森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、フィリピンの小売市場ということで、今日はね、フィリピンの小売、近代小売についてちょっとお話をしていきたいなというふうに思います。
前回ね、フィリピンの近代小売というのは3大小売ですよと、非常に大きなSMという小売と、皆さん、シューマート、シューマートというふうに呼んでいる人が多いと思いますが、SM、それから、ピュアゴールド、ロビンソンズという、この3つが非常に大きな近代小売で。フィリピンというのは財閥が非常に強くて、この財閥って、フィリピンの財閥って中華系の財閥と、スペイン系の財閥がいるんですよね。スペイン系の財閥はもうほぼほぼ影響力を失っていて、今だとアヤラ財閥ぐらいかなというふうに、目立つ存在というのはね。ほとんどが中華系の財閥で。これら財閥でね、フィリピン経済の7割8割ぐらいを占めているというふうに言われているぐらい、財閥の力というのは非常に強くて。
SMを持っているのも、フィリピンのね、フィリピン一お金持ちの、2019年にね、創業者のヘンリー・シーさんが亡くなってしまったんだけども、このシー財閥というところがSMをやっていて、今も6人の子どもが引き継いで、シー家は依然としてフィリピン一の大富豪なんだけども。資産が今の為替でたぶん3兆円ぐらいね、もっとあるかもしれない、3兆円ぐらいある、非常に大きな財閥ですよと。このお亡くなりのなられたヘンリー・シーさんね、もともと中国の福建省の出身で、父親の仕事か何かの関係で12歳のときにフィリピンに移住してきて、1958年にマニラで靴屋をまず始めるんですよね。その靴屋がシューマートっていう名前で、その名残りでシューマート、シューマートって呼ぶ人がいまだにいるんですよね。SMのこの頭文字ってシューマートの頭文字を取っているので、非常にシューマートと呼ぶ人がまだいますよと。このシー財閥はね、フィリピン最大の商業銀行のバンコ・デ・オロって、これはネイビーのバックに黄色の文字でBDOって書いた文字を結構フィリピンに行くといっぱい見ると思うんですけど、この最大の商業銀行のBDOを持っていたりとか、あと、不動産最大手のSMプライムもシー財閥が保有しているし、ファーストリテイリングが合弁でユニクロをやっているのもこのSMグループなので、非常に大きな強い財閥ですよと。極論を言えばね、このシー財閥は不動産の最大手なので、常に好立地に店舗を出し続けることが可能で、そこにSMを入れて、商業銀行を入れて、お金を貸してモノを買わせてみたいなね、言い方が悪いですけど、まあまあ言ったらイオンみたいな話ですよね。イオンクレジット、イオンショッピングモールみたいな、SMクレジット、SMショッピングモールみたいな話なので、非常にビジネスとしては強いというのがこのSMで。
一方でね、フィリピンの財閥って、韓国みたいに貧富の差が激しくて財閥叩きみたいなね、そういうのはなくて、国民からね、このヘンリー・シーさんなんて本当に尊敬されていて、日本で言うところの松下幸之助とか本田宗一郎みたいな、そういう存在なんですよね。だから、苦労人が一からこれだけ大きな財を成して、フィリピンの誇りみたいなね、ASEANの中でも一番お金持ちですから、ASEANの誇り、アジアの誇りみたいな、そういうふうに思っている人が多くて。結構これらの財閥の経営者は慈善事業にもお金を散々拠出してきているんですよね。だから、多くの中間層の国民にも支持されているというのが、このフィリピンの財閥の、特にシー財閥なんかは特徴かなというふうに思います。
2つ目のロビンソンズを保有しているのも財閥で、ゴコンウェイ財閥と言うんですけど、難しいですよね、言い方がね、ゴコンウェイ財閥。これは小売だけじゃなくて、食品、航空、不動産、石油、繊維、通信、もういろんなことをやっていて、非常にこれも大きな財閥で。ピュアゴールドだけが財閥ではなくて、フィリピンの実業家ルシオ・コーがやっている小売なんですよね。なので、2財閥と超有力実業家が築いた3大小売ということで、もう圧倒邸な強さを誇っていますよというのがフィリピンの3大小売でございます。
ちょっと時間が来てしまったのでね、近代小売の話は今日はこれぐらいにして、また次回はちょっと伝統小売、80万店の伝統小売の話をしていきたいなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。