森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も、輸出型のチャネルビジネスのお話をしていこうかなというふうに思っております。
輸出型のチャネルビジネスというのは、僕が勝手に言っているだけなんだけども、新興国市場における消費財の展開においてね、展開の型が2つあって、1つが輸出でやる型、パターンで、もう1つが現産現販でやる、現地生産して現地販売する型があって。だいたい今の大手の消費財メーカーさんも、現産現販でやっている国もあれば、輸出でやっている国もあると。そんな中で、今まで私のこの番組やセミナーでは完全に現産現販の展開の話が多かったんですよね。だから、「伝統小売がああだ、こうだ」という話が非常に多く出てきたと思うんですけども、最近、非常に輸出型でやるステージの企業の要望が非常に多くなってきていて。6月かな、6月に「輸出型チャネルビジネスの基本」ということでセミナーをやる予定にしているんですけども、それに関連してね、ここ何回か前に輸出型チャネルビジネスの話をしたんですけど。今日もちょっとその輸出型のビジネスの話をしたいなと。
この輸出型のチャネルビジネスも実は2パターンあって、日本食に引っ張られる商品というか、食品・調味料含めてね、売っている企業と、日本食に引っ張られない食品を売っている、具体的に言うと、菓子とかね。お菓子って別に日本食とか関係ないじゃないですか。なので、基本的には、和菓子というのはもう絶対にあれなんだけども、マーケットが非常に小さいので、僕は海外向きではないと思っているので、和菓子はインバウンドで引っ張るということでいいと思うんだけども。基本的にコンビニ菓子ですよね。洋菓子と言うとまた語弊があるので、コンビニやスーパーで売っているようなお菓子、これは別に日本食通の人が好んで食べるというよりかは、みんな食べますよね、チョコレートとかね、グミとか。こういった、いわゆる日本食に引っ張られないような商品で輸出型でやる場合というのは非常にやり方としては展開の幅が広いんだけども、日本食にやっぱり引っ張られてしまうパターンというのは展開の幅がやっぱりどうしても弱くなってしまうので、その話をまずしていきたいなというふうに思います。
輸出型のチャネルビジネスって、基本的に何が絶対的に違うかと言うと、多くの場合で伝統小売を考える必要がない、基本的には近代小売を考えるということなんだけども。この近代小売もね、日本食に引っ張られるような商品の場合は、一般的な近代小売を考える必要はなくて、日系食材を中心として販売する近代小売だけを考えるということになるんですよね。例えばフィリピンだったら、SMとかピュアゴールドとかロビンソンズはもう別に必要ないわけですよね。そこの輸入品棚に置いたとしたって、結局、大した売上にはならないので、基本的には日本のコンビニエンスストアとか日本のスーパーに置く。だって、日本の刺身醤油やみりんやお酢やなんとかやって、日本食にしか使わないものを、そんなローカルのスーパーに置いたって売れませんから、基本的にはやっぱり近代小売も絞っていくということはすごく重要で。
こういうことを言っていくと、フィリピンだけではなくて、インドネシアだってそうだし、ベトナムだってタイだってそうだし、そもそも、「じゃあ、どこの国がやりやすいの?」と言ったときに、やっぱり後進国か新興国に出来上がっていくね、この過程というものをしっかりと理解をする必要があって。市場の成熟度から見たら香港とかシンガポールとか韓国とか台湾がやりやすいよね、一番。中国の主要都市、1級、2級都市なんかがその次にあって、その次にマレーシアとかタイなんかが出てくると。最近ではVIPの中でもインドネシアとかね。さらに先にインドとか、CRMとかっていう、いわゆるメコン経済圏の国々が出てくるわけですけども。
これはあくまで市場の成熟度から見た場合なので、当然、合わせて各国のレギュレーションを見ていかないといけない。すごく重要なことは、レギュレーションと、市場の成熟度と、あと、競合の状況、この3つを見ていくということが重要で。まず、レギュレーションに関して言うと、そもそも日本の食品には、アジア新興国市場でね、FDAの認可を取らないと基本的には売れないので、結構、添加物なんかね、使ってはいけない添加物みたいのが含まれているケースが多々あって。日本の厚生労働省が認めている成分を、何をアジアの新興国の国々は認めないんだというふうに僕も最初は思っていたんですよね、20年ぐらい前は。ただ、多くのアジア新興国市場の国々は、アメリカのFDAを準拠しているので、結構、厳しい。そこのまずレギュレーションを通らないといけないということが大前提としてありますよと。それが通るということが分かって初めて市場の成熟度があって。あと、競合の状況というのは、競合がうまくやっている国に行くべきなんですよね。なぜならば、これは日本食に引っ張られているので、基本的にはレギュレーションが通って、市場がある程度成熟していないと日本食なんていうのはそんなに大きな需要としてないので、そもそも市場が限られるのに、さらにマーケットが小さかったらやる意味がないので、競合の状況、競合の状況がどうなのかと。競合がうまくやれているということは、そこに需要があるということなので、競合がうまくやれていないということは需要はないということなので、そこをまず1つの判断軸にするということは大変重要で。
あと、大きな流れとしては、為替と景気がやっぱりすごく大きく影響するんですよね、輸出って。今、154円で輸出型のビジネスをやっている企業、何に困っているかと言ったら、並行輸入に困っていると。そもそも並行輸入というのはあって、これは止めることはできないですよね。別に並行輸入というのは違法ではないので。ただ、これだけ為替が円安に振れると、日本からどんどん、どんどん、並行品が現地に流れていってしまうので、今までの並行の度合いをだいぶ超えてきていると。そんな中で並行品がますます止められなくて困るというね、新たな問題があったりするんですけど。この為替と景気、現地の景気ね、こういったものもしっかりと理解をする必要がありますよというお話でございます。
ちょっと次回もね、このチャネル、輸出型チャネルビジネスの日本食に引っ張られるような商品についてお話をしていきたいなというふうに思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。