森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日もね…、今日で最後にします。強固な販売チャネルの構築方法、ずっとシリーズでやってきましたけども、強固な販売チャネルをつくるには3つのことが重要ですよと。1つがディストリビューターの発掘選定、もう1つがディストリビューターとの契約交渉、そして、3つ目がディストリビューターの管理育成ですよということで、前回からね、この管理育成の話をしてますけども、管理育成がなぜ重要かというお話をしてきています。日本の多くの製造業は、ディストリビューターを決めたら、あとはお任せで終わりなんですと。管理育成なんていう概念はほとんどないという企業が大半なんですけど、実はこの管理育成で残りの2割、さらに100%の上、伸びしろを決めますよと。だから、管理育成なくしてシェアを上げるとか、こういうことってなかなか難しいですよというお話をしてきていて。
何を管理するのかということで、前回、契約交渉で決めたKPIを管理しましょうねということでお話しましたけども、このKPIを管理していく過程で非常に重要なのがコミュニケーションなんですよね。コミュニケーションを多くの企業がメールでの事務的なコミュニケーションを取りながら、数カ月に1度の定期訪問で、結果指標の追いかけをやってますよという。こういうレベルのコミュニケーションではなくて、基本、これはうちのケースなんですけど、うちはもうメールでコミュニケーションを取るというのはほとんどしない。何かこの添付ファイルを送ったりとか、あれはあるけど、基本はもうメッセンジャーアプリ、各国ごとに主要なメッセンジャーアプリがうちのメンバーの携帯にはしっかり入っていて、そのメッセンジャーアプリでやり取りをする。社長の僕は、基本的にはディストリビューターとの、オーナー連中とのコミュニケーションを取り合っているし、うちのプロジェクトの責任者に関しては、向こうのジェネラルマネージャークラスとコミュニケーションを取り合っているし、うちの現地のローカルスタッフなんかは、現地のキーアカウントマネジャーと連絡を取り合っていて。こういうメッセンジャーアプリを使って他愛もない会話が常時起きてるんですよね。親しくなるということはすごく重要で。
なぜわれわれがこれだけコミュニケーションを取るかと言うと、そもそも、われわれのクライアントよりも長い期間、ものすごく大きな金額をやってるわけですよ、ディストリビューターは。そんなディストリビューターにわれわれのクライアントの商品により力を入れてもらうためには、コミュニケーションの量で、密度で時間を買うしかないわけですよね。ほかの商品を取り扱っている、30年取り扱ってるっていうディストリビューターとのいわゆる関係を、3年とか5年でめちゃめちゃ濃いものにしたいわけじゃないですか、まだ全然取扱高も低い状態なので。そうすると、やっぱりこういうコミュニケーションを取るということはすごく重要で。もうコロナが明けてね、新興国のこういったディストリビューターのオーナーなんかも家族を連れて東京・大阪に来るわけですよね、北海道と。そしたら、必ず会いに行って、1日はご飯を食べるとか、こういう昭和ちっくな動きというのは、残念ながら新興国のディストリビューターにはやっぱり最初は重要で。こういうことがあるから、ほかのコミュニケーションがうまくいくっていうのはあるので、やっぱり自分たちよりも濃く長い関係を持っている人たちがすでにいるところに割って入ろうと思うと、きれいごとだけではなかなか許されないという世界が、僕はあると思っているので、こういうところはねっちょり脂っこくやるし、けど、一方でKPIの管理とかはシステマティックにやるという、この2本立てというか、そういうことがまだまだ新興国は必要だなというふうに思っております。
では、まとめとしてね、強固な販売チャネルの構築には3つのことが重要です。発掘選定、契約交渉、管理育成と。発掘選定とは、ターゲットに売れるディストリビューターが唯一の選定基準なので、基本的にはターゲットを明確にするということは重要なんですよと。でかいところではないし、いいディストリビューターというのはね、財閥系ではないし、大きいところが必ずしもいいとは限りませんよと。自分たちのターゲットに売れるところがいいところなんですと。日本企業は、誰に売るのかよりも、誰と売るのかを重要視し過ぎる、そうではなくて誰に売るのかを明確にしなさいと、誰に売るのかが明確になれば、誰と売るべきかは明確になりますよというのが発掘選定の話。契約交渉は、目標達成のための具体的な方法論と共通の管理指標を明確にして、これを契約をすることが、儀式としての契約なんて必要なくて、契約をするという、この契約調印までにどれだけ契約後の戦略を握れるかということが重要なので、それをしっかり握ると。契約を締結したら、誰が、何を、どうやって、どういう成果を出すんですかということを契約締結前にゴリゴリやる。これをやり合うことによって、本当にやりたいと思っているところが残っていくわけですから、それをしっかりやってくださいねと。あと、契約書の攻めの部分、守りの部分、テクニカルにしっかり使ってくださいね、テクニックですよということが契約交渉。最後の管理育成は、この共通指標を追いかけて、対策と評価、コミュニケーションですね、これをしっかりしていきましょうねというお話でございました。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。