、その国の、売りたい場所、都市の近代小売で売れ筋になるということが非常に重要で。売れ筋とまでいかなくとも、近代小売である程度やっぱり目立った存在にならないと、なかなか伝統小売で取り扱ってもらうというハードルがまず1つあるし、仮に取り扱ってくれたとしても、消費者がそこに手が伸びないという、この2つのハードルがやっぱりクリアできないんですよね。
結構、インドネシアもベトナムもフィリピンも、伝統小売は今、インドネシアで446万店、フィリピンで80万店、ベトナムで66万店ありますけども、そのオーナーさんに「取り扱ってよ」というお願いをすると、「お願いします、いいから」と、多少の営業トークを入れてお願いをすると、実は近代小売で売れ筋でなくても6割がた7割がたは取り扱ってくれるんですよ。いわゆる「お願いします」で、「分かったわ。じゃあ、ちょっと置いてみるわね」みたいな話にはなると。なので、非常に戦略的である必要は、近代小売みたいに戦略的である必要はまったくなくて、お涙頂戴でとにかく置いてもらうことはできると。2回訪問をするとほぼ8割9割はたぶん置いてもらえて、過去にこれ置いたんだけど売れなったとかっていう特別な理由がない限りね、8割じゃないな、9割はね、置いてくれますよ。3回訪問したらほぼ100%置いてもらえるという、それぐらい、いわゆる営業、セールスみたいな力が効く分野なんですよね、伝統小売は。なんだけども、結局置いても、近代小売で売れ筋になっていないと消費者の手が伸びない。結局、消費者がそれを選ばなければ、在庫としてそれがずっと売れないで売れ残っていくわけで、そうすると伝統小売のおじちゃんおばちゃんたちは、これ売れないからもう二度と取り扱いたくないと。こうなってくると、敗者復活戦というか、また新たな再参入というのが非常に大変になると。これは過去にやったけど、何年も前のことを覚えていますから。過去にやったけど全然売れなかったから取り扱いたくないとかっていう話になってくると、なかなか厄介な話になると。
そういう意味では、やっぱり近代小売で売れていくということはすごく重要で、ベトナムでもインドネシアでもフィリピンでも、それは非常に重要になってくると。例えば、インドネシアだったら、トランスマート、ハイパーマート、この辺りではやっぱり売れていかないといけないし、ロッテマートもそうですよね。今、ジャイアントがなくなっちゃったので。あと、コンビニで言ったらインドマレット、アルファマート。インドマレット、アルファマートもなかなか小売の交渉力が強いのでね、誰でもかれでも置けるという話ではないですけども、でも、まあまあ、それなりにやっぱり目立つ存在でないとならない。ベトナムであればウィンマート、コープマート、この辺りはやっぱりしっかり置かれていかないといけないし、イオンだけだとどうしても顧客層がかたまってしまうので駄目ですよと。コンビニ系もウィンマート、プラス、サークルK、この辺にはやっぱり置かれていかないとなかなか厳しいのかなというのが実態ですよね。フィリピンはもちろんSM、シューマート、ピュアゴールド、ロビンソンズ、この辺は、やっぱりルスタンズもそうですし、しっかりと押さえていかないといけないというのが現状かなと。これが1つ目です。
2つ目の話、時間がもうないので次回にしていきたいと思います。それでは皆さん、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。