森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日はというか、今日からしばらくの間、先日、とあるクローズドのセミナーで消費財メーカーさん向けにお話をした、「強固な販売チャネルを構築するために必要な3つのこと」ということでセミナーをやったんですよね。クローズドのセミナーで、とある企業が主催をしていて、そこに大手の消費財メーカーさんの海外担当役員、執行役員さんですかね、以下、実際に現場でオペレーション、指揮を取るような立場の人たちが参加をして。彼らはもうすでに出ていますから、ASEAN含めて、大手の消費財メーカーというのはすでに出ていて。ただ、より高いシェアを上げようとか、より大きな売上・利益を出そうと考えたときに、自分たちの販売チャネルをもっと最適化していかないといけないよねということで、これは今のトレンドになっているんだと思うんですけども、「どうやって根本的に販売チャネルを変えていくんですか」みたいなところの話で。「じゃあ、強固な販売チャネルをつくる上で重要なことって何なの?」と、「森辺が考える強固な販売チャネルの構築には3つの大変重要なことがありますよ」ということでお話をさせてもらって。その内容が好評だったので、1回のあれでは語りきれないと思うので、何回かに分けて、1回のエピソードだとたぶん難しいので、何回かに分けてお話をしていこうかなというのが、これからお話をすることです。
強固な販売チャネル、想定はASEAN、特にVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンのような伝統小売比率の高い国、だから、インドとかも別に適用できるし、南米とかアフリカ、こういったところでも別に十分適用できる話だと思います。基本的にB2Cの食品・飲料・菓子・日用品等のFMCG的な消費財のメーカーさん向けのお話なんですけど、B2Bも概念はもう一緒なんですよね。小売があるかないかだけなので。もちろんディストリビューターの特性とか、そういった細かなことはそれぞれ違いますけども、インダストリーによってね。ただ、基本的な考え方は一緒なので、B2Bの製造業にとっても十分役に立つ話じゃないかなというふうに思います。
前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、「強固な販売チャネル構築に必要な3つのこと」ということで、結論から先に申し上げると、必要な3つのこと、重要な3つのことというのは「ディストリビューターの発掘選定と契約交渉と管理育成」、この3つなんですよね。この3つがしっかりとできていれば、強固な販売チャネルというのはつくれるというか、強固な販売チャネルにつくられていく、成長していくことは可能なので、この3つをどれだけしっかりとやるかということが大変重要になると。
最初のお話としては、3つぐらいにこの話を分けてお話をしたいなと思うんですけど、「発掘選定」「契約交渉」「管理育成」。最初の「発掘選定」に関しては、成功の5割を握るのはもうこのディストリビューターの選定なんですよね。この選定をいかにしっかりやるかということで成功確率の5割が決まるということで、ちょっとそんなお話をしていきたいなというふうに思うんですが。
まずね、その前に、「販売チャネルの構築において最も重要なことって何だと思いますか?」という問いなんですけど、皆さん、何だと思いますでしょうか? 販売チャネル構築において一番重要なことって、「誰に」売るかということを確定させることなんですよね。ディストリビューターの選定が非常に重要で、成功確率の5割を決めるというふうに話しましたが、もっと前段のお話で、強固な販売チャネルをつくるために重要なことというのは、「誰に」売るんですかということを決める。「誰に」売るんですかということが決まらないのに、「誰と」売るのかというところにばっかり神経がいっている企業って非常に多くて、とにかく大きいところとか、とにかく財閥系とか、とにかく実績があるとか。それで、「誰に」売るかというところは何となくぼんやりしていて、自分たちの商品は良いものだから、結構プレミアムな人たちに売りたいみたいな、ぼんやりしていると。
そうじゃなくて、「誰に」売るのかということが絶対的に重要で、シェアの高い企業というのは1社の例外もなく「誰に」売るかということが非常に明確。B2Cの場合、「誰に」売るかって消費者ですよね。新興国の場合はもう中間層以外にあり得ないんですよね。中間層、莫大に、爆発的に拡大する中間層が新興国のB2Cにとっては最大の魅力であって、それ以外というのは別にメインストリームは獲れないですから、中間層を獲らないと。消費者がもちろん重要なので、その消費者の中でもどういう属性で、どこに住んでいて、どんなライフスタイルの人たちを狙うんですかということがもちろん一番重要なんですよ。ただ、そこまで掘り下げていくと、例えばFMCGの中でそれを掘り下げていっても、結構新興国だと亡霊を追いかけていくような作業になってしまう。なぜならば、消費者がまだ何が欲しいかを自分たちではっきり明確に認識していなかったりするケースが非常に多いわけ。先進国だってそうですよね。潜在意識の中に消費者のニーズというのは隠れているから、インサイトを見ようという話をするわけで。なので、そのちょっと手前の小売、少なからずどの小売で売りたいんですかと、フィリピンだったらピュアゴールドに売りたいんですと、SMに売りたいんですと、ロビンソンズに絶対売りたいんですと。だったら、その3社の小売のそれなりのレーン、メインとなるそれなりのレーンにそれなりのSKUを並べることができるディストリビューターを選ぶべきなので、大きいとか何だとかってあんまり関係なくて、そこを選ばないといけない。できるだけじゃ駄目で、もっと言うとですね。そのディストリビューター、大きければきっとできますよ。ただ、大きいということは、これから新たにお願いをする自分たちよりももっと重要なプリンシパル、いわゆるメーカー、ブランドを取り扱っているわけですよ。30%がネスレですとか、20%はマースをやっていますみたいな、そして、もう1つの20%でフェレルをやっていますみたいな。そんな話になったら、自分たちのチョコレート売ってもらえないよね。そうすると、必ずしも大きいところではなくて、ある程度コントローラブルな小さいところを選んでいくというのも1つの手なので。こうやって「誰と」売るかということを決めていくわけなんですよね。だから、「誰と」売るかということよりも、絶対的に「誰に」売るかということをまず確定させないと、この強固な販売チャネルというのは絶対につくれないので。このディストリビューター選びで成功確率の5割が決まりますよと言っているんだから、本当に重要な話なわけなんですよね。
だいぶ話が長くなっちゃったので、今日はこれぐらいにしたいと思いますけども、また次回この続きをお話したいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。