森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。テスラのマーケティングのすごさ、売り方のすごさの話を前回しましたけど、また今日もテスラかという話で申し訳ないんですけど、もう少しちょっとお話させてください。このテスラのすごさなんだけどもね、僕はね、動力が電気かガソリンかの違いのね、電気自動車のすごさということよりも、彼らの売り方、つまりはマーケティングのすごさに感動したんだけどもね。
日本の自動車メーカーって、今度は動力の話をしようというふうに思うんだけど、今、自動車がね、発明されて100年かな、150年ぐらい経って、すごく大きなディスラプティブ・イノベーションが起きようとしていて、結構、注目されているポイントというのは動力競争みたいなところ、エンジンではなくて、ハイブリッドだ、プラグインハイブリッドだ、EVだとこう、あるんだけど。テスラに乗っていて、これをすごく思ったんだけど、テスラはね、たぶん動力とかどうでもいいと思っていて。結局、自動車の未来ってどうなるかと言うと、その名の通り、「自動車」なので、自動で目的地まで人を運んでくれる箱、これが未来の自動車だということを、テスラはすでにもうイメージができていて。動力競争とかっていうことはもちろん勝っていくんだろうけども、どうでもよくて、むしろ、いかに安全に速く人を目的地まで運ぶかというね、この自動運転というか、ソフトウエアのすごさが圧倒的にすごくて、「うわーっ」ていうね、もうなんか鳥肌が立ってしまうぐらいにテスラのソフトウエアがすごいんですよ。もう、これは動力云々とかって最近いろんなYouTubeとか番組でもいろいろ言っているけども、そんなことどうでもいいというかね。本当にソフトウエアの部分のすごさ、これが本当の意味でのこれからの戦い。動力競争というのはね、いわゆるエコの流れの、サステナビリティの流れの延長線上にあるわけだから、それよりもCO2のね、それよりもやっぱり自動運転のすごさみたいなところをしっかり理解するということは必要だし。
僕、日本の自動車メーカーが、家電の大敗を目の前にしていて、そんなことに気付いてないわけないですよね。例えば、EVにしても遅れているわけですよね。送れている、遅れていると言われていて、EVとプラグインハイブリッドの混合で言うと、BYDが世界で最もたくさん車を販売していて。EVだけで言ったら、まだテスラが圧倒的にいい。時価総額でも、テスラはだいぶ落ちましたけど、一時期は全部の自動車メーカーの時価総額を足してもテスラに追いつかないという、そういう状況だったわけですよね。そんな状況である。なのに、トヨタであったり、日産であったり、日本を代表する自動車メーカーがEVに出遅れたみたいな言われ方を世の中でされているけども、僕はね、彼らはたぶんわざとやっているんだろうなと思っていて。というのも、彼らも一緒になってEV化を主導すると、要は彼らの系列、いわゆるティア1、ティア2と言われるような人たち、産業そのものがあまりにも大き過ぎるのでね、日本にとってね。これは全部職を失うことになると。彼らを延命するために、極端な切り替えをしないで、じわじわ、じわじわ、やっていて。これはたぶんね、すべて計算でやっているんだと思うんですよね。だから、決して遅れているのではなくて、もう無理となったときにボタンをポチッと押すと、バーンと切り替えられるような状態に、僕はなっているんじゃないかなと思っていて。そんなにアホじゃないと思うんですよね、日本の自動車メーカー。だから、完全に計算の上であると。
いろんなことが、いろんな人、いろんなことを言っていて、でも、真実は誰にも分からなくて、20年後、30年後に蓋を開けたときにどうなっているかというのが見えるんだろうけども。でも、これって必ずしもね、EVがいいから、じゃあ、はい、EVにパッて、これ、一オーナー企業だったらね、それでやったらいいんでしょうけど、あまりにも大きな会社、例えばトヨタみたいな会社になると、そういうわけにもいかないんだよなっていうことをすごく感じると、いかにソフトランディングさせるかみたいなところってすごく重要で。むしろ彼らにとっては、切り替えて勝っていいんだったら、勝つことは簡単ですみたいな。ただ、その代わり、日本からこれだけの産業がなくなりますよみたいな、そういう中でのちょっと次元の違う戦いを強いられているんだろうなというようなことをね、テスラに乗りながら思っていて。だからこそ、このディスラプティブ・イノベーションというのは起きるんですよね。必ず周回、数十年おきに起きると。テスラの戦い方というのは、むしろトヨタよりも楽なわけですよね。彼らは0からやるわけですから、新しいことをどんどんやって、ディスラプティブ・イノベーションを起こしていったらいいわけなんだけども。やっぱり伝統的な大企業というのは、そういうことも加味してやっていくというのは、本当に難しさというのが深刻にあるんだなということを、テスラに乗りながら思っている次第でございます。
今日はこれぐらいにしたいと思います。もうテスラの話はしばらくしないようにします。以上になります。また次回お会いいたしましょう。