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第515回 パンデミック後のASEAN6小売市場の変化 その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺一樹です。暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。本当に東京は暑いですね。私も、昨日ですかね、昨日、軽井沢から戻ってきて、向こうは本当に涼しくて、エアコンなしで全然1日中過ごせて、東京だとさすがにエアコンをつけないと夜寝れないですけど。日中はもちろんね、24時間ずっとつけっぱなしという状況かもしれませんけども。軽井沢だとね、エアコンは本当に要らなくて、窓をバーッと開けて寝ていると、涼しい風がふわーっと入ってきて、朝方なんか少し寒いぐらいだったので、新幹線で1時間ぐらいで行くわけですけど、これだけ違うんだということでいつも驚かされますけども。ちょっと東京で仕事があって戻ってまいりました。そう、それで暑いので、今日はTシャツですみません。お見苦しいかもしれませんが、ご了承いただければと思います。

今日は、少しASEAN6の小売についてお話をしていきたいなというふうに思っております。近代小売、伝統小売含めて、パンデミックの間、彼らがどういう状況にあって、パンデミックを経て、彼らの経営というのはどういうふうに変わっていったのか。確実にパンデミックの経験が、近代小売の経営方針を変えているし、伝統小売もパンデミックで苦しみ、また助けられた伝統小売も国によってはあり、それが今後、デジタル化、DX、僕は伝統小売のデジタル武装というふうに呼んでいますけども、近代小売もDXに力を入れたし、伝統小売もデジタル武装のソリューションが外部から相当備わってきて、今後の小売ってかなり変わってくる。オンラインも、EC化率も劇的に上がったんですけども、いわゆる空中戦、ECによる空中戦と、リアルを地上戦とするならば、この地上もデジタルツールによって今までの地上戦とはだいぶ異なった地上戦が今後展開されていくんだろうなということで、何回かに分けてのお話になると思いますが、今回からですね、少しASEAN6の伝統小売、近代小売の今後、未来の世界、未来の姿はどういうものなのかということでお話をしていきたいなというふうに思っております。

では、早速1枚目のスライドをお願いします。この図はASEAN6の近代小売と伝統小売の数を表したものになります。まず、左の図なんですけども、これは主に食品・日用品を取り扱う主要な近代小売チェーンの店舗数の合計ですということで、近代小売、まあまあ、アパレルの近代小売とか、近代小売もいろいろあるので、その中で主に食品・日用品、いわゆるFMCG周りの商品を扱う近代的な小売の主要な店舗数なんですけど、SMT、シンガポール、マレーシア、タイランドのSMTはこんな…。シンガポールなんて1,000店舗なんですよね。フェアプライスとかコールドストレージは有名で、ドン・キホーテが非常に、シンガポールだけじゃなくて、ASEANで今、グングン伸びていますけども。このシンガポールが1,000店舗、マレーシアが6,600店舗、タイが1万7,300店舗という状況です。先進ASEANのSMTですらこんな店舗数なんですよね、近代小売の主要どころというのは。マレーシアに行くとね、ロータス…、イオンが一番強いんですよね、マレーシアはね、イオンが非常に強くて、ロータス、ジャイアント、セブンイレブンなんていうのがあるわけですけども。

タイはね、2強と言われていて、このセブンイレブン、ロータスをやっているセントラルグループ、通称CPなんていうふうに言われていますけど、財閥系ですよね、CP系。それから、一方で…。ごめんなさい。セントラルグループではなくて、チャランポカパンがCPね。これはセブンイレブンとロータスなんかを展開しているんですよね。このチャランポカパン、かわいい名前ですけど、通称CPと言っていて。これはタイ財閥の最大手の1つで、食品・農業・小売・不動産・エネルギー・金融・テレコム・医療・福祉、かなり多角的に事業を展開していて、食品業界においては最大手の1つですよと。鶏肉とか豚肉とか、シーフード、米、野菜、果物なんかの生産とか販売も、もうもともとの食品供給もやっているわけですよね。その中で小売をやっていて。不動産開発事業もやっているから、ショッピングモールもやれば、オフィスビルもやるし、住宅地もやるし、いろんなことをやっているので、基本的には、もう、自分たちで食品も供給していれば、ショッピングモールの開発もやっているので、いい土地にドーンと大型ショッピングモールをやって、そこに小売をドーンと持っていくみたいなことができるので、強いのは当たり前ですよね。小売業界においてはスーパーマーケット、デパート、コンビニ、何でもやっていますよということで。中でもセブンイレブンが非常に店舗数が多くて、1万3,100店舗あるんですよね。日本が2万1,300店舗ぐらいですから、日本に次いで世界第2位なんですよね。本当に強くて。シンガポールとかのセブンイレブンでも430店舗ぐらいだし、マレーシアとフィリピンでも、それぞれマレーシアが400店舗で、フィリピンが3,250店舗ぐらいだと思いますから、まあまあ、群を抜いてタイのセブンイレブンというのは多くて。こんなのを展開しているのがCP、チャランポカパングループですよと。

