東:こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺:こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、今回はどういったお話をしていきましょうか。
森辺:今回は何年か前から注目を浴びているインドネシアなのですけど、前回、前々回ぐらいかな。フィリピンのお話をしたと思うのですけど、我々も会社として注目しているフィリピンと同じように注目しているインドネシアという国について少しお話出来たらなと思っております。
東:分かりました。まず皆さんインドネシアを知っていると思いますけど、概要としてざっくり教えていただいてもよろしいでしょうか?
森辺:インドネシア共和国なのですけど、基本的なところから言うと面積です。面積はだいたい日本の5倍ぐらいなのです。日本の企業がなぜ注目しているかというと2億4,000万人以上いる人口。ここがやはり1番重要になってくると思うのですけど、非常に人口が多いですと。人口が多いだけではなくて、ASEANというか新興国だと当然なのですけど、平均年齢の若さというのがあるのです。これが27.8歳なのです。片や日本の平均年齢は44.7歳なので、人口ボーナス期が2030年ぐらいまで続くのです、この国は。よく人口の年齢別分布図みたいなのがいろいろな機関が出しているのを見ると、あれは三角形になるとすごく綺麗なのです。日本だと逆三角形っぽいような形になってしまうのですけど、非常に若い人口であるというのが注目されていますよと。あと、宗教ですかね。基本的なところで言うと。88%がイスラム教の国で、この間お話したフィリピンなんて言うとその真逆で、キリスト教はインドネシア9%ぐらいしかいないのですけど、フィリピンは大半がクリスチャンでカトリックなので、宗教が違うとそれだけで市場が違うので、考え方も違いますからね、宗教というのは。なのでそんな国がインドネシアですと。
東:なるほど。そうすると人口がアジア新興国の中でもズバ抜けて多いですよね。中国とかインドに比べると多少見劣りはしますけど、ASEANの中では圧倒的1位ということですよね。しかも年齢層が若いということですよね。ジャカルタが首都だということはみなさんご存知だと思うのですけど、結構無数に島があったりするではないですか。これはフィリピンも一緒だと思うのですが、フィリピン以上に島が多いですよね。
森辺:結局大小を合わせると1万3,400以上の島があるのですけど、これは政府自体も島の正式な数というのは把握していないのです。
東:把握し切れないですよね。
森辺:し切れないです。なくなってしまう島とかもあったので、一時期1万8,000とか言われていて、何年か前に数え直したらしいのです、政府が。そうしたら今1万3,450いくつとかという数字になっていますけど、ただ基本的にはスマトラ島という、1番マレーシアに近い1番大きな島です。こことあと首都のジャカルタのあるジャワ島。それから、ごめんなさい。スマトラ島が1番大きくはないですけど1番マレーシアに近いスマトラ島、それからジャワ島。あとカリマンタン島。それからティモールです。スラウェシュ島、あとイリアン島。パプアのところです。この6つの島から形成されている国なので、この6つを覚えておくと分かりやすいのではないかなと、地理的に。
東:もう1回教えてもらっていいですか?
森辺:スマトラ島、ジャワ島、カリマンタン島、スラウェシュ島、ティモール島、イリアン島。
東:インドネシアだとみなさんその地名を聞いてもジャワ島ぐらいが何となくイメージにあると思うのですけど。
森辺:バリ島とか、観光で行くね。
東:バリ島かジャワ島という。
森辺:けど経済の大半はこの首都ジャカルタに集中しているので、だいたい日本企業さんがこうマーケットを取りに行くのはジャカルタをベースに展開をしていくというケースが王道かと思うので、地図を見ながら場所を認識していくとそんなに難しくないと思いますけど、行政区分の話をするとどの国でもそうですけど州、県、市みたいなのがあるわけではないですか。ジャカルタは首都特別州という、ジャカルタ首都特別州とあと4つ特別州があるのです。あと29の州があるので、全部で34州あるのです。それがそれぞれの自治区を、州を統治しているという。ただ変わっているのは中国みたいに中央政府の権限というか権力がそんなに行き届いていないのです。だからつい何年か前も東ティモールが独立したりとか、そういうこともあるのである意味権限移譲が進んでいると言えば進んでいるのかもしれないですけど、逆に言うと統治が出来ていないというのが非常に面白い国というのが1つです。
東:結構テレビとか欧米でもデモとかそういうものは取り沙汰されたりしますものね。
森辺:そうです。でも昔、シンガポールのアメリカンスクールに行っていたときに、インドネシア人とマレー人とタイ人とフィリピン人といたのですけど、タイ人は結構グワっとすぐ熱くなる人種だったのですけど、インドネシア人はマレー人の次におっとりとした性格だというイメージを僕は持っているのですけど。そんなに血の気の多い感じの人たちでもないイメージがあるのですけど、タイ人なんかはすぐグーっと熱くなるようなイメージがあったのですけど。
東:少しインドネシアの歴史的なことを振り返っていただくと、今現状はみなさん結構インターネットとかひいて分かっていると思うのですけど、何となく歴史的な振り返りをしていただくと、どんな国の成り立ちをしているのかなと思って。
森辺:経済の意味でいうと本当にインドネシアが変わったのは2004年なのです。何をやったかというと、国民による初の直接投票によってユドヨノ大統領が生まれた、第6代の大統領なのですけどここから経済がずっと発展していったという、そんな歴史があるのです。もともとは植民地だったというのもあって、サハルトとかあとハビビ大統領とかいろいろプレイヤーが日本だと有名ですけど、あとスカルノ大統領も有名かな。こういう人たちが統治をしてきたのですけど、軍部と共産党の緊張がどうのとかいろいろな事件が過去にあって、本当の意味で開放されたというか、経済が発展していったというのがちょうど2004年とか5年ぐらいのタイミングで、恐らく日本でもインドネシアと、工場としては1980年代からいろいろな企業が出ていましたけど、本当の意味でマーケットとして捉え始めたというのは、やはり人口の爆発的な拡大というのもあるのですけど、政治が変わってきたこの2004、5年というのがインドネシアの近代史で言うと恐らく1番注目をされているところではないかなと思います。
東:ちょうど10年前ぐらいなのですね。植民地だったというのはどこの植民地だった?
