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【本の解説】ベトナム市場 近代小売と伝統小売に関する考察

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『ASEAN6における販売チャネル戦略』ということで、本のご紹介を、内容の紹介をしていきたいと、解説をしていきたいと思います。

今日は94ページですね。ベトナムのコンビニエンスストアの紹介ということで、前回、ベトナムのスーパーの紹介をやって、今回、ベトナムのコンビニエンスストアの紹介ということで。92ページの図の通り、ビンマート、これは徐々にブランドはウィンマートプラスに変わっていきますけども、サークルK、サトラフード、GS25、それからファミリーマート、コープスマイルということで、一番大きい店舗でも、ビンマートでも3,000店舗で。これ、もともとね、マサングループが買収する前はね、5,000店舗ぐらいまであった時期もあったんですよね。ただ、やっぱりちょっと早過ぎちゃって、不採算店舗が多くて、マサンが買収したあと不採算店舗を閉めてみたいなのがあって。やっぱりこれはベトナムの小売市場をこうして前回もお話しましたけど、振り返って考えると、小売のプレイヤーにとってはやっぱり外資規制撤廃後の進出のタイミングと市場の成熟度、このバランスがすごく重要で。政府の政策と市場の成熟度って、必ずしもベストタイミングでないケースがあるわけですよね。政府の外資規制の撤廃のほうが、ベトナムの場合は早かったと、結果としてね。ベトナムブームというのは今まで何回も来ていて、「さあ、ベトナムだ」「さあ、ベトナムだ」「さあ、ベトナムだ」「さあ、ベトナムだ」って、少なくとも4回ぐらいはあったので、僕が記憶する限りでね。今まだVIPの一角で「これからいよいよ」という状況なので、やっぱりこの20年前のフランスのカジノグループの進出なんかも含めても、非常に外資規制撤廃が早くて、成熟度がやっぱり少し想定より遅かったと。そう考えると、イオンの進出タイミングってほんとにベストだったなっていうのは、今、思うところでございます。今後はね、ベトナム系、タイ系、韓国系、日系で小売は戦っていくことになると思うので、そんなようなお話をしていますと。

コンビニがまだまだ伸びしろがありますねと。3,000店舗なので伸びしろがありますねということなんですけども、果たして今後どうなんだろうというのが僕はちょっとまだ読みにくいなというふうに思っていて。結局、ASEANのコンビニエンスストアの数を見てみてもね、タイの1万3,000店舗はもう例外で、セブンイレブンのね、セブンイレブンの中でも世界で2番目に多い、日本の次に多いのがタイで。あれは例外だったとして、ほかの国ってやっぱり数千店舗で終わっているわけですよね。3,000、5,000で終わっているということを考えるとね、インドネシアのインドマレットとアルファマートの2つ合わせて3万5,000店とかっていうのは別にするとね。そうすると、やっぱりなかなか、これからほんとにコンビニがしっかり伸びきるのかなっていうところは、今までの業態だと難しいんじゃないかなと。一方で、伝統小売のデジタル化も始まってくるとなると、より中央集権されたコンビニではなくて、分散化された伝統小売のほうが、これがデジタル化してしまったほうが面白いのではないかなと。市場に合致しているのではないかないうことも思うので、ちょっとどうなるかは分からないと。ただ、一方で、ベトナムの伝統小売というのは、フィリピンの伝統小売のように、消費者や業界や地域や行政から守られてはいなかったので、このパンデミックの対応を見ていると、彼らはやっぱり相当大打撃を受けているので、そういう意味からはやっぱりより合理的なほうに流れていくんだろうなというふうに思うので、66万店の伝統小売がどう生き残っていくのかというのはちょっと見どころだなというふうには思います。

あと、ベトナムの伝統小売に関する考察が97ページにあるんだけども、伝統小売というのは基本的に現産現販ビジネスに移行した企業がやるマーケットですよね。もともとは輸出で始まるので、輸出でやっている企業が伝統小売をやるっていうのがね、そもそも関税が乗って、日本で100円で売っているものが250円とか300円になるので、そもそも置けませんよね、伝統小売にという、こういうことなわけなんですけど、基本的にはね。ただ、ベトナムの伝統小売も高級住宅街の地域にある伝統小売には、400円ぐらいの缶に入ったクッキー詰め合わせセットとかね、こういうものが置いているわけですよね。なぜそういうものが置いているかと言うと、いわゆる来客、家に来客があったときの茶菓子としてね、そういうものが出るわけですよ。日本だと三越かね、銀座三越か髙島屋の地下のお店で買った和菓子か洋菓子か何かを出すのが一般的かもしれませんけど、ベトナムの家庭ではいわゆるそういうところで売っている、ちょっと高級な詰め合わせのクッキーとかね、チョコパイとか、そういったものを茶菓子として出すっていうのは全然OKなので。そうすると、300~400円ぐらいのものが売っていたりするわけですよね。なので、そういうマーケットを狙うというのも1つありなので、必ずしも伝統小売は現産現販でなければできないですよということでもないので、それは1つ伝統小売市場に関する考察としてはあるのかなというようなことを書いています。

次回ね、98ページ、4 主要ディストリビューターについてお話をしていきたいなというふうに思います。それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。