森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は前回のインドネシアの小売市場に続いてフィリピンの小売市場、この小売市場シリーズ最後ですかね。SMT、シンガポール、マレーシア、タイをやって、ベトナム、インドネシアで、今日はフィリピンということで、VIP、フィリピンということで、最後になると思います。
早速、フィリピンなんですけど、フィリピンはね、特徴としてはまず人口が1億人を超えていますよと、正確には、2020年のフィリピンの国勢調査の人口統計なんですけど、1億903万5,343人ということで、1億強、1億900万人ぐらいいますよということで、フィリピンってそういう国で。国民の83%がカトリックなんですよね。ローマ法王なんかもかつて訪れていますし、非常にキリスト教徒が進んでいて、戦後アメリカの影響も非常に強く受けているので、結構ASEANって、日本を見てくれていた時期があった国が、インドネシアとかマレーシアとか、よく親日な国があって、チョイスの中に日本が最初に来るんだけども、フィリピンの場合はやっぱりアメリカが最初に来るというケースが非常に強くて。これは結構公用語にも関係しているんだけど、いわゆるタガログ語という、フィリピンの言葉があるんだけど、彼らは英語をしゃべるわけですよね、タガログ語と英語と両方しゃべって。やっぱり英語ができるだけに、英語の雑誌であったり、新聞であったり、そういったものがたくさん入ってきていて、結構英語で書かれているので、当然アメリカ、イギリスの情報がたくさん入ってきているので、そっちの影響を受けやすいという、そういうことなんですけど。非常にほかのASEANとはちょっと違う、そういう市場であるというのが前提としてありますよと。
フィリピンの小売市場についてちょっとお話をすると、市場規模の話ですけど、2022年の最新の小売市場規模で20.9兆円、これは136円のときのレートなので、だいたい今は23兆円ぐらいあるのかなと。日本の小売市場規模が150兆円ぐらいですから、23兆と言うとね、日本と比べてしまうとやっぱりまだまだ、人口は1億超えているのに少ないなというイメージを持たれる方も多いのかもしれませんが、ASEAN6全体では150兆円、日本と同じぐらいあるので、ASEANで重要なのはASEAN6を1つの地域としてしっかり見ていって、その中のフィリピンという地域が23兆円ですよと。ただ、やっぱりこれだけ多くの人口を抱えながら、平均年齢が今、26歳とかっていう中でね、少子高齢化の日本とは違いますから、基本的にこれからどんどん、どんどん、若い人たちの消費量のほうが圧倒的に多いわけですよね。彼らはより早くよりたくさん買うわけですから。そういうことを考えると、貧困層が中間層になって、中間層が富裕層になってということを考えていくと、これからのフィリピンの市場というのは非常に拡大の余地がある、伸びしろが大きいですよねというのがフィリピンの市場のマクロ的な背景かなというふうに思います。
フィリピンの小売市場を語るときになくてはならないというか、絶対にしなければいけない議論としては、やっぱりここも伝統小売。もうVIPの鉄則ですよね。ベトナム、インドネシア、フィリピン、全部そうですけども、伝統小売が80万店あるんですよね、フィリピンもね。この伝統小売をいかに獲っていくかということが非常に重要で。主要島が3つあるわけですけど、ルソン島と、ビサヤ島と、ミンダナオ島とね。首都があるのが、メトロマニラがあるのがルソン島で、皆さんが観光なんかで行くセブ島で有名なね、セブが真ん中のビサヤ。ルソン島というのが、フィリピンをこう、縦長ですから、一番上のルソン島、真ん中の島がいっぱいぐちゃぐちゃっとあるところがビサヤ、ここはセブがあるところですよね、ミンダナオというのがダバオが有名ですけども、一番下のところ、ミンダナオ島、ここに80万店、人口密度の分布とほぼ同じ比率で80万店の伝統小売が存在していて、この80万店の伝統小売をどう攻略するかというのが非常に重要で。
近代小売は9,400店舗ぐらいなんですよ、最新の弊社のカウントで。近代小売もやっぱり特徴的で、3強近代小売という、SM、ピュアゴールド、ロビンソンズというね、非常に強い3大近代小売、ここを押さえつつの80万店の伝統小売なので、なおかつ財閥系の影響力が非常に強いので、近代小売の3社のうちの2社は財閥系なので、この財閥系近代小売を押さえつつ伝統小売を獲るというのがフィリピンの市場は大変重要になってくるということで。
次回ちょっとこの近代小売と伝統小売について、もう少し深くお話をしていきたいなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。