森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日はね、ASEANの伝統小売の比率についての注意点のお話をしようかなというふうに思うんですけども…。
ASEANで伝統小売と言うと、SMTはね、どちらかと言うと近代小売もそれなりに大きいので、シンガポールは100%近代小売だし、ほぼ100%近代小売だし、タイ、マレーシアは5割以上近代化が進んでいて。やっぱり伝統小売の議論をするときというのはVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピン。人口もフィリピンが1億強、ベトナムが…。VIPだからベトナムからですね。ベトナムが1億弱、インドネシアが3億弱、フィリピンが1億強という中で、非常に伝統小売の比率が高いと、約8割が伝統小売というふうに考えてもらったらいいと思うんですけど。この比率に関してね、比率に関して注意点ということで。
何の比率をまず言っているのかということで、これは金額ベースの話をしていて、小売市場全体の売上、小売市場全体のいわゆる流通総額というふうに言ったらいいのかな、市場規模に対して、近代小売を通じて売り上がる金額と、伝統小売を通じて売り上がる金額の比率がどうなのかということを言っているわけなんですよね、この伝統小売と近代小売の比率というのは。店舗数の比率で言ったら、もうこんなの99.999%伝統小売みたいになってしまうわけですよ。だって、インドネシアで一番近代小売の数が大きいと言ったって、主要どころで3万6,800店。3万6,800店に対して伝統小売は447万店存在するんですから、そういう話になりますよね。なので、あくまで金額ベースですよと。
あと、トリッキーなのが、小売市場全体の売上って、いろんなものが入っているわけですよね。いわゆる食品、日用品だけではなくて、ありとあらゆるもの、小売で売られているもの、いや、分からない、服とかね、化粧品、自転車も売られていれば、もういろいろなものが売られているわけではないですか。そういうものが全部入っている比率と、あと、そうではない比率というのがあって、伝統小売と近代小売の議論をするので、あくまでデータを出しているところは、伝統小売で売られていないようなものをそこに議論で出してもね、なかなかとんちんかんな話になってしまうので、そういうことはないと思いますけど。けど、どのカテゴリーの売上のことを指しているのかによって全然違ったりするんですよ。えっ、近代小売の比率ものすごく高いじゃんというデータを出しているところもあれば、低いじゃんというところもあって。うちが公開しているのは、基本的にはこういうデータってユーロモニターのデータをベースに各社で推計していくんですけど、われわれは、このいわゆるB2Cの消費財で言うと、食品、それから日用品のカテゴリー、これらのメーカーが主たるクライアントになるので、この分野の比率を言っているわけですけども、それ以外のカテゴリーのものが加われば、当然その比率は変わってくるので、そこは注意しないといけないですよというのが1点。
伝統小売の店舗数もね、なかなかこのデータも10年に1回とか、そういうレベルの大きな調査なんですよね。だから、なかなか調査されないし、データがやっぱり非常に限られている。ユーロモニターのデータもある一定の条件の中で出しているデータだったりもするので非常に限られていて、ある程度エイヤーで決め打ちしないといけないというところがあって。われわれはベトナムは66万店、インドネシアは447万店、フィリピンは80万店、タイは45万店、マレーシアは20万店程度だろうなというふうに認識をしています。
一方で、近代小売に関しては、マレーシアが6,600店。主要な近代小売ね、主に食品、日用品を取り扱う主要な近代小売チェーンの店舗数の合計なので、近代小売と言ったっていろんな近代小売があるわけですから、またこの数もばらばらしてくるわけですけども。われわれの会社は食品、日用品メーカーが主たるクライアントなので、主に食品、日用品を取り扱う主要な近代小売チェーンの店舗数の合計を言っているわけですけど、マレーシアが6,600店、タイが1万7,300店、ベトナムが8,200店、フィリピンが9,400店、インドネシアが3万6,800店、シンガポールが1,000店舗というふうなデータを使っています。これは実際に数えていますからね、われわれが主要と認めているところは近代小売はこの数字で間違いないですよと。
一方で、伝統小売に関しては、これは一歩一歩数えるわけにはいきませんから、もちろんユーロモニターなどをベースとした主たるソースがあって、そこから人口密度であったりを掛けて推計していくわけなんですけど。そんなことになりますので、この比率と数と注意点ということで今日お話をしましたが、皆さんもぜひデータを見るときは気をつけてみてください。
今日は以上になります。また次回お会いいたしましょう。