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第514回 海外展開に失敗する企業の3つの思考パターン その3

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この海外展開に失敗する企業の思考パターンということでお話をしていきたいと思います。

前回、前々回と話をしていて、一番最初がプロダクト依存型のお話をして、プロダクト依存型の思考パターン、そして、前回がパートナー依存型の思考パターンのお話をして、今回はパーソン依存型の思考パターンということでお話をしていきたいなというふうに思います。

早速、スライドをお願いしたいんですが、パーソン依存型というのはね、簡単に言うと、会社としての戦略が非常に弱いんだけども、個の力、つまりは駐在員とか担当者の力でなんとか推し進めようとする、こういう傾向の強い企業、思考パターンの企業というのは非常に多くて。現地法人が戦略を持っていないんですよね。過去やってきたことの惰性で事業が進んでいて、とにかく駐在員が4~5年おきに新たに送られてきて、過去やってきたことを継承しながら積み重ねて蓄えられていくノウハウも、そんなに駐在員が帰任していくのでないまま、何か物事が進んでいくという、こういうケースが非常に多くて。戦略がないとまで言ったらあれですけども、基本的に弱いですよね。戦略って、方向なんですよね。向かうべき方向なので、本来右に行くべきところを左に行けという、間違った戦略、もしくは弱いので、右に行けと明確に示されていないまま、個が戦術を繰り出していくわけですよね。個ができるものというのは戦略でなくて戦術なので。なんだけども、戦術で戦略は補えないので、基本的にはなかなか成果につながっていかない。右に行くべきところ、右に行けという戦略が示されていないので、そこの現場で実行する人たちは、なんとなくこっちかなということで進むわけですよね。そこには迷いも生じるし、その中で戦術を実行していくわけなんですけども。迷いのある中で実行される戦術と、明確に戦略が示されて迷いなきまま実行される戦術、どっちのほうが成果がいいですかと言うと、やっぱり後者になるわけで。日本人は非常に能力が高いので、個としての能力が高いので、非常にそこは素晴らしいんだけども、社としての戦略が弱くて、人にどうしても依存してしまうという。

欧米の先進的な企業なんかを見ていると、人の依存度をどれだけ少なくできるかということを彼らは考えているので、どれだけ人が依存しないか、辞めても問題なく進むかという、そのためにつくっていくので。次のスライドになるんですけど、仕組みづくりをするんですよね。日本企業、ちょっとこれ勘違いしている人も非常に多いのかもしれないんですけど、現地でモノを売っていくわけなんだけども、これは営業力をどれだけ蓄えたって、営業力というのは所詮顧客と商談して受注を獲得する能力なので、1対1なんですよね。なんですけど、マーケティング力というのは売れる仕組みをつくる能力なので、これは1,000倍にも1万倍にも100万倍にもなるという、これがマーケティング力で。欧米の先進グローバル企業というのは、個に頼る、パーソンに依存するということは、これは営業力に依存するということで、そうじゃなくて、どれだけマーケティング力でモノを売れるかという、この仕組みづくり、これこそがまさに戦略で、マーケティングとは戦略、営業力とは戦術なので、ここがやっぱり非常に違う。ここにどれだけ投資できるか、力を注げるかというところが非常に重要なので、このパーソン依存型というのはなかなか厳しいよねというお話でございます。

それでは皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。