森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日もB2Bのお話です。市場はアジア新興国市場でございます。今日のお話は、前回、前々回から先進的なグローバル企業、成功している先進的なグローバル企業が持っている3つの重要な考え方、思考は何なのかということで、1つ目がスピードが価値に変わる仕組みを本当に理解していますよと、A地点からB地点に物理的に早く行くということがスピードの本当の価値ではなくて、実はこのスピードには別の価値があったと、別の側面があったという話を前回、前々回やっていて。
今日は2個目の思考なんだけども、成功している先進グローバル企業は、お話を聞けば聞くほどね、グランドデザインを描く力に長けているんですよね。一方で日本企業はね、このグランドデザインを描く力が非常に乏しいということで。これはね、企業はグランドデザインなんだけども、グランドデザインって、僕は個に対して言うと、ビッグピクチャーというふうに定義していて。でかい絵ですよね、ビッグピクチャーをパッとイメージできるかという。これもやっぱり先進グローバル企業の社員というのはね、ビッグピクチャーをバーンと見れるんですよね。一方で日本人というのは、これはもともと日本人のそれは良いところでもあるんだけど、目の前のことをまず着実にやって一歩一歩階段を上がっていくみたいな、そういう思想が非常にあるので、逆算が苦手なんですよね。でかいグランドデザインをバーンと描いて、ゴールを設定して、そこに最短に行くための方法を逆算するみたいな考え方が非常に苦手。これは戦闘民族の考え方なんですよね。一方で、農耕民族のわれらが日本人は、どちらかと言うと、でかい絵みたいなのを描くのは苦手で、目の前のものをしっかりやれば、きっとその先には良いことが待っているはずという性善説で進んでいくので、積み上げ思考になってしまうし、どうしても俗人的になってしまう。これは60年代70年代80年代90年代ぐらいまではよかったんですね、これでも。コツコツ、コツコツ、まさにこれはB2Bの製造業の考え方ですよね、今までできなかったことを可能にしていくという。この2000年代に入って、インターネットが出てきてみたいな、このデジタルの時代が来てみたいなね、これからさらにそこが進化していくとなったときに、この考え方で新興国市場で考えるとね、どうしてもやっぱりグローバル競争で勝てないんですよね。勝ててもね、極地では勝てるんですよ、極地では。なんだけども、全体で負けてしまうので、やっぱり難しいと。
結構このグランドデザインを描く、とにかく目の前のことをしっかりやってコツコツ一歩一歩って、これは人生においてはね、すごく長期の個の人生においては非常に重要な考え方だと思うので、僕もそれは良いと思うんだけども。やっぱり戦略ってある程度短期戦で組まないといけなくて、短期・中期・長期で組むんだけども、ある程度、短期の戦略で勝てなかったら、中期も長期もないので、基本的にはコツコツ性善説でのぼっていってもね、のぼり切ったときに本当に自分のイメージしていたものがないということだってあるわけですよね、新興国市場で、「えーっ」みたいな。だから、結構B2Bの製造業がコツコツ頑張って、勝つためにやっているのに、彼らは別に仕事をしていないわけではなくて、頑張ってやっている。ただ、コツコツやってのぼってきたのに、「えっ、そんな戦いしていなかった、みんな」みたいな、そういうケースが結構多く見受けられる。一方で、先進グローバル企業はでかい絵を先にドーンと描いてしまって、そこに行くための逆算で合理的ですよね、これは逆算なので。なので、自分の行きたいところを明確にイメージできてしまっているという、見てきていると言ったほうがいいかもしれないですけども。こういう発想ってやっぱりすごく重要だなと思って、ビッグピクチャーを見ようよという。若いやつがそんなでかいことを考えなくていいみたいなね、こういう文化があるではないですか。例えば、「1、2年は球拾いだ」みたいな。アメリカはそういうのはないですよね。1、2年でも上手ければ球拾いはしないですから。球を拾うというのは、球を拾う専門の人がいる。学校で掃除をしますみたいなね、「みんなで掃除をしましょう、自分たちの使ったものは」みたいな。掃除をすることが美徳、精神的にも美しい、なんとなく僕もこれは非常に、なんとくなくというか、よく分かる、気持ちは分かる。なんだけども、合理的に考えたときに、別に掃除をしたから美しくはならないし、美徳でも何でもなくて、アメリカの学校の場合は、掃除は掃除をする仕事の人がいるので、基本的に学生は勉学をすることが彼らの業務の中心なので、掃除なんかに時間は使いませんと、「勉強してください。スポーツしてください。掃除をする人は別に専門の人がいます」みたいな、この違いに僕は小さいときに衝撃を受けたんだけども、向こうの学校に行ってね。なので、こういうことも、われわれがビッグピクチャーを見れなくして、目の前のことにこだわるっていうね。これが良い面に出るときもある、もちろんあるんだけども、残念ながらこの2000年代以降はね、この考え方よりも、やっぱりグランドデザイン、ビッグピクチャーみたいなところを意識したほうがいいんじゃないかなというふうに思います。事実、アジア新興国市場で勝っている先進グローバル企業は、グランドデザインを見る力が大変長けているということでございます。
次回ね、3つ目の先進グローバル企業の成功だけが知っている価値観ということでね、ちょっとお話をしていきたいなというふうに思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。