森辺:オランダだったのではないかな。1949年とかに独立を承認されているはずなのです。日本も3年ぐらい日本軍が占領していましたので。だからオランダです、もともとは。イスラム文化がずっと根付いてと、そういう国です。2004、5年で変わってきたと。
東:それがどう変わってきて、今経済的に言うと、どういった産業がどういうふうに成り立っているのかというのは。
森辺:インドネシアの主要産業というのはやはり製造業なのです。これが24%ぐらいあるのです。輸送機器です。バイクとか車とか。日本のメーカーなんかはたくさん行っていますし、次に大きいのは農林水産業。これが15%弱ぐらいある。パームとかゴムとか米、ココア、コーヒーなんか、有名ですよね。インドネシアでコーヒーというのは。あとバリだったかな。動物にコーヒーの豆を食べさせてふんをするではないですか。そのふんとコーヒーが入り乱れることで酸味がよくなってという、そういうコーヒーが有名な高いコーヒーがあるのですけど、そんな数穫れないわけです。そんなのも非常に有名な国です。あと観光地、一大観光地でもあるので商業、ホテルとか飲食業が14%ぐらいあると。
東:日本人はバリ島に好んで行きますものね。
森辺:あと鉱業です。LNGとか石炭とかニッケルとか石油。石油なんかも開発がすごくお金がかかるのでなかなか進んでいないという現状だったりとか、プラント自体がかなり老朽化してしまっているといういろいろな問題はあるにせよ、石油が出るというのが1つ有名な国です。あと建設とか運輸、通信機、金融というふうな感じにはなっているのですけど、繰り返しになりますけど、やはり機転が1つ入れるのが2004年で、インドネシアのGDPとか1人当たりGDPとか見てもらえると分かるのですけど、2005年から圧倒的に垂直にグワーっといっているのです。だから上がり始めてここ5年くらいだと思うのです、日本企業がインドネシアと言い始めたのが。今ちょうどGDPで言うと8,794億ドルぐらいなのです。1人当たりのGDPは3,560ドルぐらいですかね。あるという国なので、フィリピンよりもちょっと高いという国です。あと経済の話で言うと面白いのが、日本車が圧倒的に強いのです。こんな国他にないのですけど、ほとんど日本車なのです。たとえばトヨタのシェアが37%、ダイハツが15%、三菱が13%、スズキが11%、ホンダが6%、日産が6%、日野が3%、イスズ3%。もうこれで90%超えているではないですか。こんな自動車シェアな国はなかなかなくて。
東:珍しいですよね
森辺:こういう自動車が強いということによって、日本企業の進出が活発になっているというのも当然あって、自動車というと儲かりゼーションがこう進んで行くと、いろいろな産業が出てくるわけではないですか。だからインフラから初日業者が先に海外進出して、その後自動車が出て、その後自動車にまつわるいろいろな産業が出て、最後に消費材とかそういうのが出て行くのですけど、今だいたい1,250社ぐらい日系企業は出ているのです。JETROの数値なのですけど、日本人は1万5,000人ぐらいいると思います。さっき言った自動車メーカーもそうですけど、パナソニックとかシャープとかエプソンとかホウレイ、あとインドネシアのマンダムも非常に有名。先行している有名な会社で、大手小売だけではなくて伝統的小売も取っているなんて言って。インドネシア人はマンダムと聞くとインドネシアの会社だろというぐらい有名で、あとユニチャームとか花王、ライオン、それから味の素、ヤクルト、日清食品とか。公文なんかも結構流行っているのです。あとヤマハとかアサヒガラスとか、そんなところが主要な進出企業になります。
東:結構大手は軒並みインドネシアに出て行っているというような感じなのですね。もう1回そこを出て行って、出て行っているというところは年齢層、人口の多さとそれに比例する年齢層の若さだと思うのですけど、日本とはそうなのですけど、他のASEANの諸国と比べても若いということなのですか?
森辺:実はASEAN諸国で比較すると、この間話したフィリピン。今一押しをわれわれの会社はしていますけど、もっと若くて22.2歳。
東:6歳ぐらい違うのですね。
森辺:6歳ぐらい違いますね。フィリピンの話ではないので、今回インドネシアの話なので1人当たりのGDPで言うと今現在は、インドネシアは3,500ドルぐらいです、1人当たり。フィリピンが2800ぐらい。なんですけど、これ2050年ベースで見たときに、実はインドネシアは5200ドルで、フィリピンは1万893ドルということで、倍以上の差が出るというふうに最新のHSPCの予測では言われていますけど、ただ人口の多さが、2.4億が2050年には3億超えると言われていますから、圧倒的に違いますよと。1人当たりで割ったら当然人口が多いわけ、少ないですけど、GDP絶対で経済規模を見たときに2050年フィリピンは1.7兆ですけど、インドネシアも1.5兆ぐらいあるのです。だからやはりすごく大きい市場で、そういうところが日本企業の魅力の1つになっているというのは1つです。
東:分かりました。今日は森辺さん、そろそろお時間が来たので次回またインドネシアのシリーズという形でお伝えしたいと思いますので、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。