もう1つ、セントラルグループというのはタイの2番手に位置する、ビッグCを筆頭にね、ハイパーマーケット150店舗、CVSは1,350店舗ぐらいやっていたと思います。あと、ロビンソンズとかワトソンズ、トップスマーケットなんかもやっているセントラルグループ。このセントラルグループも最大手財閥の1つで、小売とか不動産・ホテル・観光・金融とか、いわゆるコングロマリットですよね。こんなことをやっているので、何かの番組でも言ったかもしれないですけど、セントラル系で最初入るのか、それともCP系で入るのかみたいな、そういうあれで。コンビニで売れているような商品をつくっている消費財メーカーは、もう絶対これはCPと一緒に、セブンイレブンからやらないと話にならないので、そんなような市場ですよというのがタイですよね。

あと、VIP、ベトナム、インドネシア、フィリピン、これがベトナムで8,200店舗、インドネシアで3万6,700店舗、フィリピンで9,400店舗ということで、インドネシアはトランスマート、ハイパーマート、それからコンビニなんかはインドマレット、アルファマートと、これだけで3万店以上の店舗数を持っている地場系のコンビニですよね。日本のコンビニがことごとく成果を出せない1つの大きな要因、競争環境が非常に激化しているというのが1つインドネシアの状況としてはあるし。フィリピンもね、財閥系のシューマートという有名なSMグループ、それからロビンソンズ、ルスタンズは確かロビンソンズに買収されたので、今はロビンソンズグループになって。あと、ピュアゴールドですね。これだけは財閥系じゃなくて、本当にタイクーンと言われるようなね、いわゆる地場の有名な実業家が率いる、非常に成功しているピュアゴールドは小売チェーンですけども、こんなところがやっぱり大きいですねと。ベトナムに関しては、ウィンマート、最近、ビンマートからウィンマートになったという、これは別にブランド変更したわけじゃなくて、オーナーが変わったんですよね。ビンマートがなかなかうまくいっていなかったので、買収されてウィンマートになったというのと。あと、イオンが非常に頑張っているし、コープマートなんかもあるというのがASEAN6の近代小売。でもね、この数を見てお分かりの通り、たかだかインドネシアで一番多くても3万6,700店舗なんですよね。そのうちの3万2,000~3万3,000店舗はインドマレットとアルファマートの店舗なので、そう考えると、純粋な近代小売だけだと非常に少ない、数千店舗なんですよね。

一方で右側の図。これは近代小売、ASEAN6だけを赤枠で囲っていますけども、VIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンは、ベトナムで66万店、インドネシアで447万店、フィリピンで80万店と。タイで45万店、マレーシアで20万店と、このタイとマレーシアの伝統小売の数って、なかなか公式な数値が発表されていなくて、われわれもいろんなところのデータを取ってきて推計値で出しているので、かなりレアな数字になるかもしれませんけども。ちょっと時間も来てしまったのであれですけど、オーバービューとしてはこういうような市場が形成されていて、だから、伝統小売が重要なんですよということを散々この番組でも申し上げてきていて。もう少し次回ね、深堀って、じゃあ、どういうふうに伝統小売が重要で、なぜ重要なの?伝統小売って減っていっているんでしょと、そうなんじゃないの?デジタル武装って何?Eコマース、EC比率はどうなっているの?みたいなところを、引き続きちょっとお話…。