森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。前回、進出する国というか、展開する国、出ていく国で、アジアを中心に、成功確率って全然違いますよというお話をしました。自分たちの競争力、経営資源、これに対してどれだけ難易度の高い国・低い国に出るべきなんだという、ここのパズル合わせで成功確率って大きく変わってきますよと。自分たちの競争力が低いのに、難しい市場に出たって、それは成功しないですよと。やっぱり競争力が低い間は容易に出れる、簡単と言われているような国に出る必要がありますよねという、そんなお話をして。
今日は、じゃあ、実際に具体的にどの地域を狙うべきなの?と。国とか地域名を出しながら、どこが成功しやすくて、どこが失敗しやすいの?というお話をちょっとしていきたいなというふうに思うんですが。
まずね、B2Bの製造業に関しては、これはもう産業集積地なので、正直どこに自分たちの、部品をつくっている製造業とかね、どこに自分たちの産業が集積されているのと。国が進化していなくたって、生産拠点になっていて、産業がそこに集積していたら、そこがやっぱり自分たちのマーケットだし、B2Bの製造業の場合、多くは部品のメーカーの場合は、都市部じゃなくて、地方部の産業集積している工業区になるので、そこを選んでいくということがすごく重要で。マクロ経済指数に左右されないで、自分たちの産業集積がどこなんだということをB2Bは考えるというのが、まず基本ですよね。
B2Bも2種類あって、いわゆる部品メーカーさんみたいな、あくまで産業が集積しているところじゃないと、自分たちは商売ないんだよと。完成品をつくっているわけじゃなくて、部品をつくってますから、その部品が使われる産業が集積していなかったら、自分たちのマーケットってないわけですよね。ただ、B2Bでも、例えばオフィスを相手にして、事業者を相手にして、オフィスに何かを売りにいっているとか、企業のオフィスビルの中の設備を売っているとか、そういうことであれば、やっぱり都市部になったりするので。なおかつ、例えば、分からないですけど、ビルの下の発電機とか空調とかっていうと、やっぱりビルがたくさん建っている国のほうが需要は大きいし、そうすると必然的に発展をしっかりしている国のほうがいいわけですよね。ASEAN6で言ったらVIPよりSMTみたいな話になるし、それからビルの数が多いほうがいい。でも、将来にわたってはSMTよりVIPだと。SMTというのはシンガポール、マレーシア、タイ。VIPというのはベトナム、インドネシア、フィリピンですけど。そうなるわけですよね。
B2Cで言うと、これはね、やっぱり伝統小売の度合いなんですよね。伝統小売の比率が高いところ、まだ8割とか7割あるような市場って、やっぱり難易度が高くて、日本の大手の消費財メーカーでも、何にASEANは苦労しているかと言ったら、伝統小売の攻略に苦労しているんですよね。伝統小売の攻略が大変なので、基本的には小売が近代化しているところ、これが容易なところで、なおかつ国が小さいところ。だから、僕なんかが消費財メーカーにとって難易度が低い国というのは、グループAからDまで分けていて、4段階に分けていてえ、香港、台湾、シンガポール、韓国、まずこれが圧倒的に優先度が高いですよね。
もう1つあるのが、成分、日本の食品とか肌につけるようなものになると、成分を変更しないと売れないみたいなのがあって、ほとんどのASEANの国ってアメリカのFDAの方針に準拠していたりするので、基本的には成分変更に半年とか、いろいろ許認可を取るのに半年とかかかるわけですよね。そういうことをある程度無視できるというのも、今言ったグループAの利点なんですけど、香港、台湾、シンガポール、韓国なんかは比較的早くそれが進みますよと。
次がやっぱりグループB。放射能のどうのこうのというのをちょっと一旦除外すると、やっぱり中国の主要都市、1級都市とかって言われるところ、やっぱり昔に比べて購買力が圧倒的に上がっているので、ここは1つありますね。ただ、中国はほかのASEANやほかの国と違って、もうeコマースの市場、巨大なeコマースの市場、それから最近ではもうO2Oとか、そういう新しい概念のマーケットが生まれてきていて、オフラインなのか、オンラインなのかもあんまり消費者というのは、買うときに、「オフラインで買おう」「オンラインで買おう」とかってあんまり区別していなくて。今欲しいものはオフで、目の前にあるものを買うし、別にいつでもいいとか、重いものは配達してもらうからオンラインで買うみたいな、O2Oから今OMOとかっていうふうに言われていますけども、そんなマーケット、特殊なマーケットであるということも同時に考えないといけないんですけど。中国はグループBですよと。
グループCに関しては、まずハラルを考えるという必要があるのが、マレーシアとインドネシアであるということは1つ頭に入れないといけない。それを入れた上で、まずMT…。シンガポールはグループAに入れたので、SMT、シンガポール、マレーシア、タイの、MTのマレーシア、タイと。それから、その次にVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンが来て、CLM、カンボジア、ラオス、ミャンマーなんていうのはやっぱりVIPが成功していなくて、CLMへ行くとかないですよね、まずね。タイとかができてないのにVIPへ行くというのも、これもちょっと順番が違うので、グループCはだいたい3段階で分けています。
さらに難易度が高いのがグループDで、インド、ニューデリー、ムンバイ、コルカタなどの大都市というふうに分けています。インドもね、20年ぐらい前のニューデリーのあのカオス状態、カオスというか、とんでもない状態で僕もだいぶひるみましたけど、そういう状態がやっぱりだいぶ大都市は消えて洗練されているので、20年前のインドの主要都市と今ってまったく違うので。水を回し飲みしていたんだよね、売店で。すごいなと思ったんですけど、1ルピー払っていたのかな。いわゆる水のボトル1本買えないわけですよ。ボトル1本買えないので、通行人がお金を払って、水を口を付けないで飲むと、上を向いて一口飲むと。また次の人が一口飲むという、ペットボトルのばら売りみたいなね。びっくりしますよね。1本のペットボトルを、1リッターのペットボトルを何人もで共有して、喉が渇いた人が飲むわけですよね。それが首都、都市部でもそれは見られたので、伝統小売で、「すごいな」と思った記憶が、20年ぐらい前ですけど、ありますけど。だいぶそれは改善されましたけど。それでも、やっぱりASEANよりも難易度は高いということで、そんな順番になるんじゃないかなと。
これにマクロ経済数値をガーッとかけるという、可処分所得がどう、1世帯の収入がどうだと、それから、1人あたりGDPはどうだと、全部のいわゆる市場、マクロ市場に関する数値と、あと、外資規制の軸で。これぐらいと、あと人口ですよね、数。これぐらいかけていくと、だいたい難易度の高いところは人口が爆発的に大きいんだけども、1人あたりで見ると、やっぱりまだまだお金を出すのが大変で、結果、伝統小売がやっぱり非常に大きくて、なかなか難しいと、そういう市場になっているはずです。なので、そんな順番で考えてみていただけたらなというふうに思います。
では今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。