森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は少し真面目な話をしようかなと思っています。前回とか前々回とか「何の話だ?」という話をしてしまったので、今日はちょっと真面目な話をしようかなというふうに思うのですが…。
最近だいぶね、中堅中小企業向けのアジア新興国展開についてお話をしていなかったので、そのことについてお話をしていこうかなというふうに思います。中小企業と言っても、いろんな定義があるので、どこからどこまでを中小企業というふうに切るかということは非常に重要なポイントで、国や行政が定めている中小企業と、実際に世間で言われている中小企業の定義って、実は大きく違っていたりとか。海外事業の場合、基本的に大企業のほうが海外事業は一般的には進出しやすいという、進出という意味では、輸出とかではなくても進出という意味では一般的にはそうですと。なぜならば、経営資源が多いから、人・モノ・カネ・情報の経営資源が圧倒的に大企業のほうが中小企業に比べて多いので大企業のほうがやりやすいですよというのが大前提としてあります。
ただ、戦い方によっては中小企業でも、もしくは中小企業のほうが大きな成果を上げられるというケースはあって。なぜならば、大企業が求めている売上とか利益とかシェアと中堅中小企業が求めている売上利益シェアというのは全然違うんですよね。だから、大企業と同じ戦い方をする必要性はまったくないし、中小企業には中小企業の戦い方があるし。その上で、例えば大企業は100億やらなきゃいけないのを、中小企業は数億、まずは数億やって、最終的には数十億までいけたらいいんだという場合、これってまったく戦い方が変わってくるので。そういう意味では中小企業のほうがやりやすい国であったり地域もしくは商品カテゴリーなんていうのもあるので。ちょっと話が逸れましたけど、ただ、一般的には大企業のほうが経営資源が多いのでやりやすいですよと。
その中で中小企業を定義するときに、まずね、これはレアケースもありますけど、一般的に海外展開をする場合に、ここの番組で主たる市場というのはアジアを中心とした新興国市場なので、新興国でもインドとかアフリカ、なくはないけども、やっぱりハードルが高いですよね、中小企業にとっては。そうすると、中小企業にとってのいわゆる海外展開というと、カテゴリーにもよりますけど、まず欧米があると、その中で新興国というくくり、それで言うと、中国はもう新興国じゃないですけども、中国とかASEANを中心としたエリアがやっぱり一般的には出やすいのかなというふうには思います。これは、いわゆる日本に対する親和性もそうだし、距離的な問題もそうですし、ある程度の前提が整っている状態である。アフリカまで行ってしまうと、まったく前提が整っていないところで挑戦をするということになるので、なくはないけどだいぶハードルは上がるというのが1つありますよね。
中小企業を定義する場合に、ごめんなさい、中小企業の定義からだいぶ話が逸れてしまいましたけど。うちの会社の定義は、やっぱり海外に出ていい中小企業と出てはいけない中小企業というのがあって。日本国内で利益が十分取れていないのに海外に出るというのは、これはまずもって本末転倒であり得ないことなので、日本で駄目な企業は海外でも駄目ですということは厳しい口調で言っておいたほうがいいのかなと。日本が駄目だから海外というのは、なかなかこれは難しい。まず、日本のほうが圧倒的にやりやすさのハードルというのは低いのだから、その日本で成功できない企業が海外に出て成功できるかというと、これは無理だよねと。なので、利益が出ていない企業は海外に行くべきでないというのが僕がこの20年間ずっと言い続けていることなので、まず利益が出ているということが絶対前提になりますよと。
売上が、利益が出ているということは大前提で、売上が数十億から数百億、これを僕は中小企業というふうに、うちの会社では中小企業というふうに定義をしていて、売上が数百億円から1,000億円程度…。1,000億円弱ぐらいですね、これを中堅企業…。1,000億円前後だね、1,000億円、1,200億円とかも中堅企業と。海外に行くと何千億円とか1兆円とかという企業がやっぱり大企業として行っていますから、中堅というふうなカテゴリーに定義をしたほうがいいですよね。やっぱり1,000億、1,000数百億円の会社と1兆円の会社の海外事業部のレベルって全然違うので、調査をするにしろ、戦略を組み立てるにしろ、今までさんざん見てきましたけども、全然レベルが違うし、求めているものも違うので、数千億円ぐらいになったら大企業というふうに定義分けをしたほうがいいと思います。これは必ずしも国内の大企業、中堅中小企業の定義にあてはまらないので、こういう定義分けをしっかりしていくということはまず必要で。
よくね、中小企業と言いながら、零細企業と中小企業の区別がなかなかついていないケースというのもあるんですけど。零細企業を海外に展開させようとしたりする支援機関とか金融機関とか、そういうところが結構見受けられるんですけど、零細企業はやっぱりちょっと経営資源的に圧倒的に足りていないので、やっぱり国内が先ではないですかねと。売上数億円の会社が海外に行くというのはなかなかちょっと難しいと思うので、そこは少し国内に集中をするということは重要だなと。
何か言っていたら、定義の話で終わってしまいましたけど、こういうふうに定義を分けて、出ていい企業と出てはいけない企業がまず中小企業にはありますよと。出て勝ちやすい場所と勝ちにくい場所というのもあるし、それから出方というのもそうなんですよね、進出をするということは駄目だけども輸出でやれば勝ちやすいとか。だから、大企業と中小企業というのは本当に戦い方、それから求めるものも全然違いますよね。どれぐらいの利益を求めたいのか、売上を求めたいのかで求めるものも違うので、まったくみんなが同じ方向を向いて同じ戦い方をするなんていう必要性はまったくなくて。けど、厳しいことを中小企業に言いましたけども、中小企業のほうがやりやすいケースというのも多々あるので、これはもうやり方次第だと思うので、その辺の話をまた次回ちょっと続きでやっていきたいなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。