森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も前回に引き続き、「伝統小売で売るために重要なこと」についてお話をしたいと思います。
前回、伝統小売で売るためには伝統小売に合致した販売チャネルの構築が非常に重要ですよというお話をしていて、この販売チャネルをどうやって合致させるかという話をまたしますけども、前回今回は前提条件、そもそも良い販売チャネルをつくったって、この前提条件を満たしてなかったら、伝統小売に届いたとしても結局売れないですよという話をしていて、その1個目を前回話したのかな。
まず1つが、近代小売で売れ筋になってくださいと。近代小売で売れなければ、伝統小売に無理やり置くことは物理的には可能です。伝統小売のお父ちゃんお母ちゃんに「頼む。置いてくれ」と言ったら8割がた置いてくれるので、2回3回訪問したら100%置いてくれるので、置いてくれることは置いてくれる。ただ、近代小売で売れ筋になっていないものを、消費者は伝統小売で買ったりしないので、チャレンジをしませんので、基本的にはやっぱり近代小売である程度売れ筋にならないといけない。売れ筋とまで言わなくとも目立った存在、見たことあるぐらいの存在にはやっぱりならないといけなくて、認知をしてないものを買うというのはなかなか難しいので、そこまではまず持っていきましょう、というのが前回お話しした1つ目。
もう1つ重要なことは、伝統小売で売りやすい入数とか、グラム数とか、パッケージ、梱包形態に変えるということはすごく重要で。伝統小売の最大のメリットというか、消費者にとっての利点って何かと言ったら、今欲しい分だけを今買えるということが最大の魅力なわけですよね。言ったら、近代小売に行ったら10個入りになっちゃう。でも、10個じゃないんです、1個欲しいんですと。例えば極端な話ね。飴も袋で買うんじゃなくて、1個今舐めたい。この今舐める飴が欲しいんだと。頭痛薬だってそうですよね。24錠要らないんです。今使う1錠が欲しいと、そういう世界なわけですから。その1錠が仮に1割2割高くても、そっちのほうがいいわけですよね。10個買うよりも、1個買えるというキャッシュフローが消費者にとっては重要であって。例えば月にまだお給料日が2回あったりする国だってあるわけですから、そうするとやっぱり、いかに個人のキャッシュフローを痛めないかということはすごく重要なので、今欲しい分だけが買えると。この入数とかになっていますかということはすごく重要。
ここを考えていくと、やっぱり価格のことを考えていかないといけなくて。例えば、チュッパチャップスなんていうのは、今20円ぐらい、今15円ぐらいになっているんですけど、ベトナムとかでね。ベトナムとかもともとはね、日本円で、為替にもよるんですけど5円とかね、そういう世界だったんですよね。じゃあ、どうやってそれを実現しているのかと言うと、刺してある棒が、日本だとチュッパチャップスの棒って非常に硬くてなかなか折れないですけど、すぐふにゃっと折れてしまうような、ちょっと安っぽい棒になってたりとか、あと、そもそも飴のサイズが小さくなっているというね、こういう努力をしているわけですよね。スニッカーズとかも、チョコレート系は伝統小売は溶けますから、コンパウンドとかのね、いわゆる溶けないチョコレートになっていて、これはチョコじゃないじゃん、そもそもという話になってくるんですけど、原材料を突き詰めていくと。でも、そういうものに変わっていたりとか。そういう世界があるので、そういうふうに変えていかないといけないと。
もう1つ、これと真逆のこともあって。伝統小売によっては、交通量が多い、今欲しい分だけを買うみたいな伝統小売もあれば、住宅街の中で今欲しいものだけを買うというのもあるんですけど。実は比較的に富裕層が住んでいるようなエリアにも伝統小売というのはたくさんあって、決して庶民以下、貧困層の人たちが買う売り場ではなくて、われわれにとってのコンビニなので富裕層のエリアにもあるんですね、伝統小売って。もちろんドアはないし、エアコンもかかってないし、POSレジもない。ただ、やっぱり店の面積がちょっと大きくて、下手したらちょっとグローサリーぐらいの話になっていくわけなんですけども、わざわざスーパーに車に乗っていく、タクシーに乗っていく、バイクに乗っていくよりも、家から出て歩いてすぐのところにある伝統小売を使うというケースって全然あって。そういうところは、実は茶菓子として大容量のものが売れていたりするんですよね。いわゆるね、どこだったかな、ヨーロッパのクッキーとかが売れていたりするんですよ。ロッテのチョコパイとかも、基本ロッテのチョコパイは伝統小売で売るのは1個売りが必須、1個入りのサイズ小さめが必須だと一見思いきや、実は、何個入っているのかな、6個入っているのか、8個入っているのか分かりませんけど、大きいパッケージもそういう来客のときの茶菓子として出される。日本だとね、家にお客様が来たときに出す茶菓子というと、やっぱりとらやの羊羹とか、銀座三越の地下に行って買ってくる和菓子とか洋菓子みたいな話になるんですけど。新興国の場合、そういうものもないし、日本のお菓子がかつて昭和の時代にたぶん日本もそうだったと思うんですけども、ヨーロッパから入ってきた、かんかんに入った、おばあちゃんちに、僕、記憶をたどるとね、あったような気がするんですけど、こんな丸い大きな缶の中にクッキーの詰め合わせみたいのが入ってて、そういうものがお客さんが来たときに出されると。僕がつまみ食いすると怒られたたみいな、そんな記憶があるので。まさにそういうものが今、TTで出されている、売れている。それの単価が300~400円ぐらいするんですよね。「えっ、300~400円のものが伝統小売で売れるの?TTで売れるの?」と、言ったら普通は売れないですから。なんですけども、そういう需要に対する商品の投入ということも1つ重要な要素として考えていかないといけないので。
TTは、まずグレードを整理すると。TTもピンからキリ、うちの会社だけでも4グレードぐらいに整理していますから、交通量の多いところにある、比較的地域一番店のTTとか、住宅街とか、一番下は本当に路上の無許可的なTTまで、そういうところをまずあんまりターゲットにすることはないと思うので、上のTTを狙っていくんでしょうけども。地域一番店のTTから狙っていくわけなんですけど、特に地域一番店にはそういうものがやっぱり置かれているので、グレードを分けていく。地域によってどういうグレードが多いかとかっていうのもやっぱり違ってくるので、そうやってしっかり分けていくということが重要になってきますというお話でした。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。