第486回 【本の解説】中小企業には中小企業の『戦い方』がある その2
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。5章に入ったんですよね。5章に前回から入っていて、218ページ、第5章、「5-1 中小企業には中小企業の『戦い方』がある」ということで前回お話をしています。前回ね、中小企業と中堅中小企業、それから大企業、この本で言う中堅中小企業の定義、どれぐらいの規模の会社を中堅中小企業と言うのかということのお話と、あと、この章のタイトルでもある通り、この項のタイトルでもある通り、「中小企業には中小企業の『戦い方』があるということで、大企業とは求めているものが違うので、当然戦い方は違いますよというお話をしました。いくら求めているかによって、必要な経営資源とか戦い方なんていうのは全然変わるわけですよね。確か、マラソンみたいなものに例えてお話をしたと思うんですけど、100m走るのと、42.195km走るのでは、これはパワー配分が全然違うし、スタミナ配分も違いますよという話をしましたけども、基本的には何年でいくらやりたいのかということをまず明確にして、ここをベースに戦略を組み立てていくんですよと。そうした場合に、中小企業、海外で100億円本当にやるんですかと、現実的にね。夢として100億円持っているのはいいですけど。じゃあ、非常に近未来というか、短・中期で3年5年の時間軸の中で100億円やるんですかと言ったら、そんなことは求めていなくて、まずは数億円やって、ひいては数十億円いけばいいなというのがおそらく中小企業が求めている売上だと思います。そうすると、数億円やるときの戦い方と数百億円やるときの戦い方というのはまったく違うので、ここをまずしっかり定義してくださいねというお話をしました。なので、そこがまず1つと。
あと、今まで20年間、たくさんの中小企業の方とお話もしてきました。いろんな方からいろんなご相談を受けると。その中で傾向としてやっぱり、うちの会社は8割が大企業の支援で2割が中小企業の支援をしていて、残念ながらやっぱり支援する企業は選らばざるを得なくて、それは何を売っていこうとしているのかという、プロダクト的なところにも当然よるんですけども、その企業の社長さんのマインドセットがどうかということにも非常にこれは成功するしないというのは大きく影響してきていて。社長ですから人格を変えるというのはもうそもそも無理なので、どういう社長かによって当然一緒にやるやらないを考えていかないといけない。そうなったときに、今まで見てきた「失敗するだろうな、この会社は」という会社は、必ずこれから申し上げる3つのパターンに分類されると、そのちょっと分類についてまずお話をしていきたい。
スライドをちょっと見てもらったら速いかなと思います。スライドをお願いします。この海外展開で失敗する中小企業のパターンということで、1つ目が突進パターン。どのようなリスクがあるかすら想像できていない、本人はできているつもりということなんですけど。平たく言うと、イケイケドンドンで、「取りあえずやろうよ、ガンガンいこうよ」という、最近ね、これはもうことごとく叩きのめされているので、中小企業も海外展開において。なんですけど、2000年代前半とかね、これはまだまだ痛い目に遭っていないような時期は、このパターンがかなり多くて。本当に人の言うことをまったく聞かない社長、「俺は分かっているんだ。国内でこれだけやってきて、俺は分かっているから大丈夫だよ、森辺さん」と言ってドーンと出ていって、「いやー、やっぱり言うことを聞いておいたらよかったな…」みたいな、そういう社長さんは結構いましたのでね。それが叩きのめされて、叩きのめされて、中国やASEANの酸いも甘いも、何となく2000年代前半よりも、今、2020年代前半、20年かけてスタディしていますから、あの時代のような、本当に牛のように突進していくみたいな企業というのはだいぶ少なくなりましたけども。やっぱりこの傾向がまだ非常にあると。
これね、事業をつくり上げるときに、突進力というのは非常に重要なんですけども、やっぱり重要なリスクの想定で、しっかりできていないといけなくて、なぜならば出る前にそんな想定ってできちゃうんですよね。もうこれだけケーススタディがあったら、「それでいったら確実にこうなってしまいますよ」「それでいったらきっとこうなりますよ」みたいな、ある程度の初歩的なミスは防げるので、そこを突進していくというのはよくなくて。一番は、中小企業で社長にものを言うのって、なかなか社内にもいないし、難しい中で、本人が分かっているつもりというのが一番怖くて、ここはやっぱり1つ謙虚な姿勢でいるということが非常に重要で。私も20年この業界で日本企業の支援をしていますけども、「何でもご相談に乗ってください。何でもできますよ。私に言ってくれたら全部成功しますよ」なんて、口が裂けても言えませんので、やっぱりそれは謙虚な姿勢で学んでいくということが1つ必要かなというのは1つですよね。
2つ目にいきたいんですけども、時間が来てしまったようなので、ちょっとすみません、1つ目で終わります。また次ね、次回2つ目、3つ目ということでお話をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。