森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。前回に引き続き、伝統小売について、「伝統小売は本当に無くなるの?どうなの?」ということについてお話をしていきたいなと。
最近ね、話が長い上に活舌が悪いなと、これも3年間コロナでなかなか講演とかセミナーの機会も無くきたからなのかなと思いながらいる今日この頃ですけど。すみません、しっかりと話していきたいと思います。
前回どんな話をしたっけな…。「伝統小売が無くならないんじゃないの?」というのが僕の結論で、今こうしてね、コロナが終わってアフターコロナの伝統小売を見てみると、まず伝統小売は保護されたよねと、国によって保護されましたというのが1つで。たぶんこれからも伝統小売の保護政策って、出てくる国にとっては伝統小売は無くなって近代小売のきれいなのになればいいというのは間違いです。国は伝統小売を守りますということをまず皆さんは理解しないといけなくて。なぜ守るのかというと、そこには有権者がいるわけですよね。それだけ票があって、仕事があって、労働があるわけで、そこに、じゃあ、海外の小売業態がバンバン入ってきて、伝統小売を駆逐して、大型店舗でコンビニエンスで多店舗展開ドーン、はいって、それを良しとはしませんよね。そうすると、伝統小売は守られ続けるし。
かつての日本のね、駄菓子屋が淘汰された、コンビニになってしまった、スーパーになってしまったという時代と今は全然違うわけですよ。「いや、伝統小売は駄菓子屋ですよ。だから、駄菓子屋が淘汰されたように、伝統小売も淘汰される」というのが今までの仮説なんだけども、今はデジタルの時代だし、インターネットが存在していて、すでにアフリカでも決済がオンラインで行われている。注文もオンラインでできる。店の店主が注文をオンラインでやって、顧客もオンラインでQRコードで買えるという世界が、中国では完全にそうなっていますよね。伝統小売がデジタル武装したら、これはどうなのかと言うと、駄菓子屋ではなくなるんですよね。「むしろコンビニよりも便利じゃん。店舗小さいし」みたいな。そして、百メーター、数百メーターおきではなくて、数十メーターおきにあると、「めちゃめちゃ便利じゃない」という話になってくると。
そうすると、まず政府に守られている。デジタル武装が、デジタル化が進む。あともう1つが、すでにもうあり過ぎるということなんですよね。ベトナムで60万店、フィリピンで80万店、インドネシアで447万店、これはアフリカとかインドはもう計測不可能、1,000万店とかそういうレベルですよね。インドネシアの447万店、確かに減っていますよ、伝統小売は減っています。フィリピンは増えているんですよね。フィリピンは増えている。これはね、政府が手厚い支援をしているので増えている。インドネシアは減っているんだけども、447万店あったら、これは3倍、ここ近年の減少数値の3倍の数値で減っていったとしても90年以上かかる。96年とかかかるんですよ。僕、計算したんですけど。96年かかったら、96年の間のいわゆるデジタルの進化なんていうのは、今、僕らが想像し得ないぐらいの進化をするわけですよね、きっとね。そうなったときには、もう、伝統小売はめちゃめちゃ便利な存在になっているわけで。そうすると、やっぱり伝統小売って無くならないよねと。なんだとすると、やっぱり今、「小売が近代化するまで待ちましょう」みたいな議論を本当に10年ぐらい前まで平気で言ってた人がいましたからね。僕、でも、そんなのを待っていたら、市場に淘汰されてしまって、しかも永遠にそんな世界は来ないかもしれない。永遠に来ないかもしれない。それを永遠に待つんですかと。そしたら、アジアのメジャーが、たぶん日本の市場に参入してくるんですよね。そしたら、日本の消費財、「これがいい」と思っていたものがそうではなくなってくる世界だって、もしかしたらあるかもしれない。こっちが向こうに攻めていかなくても、向こうがこっちに攻めてくるということもあるかもしれない。
であれば、やっぱり今、伝統小売の攻略に経営資源をしっかり投下するということは、僕は正しい経営判断だと思うし、仮にASEANでね、それがそのノウハウがね、じゃあ、終わってしまうかと言うと、メコン経済圏だって残っているし、インドだって残っているし、南米だって、アフリカだって、まだまだ伝統小売はあるわけですよ。そういうものがどんどん、どんどん、デジタル化してくるので、伝統小売の攻略というのが今まで以上に楽になっていく。どんどん、どんどん、楽になっていくから、今、獲っておかないと、これはあとから、楽になってから「さあ」と言ったって、もう伝統小売のお馴染みの顔、商品セットって決まってしまうんですよね。決まってきたら、そこに入るのってなかなか難しいから、やっぱり今、入っていかないと、なかなか厳しいですよと。
インターネットで買うよりも、伝統小売のほうが便利だったりするわけですよ。インターネットってどんなに最短で当日配達と言ったって、伝統小売は目の前にあるんですから。人はネットで頼むシチュエーションと、目の前にあるものを、目の前ですぐ欲しいときってそこですぐ買うわけですから、いわゆるオンライン化するという比率というのは、ある一定留まりなんですよ、絶対に。だって、これはワープでも発明されない限りね、オンラインで今、決済パーンとやったものが、もう今パッと届くみたいなことが無い限り、今飲みたい水というのは、今、目の前のお店で買うわけですから。そうすると、オンラインとオフラインというのは共存していくわけですよね。そもそも顧客は、オンラインで買うかオフラインで買うかなんか意識していなくて、今欲しいものはオフラインで買うし、重たくてあとでいいものはオンラインで買うみたいな話で、それがまさにOMOみたいな考え方なわけですから。
だから、伝統小売はね、僕は、無くならない、むしろ新しい形に進化していく、こういう思いというか、仮説が非常に強まっているというのが今日この頃で。もともと僕は伝統小売は持続していくという肯定派で、伝統小売をやらなきゃ駄目だよという。ただ、これは数値で見ても減少している、3倍の数字で減少していったって90年存在すると。90年にデジタルとインターネットをかけたら、もっと便利なものになってしまうので、そうすると、「やっぱりこれはやらないと駄目だよね」というふうに思っております。皆さんはどうでしょうか。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。