森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も前回に引き続き、最後の第3章の「契約締結後のアクションで伸び代が変わりますよ」というお話をしていきたいと思います。前回、契約締結後がゴールではなくて、締結後がスタートになるので、いかに契約締結後にディストリビューターの管理育成をしていかないと駄目なんですよというお話をしました。その続きです。
実際に何を管理するのかと言ったら、もう管理するのは非常にシンプルで、決めたKPIを管理するということだけなんですよね。消費財の場合、基本的には新規で新興国市場に商品投入するときって、どれだけストアカバレッジを適切に伸ばせるかということと、入れた店でどれだけ1店舗あたりセールスパーストアが上がっていっているかという、この2軸だけを徹底的に見ていく。どちらかと言うと、ディストリビューターは横軸のストアカバレッジを上げていくということが担当で。一方で縦軸の1店舗あたりの売上をどう上げていくかというのは、プロモーション要素が非常に多いので、BTL、部分的にディストリビューターに任せることはあったとしても、基本的にはメーカーの範疇であると。この2つのバランスをしっかり保っていかないといけないわけなんですけど、ここをしっかり見ながら、プロモーション投資をどうしていくのかということを考えないといけないですよね。
ディストリビューターと決めたこのストアカバレッジ、特に伝統小売のストアカバレッジがどう伸びているのかというところを見ていくわけですけども、年間に初年度1万間口獲りましょうということが仮に例えば設定されているんだとすると、何万間口ないと、最終的に何十万間口ないとシェア20%獲れませんねと。1店舗あたりの平均は週販これぐらいですよと。なので、それを5年間で達成しようとすると、初年度、次年度、3年度とこういうふうに伝統小売のストアカバレッジを上げていかないといけないですねと。初年度に関しては主要近代小売、この5社を完全に攻略しましょうみたいな、こういう計画があるわけですよね。そうすると、まず主要な近代小売のターゲットしているレーンの棚にターゲットとしているSKUをしっかり置けているのか、置けていないのかということがまず1つのディストリビューターとのKPIの確認で。置けているのだとしたら、その売上進捗がどうなのか、なぜ進捗が悪いのか、じゃあ、BTLを店舗で実施しよう、何々しようというプロモーション要素のことをメーカーとしては考えていかなければいけない。一方で、ディストリビューターの管理育成に関しては、しっかり置けているか、置けていないかというのが1つの管理の項目ですよね。
もう1つが、伝統小売はどうなっていますかと。ストアカバレッジ、どれぐらいまで進捗伸びていますかと。いやいや、進捗が遅れていますと。そうすると、なぜ遅れているのか、人がいないのか、人がいけていないのか、それともパパママのオーナーさんに置くのを断られているのか、もし断られているんだとしたら、何が原因で断られているのか、そこの要因を理解をして、そこに対策を打っていくということをやっていかないといけない。これがまさに管理育成で。
ディストリビューターにあまり複雑なExcelを埋めろとか、複雑なことをやれと、新興国の、言っても、これはうるさがられるというか、嫌われるだけで、基本的にはストアカバレッジを上げましょうねと、年にこれぐらい上げたいですと言ったときに、1年経ってから結果指標を見るのではなくて、その進捗を管理しないといけないんですよね。1年経ってドキドキしてできていなかったら1年まったく無駄ということになるので、いかに、最低でもマンスリー、僕は2週ぐらいではやっぱり見ていかないと、なかなかあれなので。デイリーで追いかけるとなかなかちょっとあれですけど、外資の先進的な企業とかはデイリーで追いかけたりしていますけど、ウイークリーもしくは隔週ぐらいでしっかりやっぱり決めたストアカバレッジが到達しているのかということはしっかり追いかけていくということをやっていかないといけないし。
そのストアカバレッジがある程度一定のところに伸びたときに、メーカーとしてどうやってBTLとATLを展開するんですかということはしっかり考えておかないといけない。プロモーション予算もしっかり確保して、ありきで考えていかないと、基本的に日本の市場のように知名度があるものを売るのではなくて知名度のないもの、しかも大概の場合、価格が少し高ぶれしているものを売ることになるので、プロモーションなくして選ばれる確率というのは下がってしまうわけなので、そこをしっかりやっていくということと。
あと、管理をするということは、やっぱりコミュニケーションの量をめちゃめちゃ増やさないといけなくて、レイヤー別にコミュニケーションってしっかり取る必要があって、現場ばかりコミュニケーションを取っていればそれでいいかと言うとそんなこともなくて、日本よりも転職率は圧倒的に高いわけなので、現場のキーアカウンドマネジャーとかジェネラルマネジャークラスだけとコミュニケーションを取っていてもやっぱり駄目で、オーナー社長レイヤーもしっかりとコミュニケーションを取らなければいけなくて、こちら側もやっぱりそれなりの然るべき立場の人がオーナー社長とコミュニケーション取って、プロジェクトの責任者なんかがディストリビューターのジェネラルマネジャーとコンタクトを取って、スタッフがキーアカウンドマネジャーとコミュニケーションを取るみたいことをしっかりやっていかないと。結局、自分たちよりも大切なプリンシパル、メーカーの商品を取り扱っているんですよ、すでに多くのディストリビューターは。そこに食い込んでいかないといけないと。それと同じぐらいの熱量でやってもらわないといけない、取り扱ってもらわないといけない。そしたら、結局金額で比べたら圧倒的に向こうのほうが重要なわけで、それをそうじゃない次元で動いてもらうには、やっぱりコミュニケーションを取って、「ああ、もうあいつが言うからしょうがないな」と思ってもらわないと、なかなかそういう不利な状態から取り扱いを増やしてもらうということはできないので、やっぱりコミュニケーションをしっかり取るということと。
あと、相手を管理育成するなんていうことをしようとすると、基本的にはめちゃめちゃシンプルにするということと、管理されていることを感じさせないように数値報告がなされるみたいな、営業へ行って訪問から帰ってきて営業マンが何かExcelに打ち込んで送らなければいけないとか、そういうことは一切やめさせるということがすごく重要で。自動で行ったらこことここの写真だけ撮ってきてくださいというと、その撮った写真で自分たちの目標が達成されているのか、達成されていないのか、自動で集計できるみたいなことをしっかりシステムを組んでやっていかないと、手間をかけさせないということがすごく重要で。
外資の飲料メーカーなんて、レストランに行って、カメラで店内をグーッとパノラマ撮影すると、どういう缶の色とか瓶の色でどこのメーカーのものがどれぐらい飲まれていて、自分たちのものがどれぐらい飲まれているのかというのを、デモバージョンですけど、もうすでに投入していたりもするんですよね、そういう仕組みを、スマホでビューっとやって。なので、営業マンは行って写真を撮ってくるというだけなので、人の感覚値に委ねないというね。「なんとなくバドワイザーが売れていた気がします」みたいな。「でも、よく数えてみたら、いや、バドワイザーは確かに売れているんだけど、ハイネケンのほうが売れているよね」みたいなことって往々にしてあるので、そこを全部ファクトで吸い上げていくというようなことを仕組みでやったりしているので。まあまあ、ちょっと話が逸れましたけど。そんなことをしっかりやっていくということが重要ですよというお話でございました。
今日でね、この「強固な販売チャネル構築に必要な3つのこと」は終わりにしたいと思います。また次回ちょっと何を話すか分かりませんけど、お会いいたしましょう。どうもありがとうございました。