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第475回 【本の解説】最適なディストリビューターの選び方

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は184ページ、「4-7 最適なディストリビューターの選び方」ということでお話をしていきたいと思います。ASEAN、アジア新興国市場、どの国をとっても、結論から申し上げると、ディストリビューターは椅子取り合戦になってしまっていて、ベストなディストリビューターというのは、すでにもうどこかに取られているというケースがやっぱり非常に多いです。日系企業の場合、本腰を入れたのがここ10年とかっていう企業が非常に多いと思うんですよね。もちろんね、30年前からやっていたんだけども、本腰を入れたのはここ10年ですよみたいな企業というのは非常に多くて。今のディストリビューターにも本当に100%満足していない中、どうやってディストリビューターを、じゃあ、再教育するのか、替えていくのか、いろいろしなきゃいけない。もちろん新規にディストリビューターを使うということもそうだし、もっといいディストリビューターをどうやって探せばいいんだろうみたいな。当然まったくの新規の国もあるので、新規のディストリビューターを探すというケース、いろんなケースがあると思うんですけど、この選択肢がやっぱり限られてしまう、現実的には選択肢が非常に限られるという、そういうお話を今日はちょっとしていきたいなというふうに思うんですが。

早速、スライドをお願いします。これはね、横軸が商品取扱いが近い、右に行けば行くほど商品の取り扱いが近くて、左に行けば行くほど商品の取り扱いが遠いというのは、これは何を言っているかと言うと、例えば自分たちが食品を売っていたら、食品を売っているディストリビューターは近いですよね、取り扱い商品。なんだけども、日用品を売っているディストリビューターというのは取り扱いが遠いということで、右が近い、左が遠いというのが1点。それから、規模が大きい、縦軸が上に行けば行くほど規模が大きい、要は売上規模が大きいですよと、下に行けば行くほど小さい、小規模なディストリビューターですよと。こういう中でディストリビューターを選んでいくときに、左下、何も書いていないですけど左下、規模が小さくて、取り扱い商品が遠いって、これはもう使う必要性がまったく意味が分からない、ないので、ここは存在しないですよと。そうすると、この右上か、グループAと書いてあるところですね、左上グループB、もしくは右下のグループC、この3つから選んでいくという、そういう話になるわけなんですけど。現実問題はどうかと言うと、一番いいのは右上に決まっているじゃないですか。規模がでかくて商品取り扱いも近いので。でも、それって裏を返すと、競合の商品をすでに取り扱っているという話なんですよね。取り扱い品目も近くて、規模も大きくて、優秀なんだけども、競合の商品を取り扱っているグループだよと。なので、競合とディストリビューターとの契約内容によっては、これからわれわれが取り扱ってと言っても競合してしまうわけですから、取り扱ってもらえない可能性があるわけですよね。一方で、取り扱ってほしくないという、こっち側の都合もあるかもしれないですし。

仮に取り扱っては駄目とかっていう契約があったりとか、すでに欧米の先進的な企業とやっている中で、あまり競合する商品を取り扱いにくいみたいな場合でも、彼ら、これはASEANというか、アジア…、アジアだけじゃないな、新興国特有のね、日本だとあり得ないんですけど、別会社があったりするんですよね。例えば、弟のやっているディストリビューターがもう1個あって、そこを使えば大丈夫だとか、親戚のやっているディストリビューターがあって、そこを使うから大丈夫だみたいな、そういうケースもありますと。そのときに、じゃあ、同じ会社じゃないじゃないですか、厳密にはね。そうすると、本当にケイパビリティどうなの?と、スキルセットちゃんと整っているの?というのは見ていかないといけないと思いますけど、そういうケースがあります。

ちょっと話が逸れましたけど、グループAから選ぶというのは、なかなかやっぱりこれベストはね、椅子取り合戦で選べないですよというのが1つ。じゃあ、グループBはどうよと、規模は大きいけども取り扱い商品が遠い。これは、僕はあまりお勧めはしない。なぜならば、同じ小売にね、売りに行くんだとしても、例えば同じフィリピンだったら、同じSM、ピュアゴールド、ロビンソンズに売りに行くんだとしても、やっぱり取り扱い品目が遠いということは、食品を売りたいのに日用品に強いディストリビューターというのは、やっぱり小売との関係も、バイヤーも日用品のバイヤーと親しい話であって、食品のバイヤーはまた違うわけですよね。レーンごとにバイヤーの責任者がいて、その人と商談するわけだから、今確かにSMには日用品をたくさん入れているんだけど、食品を入れられるかと言うとこれはまたちょっと違うので。そこのグループDのディストリビューターのオーナーが社長、いや、われわれとしては食品をこれから強くしていくために相当な投資をしていくんですみたいな明確な方針があって、オーナー社長とそれがしっかり話せているのであればグループBというのはありかもしれませんけども、そうでないならば、ないですね。やってみるんだけど、トライしてなんかいまいちの結果で終わってしまうというケースが結構多いんじゃないかと。もう1つが、取り扱い品目は近いんだけども規模が小さいと。これも結局10億やりたいのに売上が1億しかない会社とどれだけやっても、やっぱりこれはディストリビューターってキャッシュを回すのが仕事ですから、回らないんですよね、キャッシュがね。一緒に成長していくんだというんですけど、そこまで差があるとやっぱり難しい。

そうすると、現実的にはどういうところとやっていくかと言うと、次のスライドをお願いします。こうなるんですよね。この赤枠のところ、規模は大きいんだけども取り扱い品目がちょっとずれていると。食品が中心なんですと。けど、自分たちは菓子をやりたい。菓子は食品と言えば食品だけども、どうなのみたいな。こういうちょっとずれていると。例えばチョコをすごくやっているんだけど、自分たちは飴をやりたいとか、こういうのが非常にいいんですよね。例えば調味料中心で菓子とかね、菓子をやろうとか、そういうのはちょっとだいぶずれてしまっていますけども。チョコと飴とか、それぐらいのずれ方ですよね、それだとなかなかいい。だから、この上の縦に長いあれは、Bのグループには円が入っていないですよね。だから、そこまで違うと駄目だよというのと。あと、僕のお勧めは、この下のほうの横長のあれなんですけども、いわゆる小・中堅規模、大手ではないんだけども、将来大手になるだろうなと。経営者も社長もオーナー社長も30代とかね、いるんですよ、30代後半とか、40代前半の非常に積極的なやる気のある、自分の力でなんとかここまで這い上がってきたというようなディストリビューターの社長さんに出会えるんですよね。こういう、まだ有力な商品をそんなに持てていない、1個とかね、2個みたいなぐらいしか持てていないようなところとガッツリやっていくというのが僕は非常にお勧めだと思うので、この辺りからしっかり選んでいく。

ここ20年を見ても、ASEANの、フィリピンもそうだし、タイも、ベトナムも、インドネシアも、マレーシアも、大手のディストリビューターは結構順位が入れ替わっているんですよね。だから、下剋上は全然あり得るので、次の20年で。そういう新しい世代のディストリビューターと付き合っていくというのは全然ありだなというふうに思います。

今日はこれぐらいにしたいと思います。また皆さん、次回お会いいたしましょう。